素晴らしいことに、ツイッターに参加する企業が増加してきました。ユニクロ、カメラのキタムラ、Yahoo!ショッピングなどの小売業界に留まらず、食品メーカー、自動車・家電メーカー、証券会社まで、様々な企業が参入しています。今後もこの動きは止まらず、特にローカル小売・飲食業のツイッター利用が増えると個人的には予想しています。
そこで問題提起。ツイッターを使って、企業と消費者は友達になるべきなのか?
個人的な回答は、NOです。企業アカウントは、消費者と親しくなりすぎてはいけません。
その理由:多くのフォロワーに対して「内輪」の会話を見せ付ける結果となるため
企業アカウントは、大規模になると数千のフォロワーを抱えるものもあります。そうしたアカウントが頻繁に@付きの他愛のないツイートを垂れ流すのは好ましくありません。
直接会話をしている消費者その人は、当該企業に対して親しみを感じるかも知れませんが、その他多くのフォロワーはその会話に対して部外者に過ぎません。そして部外者の一部には、その「馴れ合い」を嫌う人も確実に存在します(僕がそれで、何か気持ち悪いものを感じてしまいます)。端的に言えば、企業アカウントが「馴れ合う」のは好ましくありません。
消費者との他愛のない会話からは、確かに果実を得ることができます。それも今まで決して手に入れることができなかった、素晴らしい果実です。しかしながら、多くのフォロワーが付いているとしたら、その「馴れ合い」の裏で失っているものがあることを自覚するべきです。
またそうした友達ライクな態度は、smashmediaで指摘されているような、「失礼にあたる」対応に繋がる危険もあるかと思います。
フランクと感じるか、馴れ馴れしいと感じるかべきか | smashmedia
企業はすべてのTweetに答えるべきか | smashmedia
という僕の意見の一方で、例えば、まさに「企業と友達になれる」という性格を持つと思われる、加ト吉さんのアカウントを絶賛する向きも強いです。
杞憂かも知れませんが、僕はこの傾向を危惧しています。「ツイッターを使えば消費者と親しくなれて、売上げを伸ばすことができる」という考えは大変安易です。
確かに加ト吉さんのアカウントは注目に値します。黎明期から素晴らしい取組みを見せています。しかし、誰もが加ト吉さんのような運用方法をできるわけではありませんし、彼らの戦略が果たして本当に望ましいのかも、まだ誰にも分かりません。特に、利用環境(フォロワー数、ツイッター全体の空気感)によって何が望ましいかは変わることは、十分考慮する必要があります。
「クチコミマーケティングをすればお金をかけなくても商品が売れる」といった安易な認識に基づいて、様々な企業がこれまた安易な戦略を取ったことは、記憶に新しいです。「やらせブログ」のような愚行も公然と行われました。セカンドライフの幻想も、記憶に新しいです。いずれも安易な認識に基づく失敗です。特にそれはクライアント企業の。またその裏には、エージェンシーのミスリードもあるでしょう。
ツイッターの企業アカウントの運用は、非常にデリケートです。議論の余地はまだまだあります、例えば「ツイートの頻度はどうするのか」「営業時間外にやり取りをするべきなのか」「問い合わせにどう答えるのか」「言葉遣いをどうするか」「担当者の顔を出して運用した方が良いのか」「フォロー返しをするべきか」…恐らく回答は個々の企業によっても違いますし、同じ企業でも利用目的や利用ステージによって変わって然るべきです。
「つながる」ことを特徴とするソーシャルメディアは、人間関係そのものです。ソーシャルメディアマーケティングは決して魔法の杖ではありません。従来のマーケティング戦略の一部に過ぎませんし、それよりももっと正直で「裏技」の効かないものです。
参入企業が増えてきて嬉しい一方で、何か不穏なものを感じてしまいます。ソーシャルメディアは適切に利用すれば、強力なエンジンとなりえます。が、誤った認識に基づいて利用すると、効果は半減どころかマイナスにすらなり得ます。クライアント企業の担当者のリテラシーが向上し、各企業で適切に戦略が実行されることを、切に望みます。
紹介ありがとうございます。
ぼくも企業がソーシャルメディアに「参加」する場合、その距離感が重要だと思います。
ご指摘の通り、ソーシャルメディア上の会話(対話)は当該顧客とのクローズドなものではなく、衆人環視下で行なわれるものであり、それこそ記者会見や講演会後の質疑応答に近いと思っていて、そんな場所で「友だち」のような口調で話すことの弊害は測りしれません。
もちろん程度問題であって、ある程度くだけてないと相手を恐縮させてしまいますから、本当にここの感覚は難しいんですけどね。当然ですけど、そんなに簡単に消費者の共感や信用が得られるわけもないわけで、その難しさとその価値をきちんと認識してもらえるように啓蒙していきたいですね。
いつもブログ読ませて頂いています。
まさに。講演会や記者会見というのは良い表現ですね。
そのくらいの感覚であるべきだと思います。
いずれにせよ、ご指摘の通り啓蒙が必要だと思います。僕は若輩者で力も声もまだ小さいですが、河野さんのなさっているように、正しい知識を広め、模索して行きたいと思います。
コメントありがとうございました。尊敬する方からの言葉はモチベーション上がります。
尊敬されるほどの人間じゃないので恐縮です(汗
こちらこそ(数少ない)近い考えの方だなあと思って読んでたので、今度ぜひ意見交換させてください。
とんでもないです!
素晴らしい活動をなされている方だな、と前々から感じておりました。「出前セミナー」なんて特に。
嬉しいお言葉、ありがとうございます。近い考え、というか河野さんに感化されてるというか笑
基本的に暇なので、お会いできる機会があればいつでもコンタクトをお願いいたします。
じゃあぜひ。
今週がちょっとばたばたしてるので、片付いたら連絡しますね。
「べきではない」と言い切るほど、肩肘を張らなくてもいいんじゃないですかね?
Twitterであろうとなかろうと、通常の営業活動、マーケティング活動でも、親しさの中にも節度・気配りが必要なのは当たり前。
顧客との距離感は、売っているモノ(サービス)、マーケティング戦略により、異なります。
囲い込んだお客さんを大事にしたい、一見さんお断り、というのも、一つのあり方だと思います。
貴重なご意見有り難うございます。
ごもっともです。ちょっと思うところがあって見えない敵と戦ってしまいました…。
仰るように、例えば、老舗の料亭がツイッターを使うとしたら、言葉は悪いですが排他的な性格も望ましいはずです。そんな極端な例を出すまでもなく、特定の製品のアカウントだけは、友達のようにコミュニケートしていく、という選択肢もありえますね。
肝要なのは、安易に真似しない、ということだと思います。
ご意見有り難うございました。大変勉強になりました。
まあ一見さんお断りの店舗にとってTwitterは最適解からはるかに遠い選択肢だと思いますけどね。限定公開できるとはいえRTなどで漏れるリスクを考えれば、向いてないですよね。
ぼくは「囲い込む」という言葉も発想も嫌いなのでそこは同意できないのですが、「Twitterであろうとなかろうと」というのはまったく同感です。
[...] 一方で、@IHayatoさんがブログで「企業と消費者は友達になるべきではない」というエントリーを書いて話題になりましたが、Twitterの企業アカウントが消費者との距離を縮めた結果本当に売上が上がるのかという事も検証されていないし、また、つぶやきを通じたコミュニケーションは「親近感」を生むともいえますが、一方で「馴れ馴れしい」と感じることも多く、相手の感じ方によってはマイナスの印象を与えることにもなりかねない、という指摘も根強い。 [...]
[...] 「あわせて読みたい」というブログパーツはけっこうよくできていると思います。 この「あわせて読みたい」を貼り付けたサイトやブログ同士でユーザーを集客し合う仕組みです。Aというサイトへアクセスしたユーザーに「他のユーザーはこんなサイトも見てますよ」と情報提供します。なので、傾向が似ているサイトや訪問ユーザーが好みやすいサイトを紹介できるいい仕組みです。 というわけで、自分のblog の「あわせて読みたい」で紹介してもらったblog 「愚者の愚痴」さんで面白いエントリがあって、ちょっと現時点でのtwitter ってどうなのよ?をまとめておきたいと思います。 さきほどの「ネットサービスの「終焉」」と題したエントリで、twitter を例にアーリーアダプターの「twitter は終わったな」発言は何なのか。ちょっと気になってました。ボクとは違う切り口なので、読んでみて下さい。 アーリーアダプター?って?というところですが、考えれば非常に分かりやすいです。ボクの元上司Hさんのblog でアーリーアダプターについて書かれていたので、是非読んでみてください。ま、この方自身が、アーリーアダプター(初期少数採用者=尊敬される人)というか、イノベーター(革新的採用者=冒険的な人)ですので、力の入るご説明ではないでしょうか。(コレ、読まれてたら呼ばれそう・・ログでバレるな、きっと。。)ところで、Hさんのこの「尊敬される人」「冒険的な人」ってとても分かりやすいですね。 さて、twitter って、アーリーアダプター層からそろそろアーリーマジョリティー(前期多数採用者)層に移ってきたのではないかと思われます。図の数値で言えば、利用者数が16%を越えたのではなかろうかと(コレ、適当発言)。っていうのも感覚で、なんとなくtwitter のTL 上でそんな臭いを感じるからでしかないですが。 「twitter って終わったな」発言はないにしろ、3ヶ月使い続けた自分の直感として、これはコミュニケーションツールであって、それ以上の革新性はないように今のところ思えます。もちろん、コミュニケーションツールとして目新しいリアル感、つまりTime Line の早さは革新的です。そして、1000名以上のフォロワーを抱えると、たぶん公私共々の質問に答えてもらえる利便性も非常に高まると思われます。 個人的な感情で見ると、twitter はまだ荒れた様子を感じてません。荒れる相手ならばブロックしたり、フォローを解除すればいいわけです。むしろ現実世界のギスギス感と反対側の優しい癒される空間を求めて、みな相手をいたわっている感じすらあります。面白いですね。 一方で企業の取り組みとして、商品、プロモーション告知の活用はそこそこ目に留まりますが、それ以上のコミュニケーションは大きな戦略の元でないと炎上するケースもあるようです。また、企業アカウントであっても、個対個のコミュニケーションであるため、必然的に担当者の顔を出すことになります。出さないとけっこう相手にされないかもしれません。イケダハヤト氏のblog では「(ツイッターの企業利用)企業と消費者は友達になるべきではない」というエントリがありますが、安易に手を出しすぎるのも危険であると思います。 現時点で企業のtwitter の上手な活用法は、来店促進としての「フォロワー数による値引きサービス」ではないでしょうか。上述のH氏のblog でも言及がありましたが、今の消費者と企業のバランスの良いところは、こんなところかと思います。ようするにフォロワー数の多いユーザーは、クチコミ能力が高いわけで、企業としては価値が高いと判断し、値引きしてもそれ相応であるというわけですね。 とはいえ、フォロワー数を競うのは個人的には好きではないので、今の自分は他のアイデアをいまだに模索中です。。 Related Poststwitterマーケティング Twitter… [...]
[...] ■ツイッター成功事例の裏を読む。デルの成功事例はたった2千円 ■(ツイッターの企業利用)企業と消費者は友達になるべきではない やはり顧客との距離感って大事なのかもしれませんね。 [...]
Twitter: dsaka
says:
横から失礼致します。
馴れ合うべきではないというのはその通りですね。
ただ、それは肩肘張るものではなく、ソーシャルを利用するに
あたっての「姿勢」もしくは企業の「ガイドライン」」なのだと思います。
多くの企業が流行に乗っかったものの、「ソーシャルにどう対応すべきか」
というガイドラインを設けずに飛び出してしまったからではないでしょうか。
「ウソはつかず」、「謙虚な姿勢を崩さず」、「自らの身元を明かし」、
「コミュニケーションを放棄しない(問題が起きた時等も含み)」
という当たり前の様で難しい姿勢を常に持って利用すれば適切な距離感
は保てるのではないでしょうか。
Twitter: IHayato
says:
コメント有難うございます!
>「ウソはつかず」、「謙虚な姿勢を崩さず」、「自らの身元を明かし」、
>「コミュニケーションを放棄しない(問題が起きた時等も含み)」
>という当たり前の様で難しい姿勢を常に持って利用すれば適切な距離感
>は保てるのではないでしょうか。
同感いたします。
車の運転と同じで、より楽しく、安全に利用するためにはガイドラインが必要なのでしょうね。
Twitter: syncroro
says:
非常に参考になるブログ記事とみなさんのコメントでした。
加ト吉さんはある意味特別かもしれません。
ちゃんとしたブランド戦略のもと、中の人の人柄などが合い交わって、
あのコミュニケーションが生まれているんだと思います。
dsakaさんが仰ることは、「企業人として、社会人として、人としてのエチケット」を持って、
消費者と接するガ端的で、具体的なガイドラインを挙げて下さっていると思いました。
中の人といえども、「企業の顔」であることは間違いないのですから・・・。
Twitterが企業と共に向かう方向性を指南して下さったブログでした。
ありがとうございました。