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(半導体)「Intel Inside」の脅威。要求スペック向上でB2B企業はB2C企業へ

半導体業界動向 | Posted by IHayato
Jan 19 2010

インテルの戦略についての新聞記事見てうちの上司が嘆いていたことから得られた気付き。

ご存知、インテルは「Intel Inside」というメッセージを推進しています。彼らの主力製品はいわゆる「CPU」で、どちらかと言えばB2C商材としての側面が強いものです。なので消費者にブランドメッセージを伝えていくことは、十分利益に繋がる合理的な選択です。

一方、僕の所属する会社は完全なB2Bの半導体メーカーです。「組み込み用半導体」と呼ばれるようなチップを主力商品としています。インテルはこの分野ではほとんど力を持っていません。「組み込み用半導体」は、文字通り電子機器・家電には必ずといって良いほど組み込まれている製品です。例えば冷蔵庫、カーナビ、携帯電話…あらゆるものに入っています。が、基本的にB2Bビジネスなので、うちの会社を始め、多くの組み込みメーカーはブランディングにそこまで力を入れていません。

ここ最近、インテルは「組み込み」市場への進出を掲げています。これ、恐ろしいのは消費者がいずれ「Intel Inside」の冷蔵庫やカーナビを求めるようになるであろうこと。上司もここに危機感を感じていました。

従来、インテルの主力製品はパソコンなどの高度なスペックの商品をターゲットにしていました。しかしテクノロジーの発達・要求スペックの向上で、インテルの製品が採用される裾野は広がっています(実際にAtomはカーナビに入ってきています)。近い将来、本当に「Intel Inside」の冷蔵庫が出てきてもおかしくはないです。携帯電話にインテル製のCPUが入ってくる日はもっと近いでしょう。

こうなってくると「Intel Inside」のシールは、ブランド力を持たない組み込みメーカーにとっては、驚異的な存在になります。何せ、消費者がインテルが入っている製品を求めてしまうのですから。うちの会社の半導体が入っている製品には「どこのメーカー?中国とか?」なんて印象を抱かれかねないのです。

半導体業界に限っていえば、要求スペックの向上は、B2B企業をB2C企業に変貌させる力学を持っています。実際にQualcommなんかはかなりSnapdragonをプッシュしていますし。いざB2Cのフィールドで戦わなくてはならなくなった時、うちのようなB2Bの組み込みメーカーはインテルやQualcommに対しては相当なハンデがあるでしょう。

かといって、ブランド戦略にお金をつぎ込む、といった経営判断は難しいわけで…。そこでこそ、顧客や潜在顧客と中長期的な関係を築くことができる、ソーシャルメディアマーケティング(SMM)が有効になってくるのです。が…SMM戦略を実行できる組織もリテラシーも予算があるわけでもなく…問題は根深いです。

【半導体業界動向】技術力の行方

半導体業界動向 | Posted by IHayato
Sep 17 2009

Silicon
Creative Commons License photo credit: huangjiahui

グローバルに競争が加速する中で、日本の設計者が何をやるべきなのか。どういった方向性を持って技術開発をしていくべきなのか、難しい課題です。

IntelのAtomを搭載したような高性能・廉価なデバイスこと「リーズナブル・デバイス」という言葉が出てきたようですが、これがまさに技術開発の方向性についてヒントを与えてくれるものです。

そもそもAtomをなぜIntelが開発できたかというと、それは豊富な設計資産(IP)を持っているからです。Atomのようなデバイスは、いわば「下から一から設計する」のではなく「上を一段落として設計する」という、“上”ありきのデバイスです。Pentiumシリーズ、Coreシリーズなどの比類なき製品群を抱えるIntelだからこそ、ああいったデバイスの開発が可能なのです。

一方で、
・システムLSIではソフトの開発の比重が高まり、開発のためのプラットフォームが必要になっている。
・マイコンでは少量多品種化が進んでいる。一から設計しては戦えない。優良なIPを持つ必要がある。
・アナログではコスト競争がさらに厳しく。安い人件費である海外リソースを使って設計する必要がある。
といったことが産業の背景としてあります。

なんぞや難しいですが、一言で要約すれば、デバイス産業は「高い技術力を用いて、より安く良いものを作る」必要がさらに高まってきた、ということができます。くり返しになりますが、Atomはその好例です。安いものは低い技術力で作られ、途上国などで使われている…という考えが一般的ですが、電子デバイスに関してはもうそれは通用しない時代になっているのです。膨大な設計資産を持つ上位企業が、それを活かして安く作ってしまうのですから。

さて、当初の疑問に戻って、日本の設計者は何をすべきなのか。
それは「利益を生むための開発」を行うことです。具体的に言えば、優良なIPを安く大量に作る、といったことが求められています。そのためには教育を通じて設計力を高め、また高度な設計ツールを導入し、それを使うことができる技術者を育てる必要があります。

そうして日本で開発した設計資産を元に、海外の現地設計者に料理してもらう、といったシナリオが成長戦略の要です。勿論そのためには海外スタッフのレベルを高めることも必要です。

まぁそれが難しいんですが…なんとか各社苦戦しているところでしょう。まだまだ設計には改善の余地があります。