B2B企業のソーシャルメディアへの取組みを調査しています。マニアックな事例までちょっと掘り下げたので、ご共有です。
URLと概略だけなので、詳しくはリンク先をご覧くださいませ。
ソースは主にSocial Media B2B。B2Bに特化したサイトです。
Bandwidth.com
法人向け通信会社。ツイッター上で寄せられたクレームの対応に成功。モニタリングは大切です。
Siemens
シーメンス。Info Centerを開設。ツイッター、YouTube、Podcastを活用。ツイッターでは積極的に顧客とコミュニケーションしている。
Scania Group
トラックメーカー。ソーシャルメディア・ニュースルームを開設。ツイッター、YouTube、FriendFeed、Flickrへのリンクあり。ツイッターはいまいち活性化しておらず。
Salesforce.com
Facebookの活用事例。6,300人以上のファン登録。最新ニュースの共有と、ファンとのコミュニケーション。ツイッターは積極的に活用。画面背景には担当者の顔写真とイニシャルを表示。
Ernst & Young
会計プロフェッショナルファーム。Facebookをリクルーティングに活用。42,810人がファン登録。
Cintas
企業向けの制服などを作っている企業。Facebookを日常的な情報発信、リクルーティング、キャンペーンなどに活用。
SAP
業界に関するE-bookを発行。SAPはCommunity Networkの取組みも圧倒的です。ソーシャルメディアポリシーも策定・公開しています(SAPの取組みについてはリンク先記事が詳しいです。福田さん感謝!)。
TI
サポートコミュニティを開設。インタラクションの量は相当な量。顧客同士の助け合い。
EMC
コミュニティを開設。20名以上の社員ブロガーがブログを公開。ツイッターも活用しているが、対話は少ない。
GE
ブログ「GE Reports」が有名。Thought Leadershipの確立が狙い?ジャーナリスト出身の編集長がコンテンツをしっかり精査しているらしいです。
Edelman
国際的なPR会社。「トラスト・バロメーター」を代表に、各種レポートは業界関係者に広く見られている。チーフ・コンテンツ・オフィサーが会社が発信するコンテンツを統括している。
以上、ざっと!ご紹介。うーん、まだまだあるでしょうね。
様々な取り組み方がありますが、エデルマンやGEのような、コンテンツ発信型が個人的に面白いなと思います。
業界関係者にとって重要な情報を流すことは、企業の認知度や、リーダーシップの向上に繋がるでしょう。
顧客がWEBを使っていないとどうしようもないですが、基本的にこの「コンテンツ発信型」はどんな業界でも使える手段です。
例えば、「建設資材ブログ」「超小型モーターブログ」「半導体製造装置ブログ」なんてニッチな分野でも、同業他社や取引先に好影響を与える手段にはなり得るでしょう。それで食っている人がたくさんいるんですから、情報には価値があるはずです。
また、B2B企業がソーシャルメディアを活用する場合は、あまりPVやフォロワー数に固執する必要もないとも考えます。マスを狙うことで中途半端に内容が薄くなることは避けたいです(マス向け、ニッチ向けの両方を用意するなら良いですが)。
ニッチな層を狙ってコンテンツを発信し、濃いコミュニケーションを取っていくことが、B2B企業のソーシャルメディア活用における一つの望ましい姿勢でしょう。
もっとも、コンテンツを発信することは、多くの企業にとってハードルが高いことです。GEやエデルマンがコンテンツ責任者を置いていることは象徴的です。
ウェブコンテンツのあり方については、下記の記事が詳しいです。
ウェブには編集力が必要だ – 御社には“価値あるコンテンツ”を作る人がいますか?
B2Bビジネスの場合、一般的に商品単価が高く、顧客とのタッチポイントも多いです。「ゴルフ的な」コミュニケーションも、ソーシャルメディアは向いています。
数多くの事例が示している通り、活用の可能性は高いでしょう。引き続き研究。
Mashableより貴重な記事。海外の著名なマーケターのB2Bのソーシャルメディア活用についての意見集。ちょうど考えていたテーマなので抄訳にてご紹介です。
13 Essential Social Media Lessons for B2B Marketers from the Masters
Jason Falls – Social Media Explorer
B2Bは、よりP2Pだ。つまり、人々と人々によるものである(people to people)。バイヤーは企業のロゴからではなく、信頼できる友人から購入したがっている。私にとってユナイテッド・リネンは企業ではない。マーケティングディレクターであるスコットだ。私は彼を信頼している。他のリネン企業にはそんな感情を抱いていない。
Chris Brogan – chrisbrogan.com
コンテンツはB2Bソーシャルメディアにおいては重要だ。価値あるコンテンツを提供することで、潜在顧客を活性化し、販売機会に結び付けている事例を数多く見てきた。
David Armano – Logic+Emotion
B2Bのプロフェッショナルは、しばしば視野が狭くなり、消費者の世界との間に距離が生まれる場合がある。私はB2Bの大企業のコマースサイトを手がけたが、Amazonを直接の競合として考え、サイト構築を行った。B2Bはニッチではあるが、今日においては、結局人は人なのだ。
Rohit Bhargava – Influential Online Marketing
人々は専門性を買う。B2CとB2Bの大きな違いは、ここにあると言えよう。もしあなたが、ソーシャルメディア上で専門性を表現できれば、売上に影響をもたらすことができるだろう。
ソーシャルメディアのお陰で、専門性を可視化することが可能になった。紙の文書をブログで、製品デモをYouTubeで提供することが可能である。
Seth Godin – Seth Godin’s Blog
“Social media isn’t about you, it’s about them”
John Jatsch – Duct Tape Marketing
オフラインのエンゲージメントを高めるために、ソーシャルメディアツールを使うと良いのではないか。イベントで会う際も、LinkedInやツイッターであらかじめ繋がっておけば、コミュニケーションも自然に取ることができる。あなたのCRMシステムに、顧客のソーシャルメディアプロフィールを取り込み、コンタクトを取るサイクルを掴むために、顧客の毎日の行動・考え方などを知ることは有用だろう。
Valeria Maltoni – Conversation Agent
B2Bにおいては、B2Cの戦略を真似しないことによって、利益を得られるだろう。顧客はソーシャルメディアを使っていることは事実だが、商材によって関与度が違うことを見逃してはいけない。
Todd Defren – PR Squared
ゴールを持つこと。明確なゴールなしには、失敗する危険が高まるだろう。あなたのPRチームに聞いてみると良い。「ツイッターに時間を費やすことで何を得ることができたんだ?」多くの場合、それはサイトへの流入を増やすためであって、B2Bとしての信頼性を高めることにはなっていないだろう。
ブロードキャストの先を行くこと。ツイッターやブログを活用している企業は多いが、依然としてブロードキャスト型が多い。ソーシャルメディアに参加するB2Bユーザは、「私たちを見て!」ではなく@付きリプライやRTをもっと用いる必要があるだろう。
Brian Solis – BrianSolis.com
最近の経験で、企業に関連するツイッターのキーワードをモニタリングして報告したら、ひどく驚かれたということがあった。彼らはソーシャルメディア上で自分たちに関係する会話が数多く発生していることを知らなかったのだ。
人々が今やり取りをしている場所に行くべきだ。その場所で、あなたの顧客が喜ぶものを提供し、プレゼンスを高めていけば、購買の要因となるだろう。
こんな感じです。原文に合わせて、コメント欄も是非。興味深い議論が展開されています。
ここでは指摘されていませんが、B2B商材は一般的に比較検討期間が長いことも重要だと思います。ソーシャルメディアは顧客との新しい接点を生み出しますから、購買のきっかけを与えるチャンスも増えるはずです。しかもそれは一対一ではなく、一対多で行うことが可能です。
もっとも、一括りにB2Bといっても、商材によってはソーシャルメディアが活用しにくい場合も多いとは思います。さらに、LinkedInやFacebookのない日本のソーシャルメディアでは、米国に比べてどうしても可能性も狭まりますし、効果も幾分落ちるでしょう。tokurikiさんがツイッターに関してご指摘されているように、普及度・規模の違いには注意しないといけないと思います。現段階では日本のB2B企業がソーシャルメディアを用いて、米国企業並みの成果を出すことは難しいかも知れません。
と、少し悲観的になってしまいましたが、それでも出来ることはあるはずです。また、規模が小さいことは、ポジティブに言い換えれば、スロースタートを切れるということでもあると思います(特にアクティブ・サポートを実践する場合などは)。
B2Bがソーシャルメディアに向いていないということは、全くないと思っています。むしろ顧客の関与度が高いため、可能性は大きいと感じます。今後の発展に期待するとともに、着実に寄与していきたいところです。
前の記事(「B2Bはソーシャルメディアを利用できない、という誤解」)よりさらに突っ込んで。アメリカでは今ちょっとホットなトピックスです。2本紹介。
B2B vs. B2C: Why is Social Media MORE Opportune For B2Bs Than B2Cs? It’s The ENGAGEMENT Level, Stupid.
・ビジネスにおいては何かを購入する際、リスクを小さくしたがる
ビジネスマンの評価は、いかに少ない費用で効果を上げられたか、という点に尽きる。となれば、彼らは購買に当たって様々な情報源をあたり、その中には他人のクチコミや推薦などもあるだろう。
・ビジネスマンは生活を保障するために知識を増やしていかなくてはならない
己のキャリアを守り、向上させていくためには、常に最新の知識・ニュースを知らなくてはならない。知識をオンラインを共有すると言ったことは一般的に行われている。あなたの企業が業界の最新動向などをブログで伝えるのなら、それは多くのビジネスマンにとって有益なコンテンツとなるだろう。
・キャリアアップのためには、人脈を形成しなくてはならない
キャリアアップという観点では、他人とのコネクションが重要だ。オンラインの人脈はビジネスに役立つ。
・問題解決のためには、ビジネスマンはリサーチを行わなくてはならない。
新しい理論を実践する際には、色々な情報が役に立つ。オンラインで情報を入手することは勿論、フォーラムなどで自分以外のプロフェッショナルと議論をすることも有益だ。あなたの企業がそうした議論の場を提供することは、有効な戦術となるだろう。
もう一本。こちらもよくまとまってます。
Social Media For B2B
・B2BはB2Cにはないアドバンテージがある。B2Bにおいては、顧客との長期的な関係に基づくビジネスが一般的であるし、そうなればB2Cの購買サイクルにはない顧客とのタッチポイントが生まれてくる。
・【コンテンツ】ビジネスパーソンの役に立つような情報を提供する。あなたの持っている専門的な知識や業界についての洞察などは、コンテンツとして喜ばれるだけでなく、あなたの会社がどれだけ優れているかを誇示する機会ともなるだろう。売り込むにあたってリーディングプレーヤーであることや、高い知識をアピールするのは昔から行われてきたが、ソーシャルテクノロジーを用いれば新たな段階の販促活動が可能になる。
・【ネットワーク】B2Bの世界では、プロフェッショナルなネットワークが全てである。Linkedinが登場する前は、あなたの人脈というものは基本的に不可視なものだった。しかし今ではそうしたサービスを用いて、あらゆるビジネスパーソンの人脈が可視化された。
・【Impact Points】ほとんどのB2Bビジネスにおいては、購入サイクルは長いものであり、商品の価格も高い。となると、顧客との中長期的な信頼関係を築くことは必須であるし、良好な関係は将来のビジネスにも繋がるだろう。
ソーシャルメディアを用いれば、従来ゴルフ場や飲み会の席で行われていたような性質のコミュニケーションを、地理的に・時間的に離れた顧客とも行うことができる。
・とどのつまり、ビジネスというものは「人間」が行うものである。私たちは顧客と信頼関係を結ぶことで、その取引がローリスクハイリターンであることを納得してもらうのだ。ソーシャルテクノロジーによって、関係構築の可能性は日々高まっている。ソーシャルメディアを使う目的は、まさにここであって、ツールから入るのは間違いである。
要約すると、B2Cに比べタッチポイントが多く、関係構築の必要性が高いということになるでしょうか。簡単な真実ですが、どうにもなかなか認識されません。
戦術としては、業界動向をブログやツイッターで議論するのが面白そう。また、フォーラムやレビューサイトを運営するのも良いでしょう。他にも色々考えられますね。いずれにせよ「関係構築・維持」といった視点が重要になってきそうです。
まだまだ日本では「B2Bって向いてないんじゃ?」という誤解は消えないでしょう。メリット・デメリットを地道に説明し、良い事例を作り上げていくことが肝要です。企業風土を変える必要があるので、メリットがいざ認知されても実際の足取りは重いとは思いますが、辛抱強くやっていくしかありません。
素晴らしい記事を見つけたので簡単に翻訳。B2Bビジネスはソーシャルメディアを上手く利用できない、というのは完全な誤解です。
Crushing the Myth of B2B Social Media
・B2Bは「少ない潜在顧客基盤」「高い価格」「購買決定プロセスで評判やクチコミが影響する」と言った側面があり、ソーシャルメディアを有効に用いることができる。1万ドルの産業機器を売るのと3ドルのプリングルスを売るのとでは、大きく投資対効果は違う。
・B2BとB2Cのソーシャルメディアマーケティング(SMM)は、戦略レベルでは違いがない。戦術レベルでの違いだ。
・B2Bにおいては、「Consumer Education」「Thought Leadership」という側面を重視するべきであり、より深いインタラクションが求められる。
・調査によれば、どのメディアを使うかという点においては、B2B・B2C間で違いはない。いずれもツイッター、Facebookなどを用いており、違うのはどのように使うか、という点だ。
・ソーシャルメディアマーケティングに企業規模は関係ない。SMMの目的の一つは、大企業が小さな主体として行動することだ。
・ツールから入ってはいけない。“メディア”ではなく“ソーシャル”という点に注目するべきだ。多くの企業が、Facebook、ツイッター、Linkedin、YouTube、ブログといった定型的なメディアをまず利用しようとする。目的を明確にしていれば問題はないが、ツールから入ることは失敗の第一歩といえる。
・B2Bが向いてないとかB2Cのどうとか、そういった議論はもう止める段階だ。戦略的には同じであり、戦術的にも結局は共通の部分も多い。
非常に良い指摘です。ケースバイケースですが、個人的にはB2Bの方が高いROIでソーシャルメディアを利用できるとすら考えています。サポートなどを考えても、より長期間で売るべきものですし、そうなれば顧客とのタッチポイントも多くなります。
企業規模は関係ない、という断言はちょっと語弊がありそうですが「中小企業だって有効に使うことができるはずだよ」という程度の意味だと思います。
2010年を迎える前に、アメリカではようやく不毛な議論が終わりかけているようです。日本は彼らが時間を掛けて導き出した真実を直輸入できます。「B2Bはソーシャルメディアに向いていない」というのは誤解だと認識してください。そこから戦略・戦術の議論を始めましょう。
記事の中にも紹介されていますが、下記の記事は戦術面の議論を展開しており、素晴らしいです。是非合わせて。時間があれば別途紹介します。
Social Media For B2B