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(本の紹介)「安心ひきこもりライフ」—「社会的包摂」について考えさせられる一冊

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これは強烈な書籍。著者は20年間引きこもっている方。「甘え」と切り捨てるか否かが相当分かれそうな内容です。


Amazonの紹介には「「ひきこもりをいかにして就労させ、社会参加させるか」という従来の問題設定を否定し、まずはひきこもることの後ろめたさを取り除いて、安心してひきこもり生活を楽しむコツを伝授します。」という一文があります。引きこもることを認める、という視座の転換です。


半人前を認める社会を

・社会復帰のための職業訓練は半人前のひきこもりを一人前に鍛え上げること。その成果は全部失敗。1年以内に90%が辞め、5年後には100%が辞めている。

一人前に鍛え上げるという猛襲を捨てることから始めるべき。半人前が働ける会社、半人前公務員、半人前でもできる仕事、こういうものを作り出さなくてはひきこもりに出口はない。国がやるべきことは、半人前公務員の採用。

・半人前こそが、ひきこもりが目指すべき理想の姿。半人前の仕事が広がれば、一人で1.5人、ふたり分の仕事をしている人も減る。半人前理想主義万歳。

本書の白眉はこの主張だと思います。皆さんはどう思いますか?

理想主義のようですが、こういう困難を方々が、ありのままで生きていける社会、いわゆる「社会的包摂」の実現を模索していくべきだと僕は考えます。


引きこもり支援に対して

・2009年、引きこもりを支援する「若者自立塾」が廃止された。ニートを3ヶ月間の合宿形式で訓練して就職させる支援を行う。

・いざ始めてみると定員の半分しか人が集まらず、国からの助成金は出るものの、肝心の雇用には結びつかなかった。北朝鮮に人道支援をしても、市民に物資が届かないのと同じ構図で、中間支援を行うNPOを潤しただけに留まった。

当事者の立場から、現在の就労支援はほとんど無意味だと主張されています。ここら辺はもっと詳しく現状を知りたいところ(こちらのブログに少し関連する内容が掲載されています。こちらにも。)。


「働きたくない」は怠けではない

・働こうという気持ちが怠けパワーを生み出す。働かずに怠けることができますか。会社に行かず、ぶらぶらしている、社会的地位もない、自由すぎる存在で怠けていられますか。働きたくないから働かない、それを実行すれば怠けに慣れるというものではない、むしろ苦行僧。

「働きたいのに働けない」ではない。「働きたいのではなく、働きたくないけど、働かなくちゃいけない、でも今は働きたくない」。こういう精神がある。自己弁護のために「働きたいのに働けない」と言ってしまったばかりに、就労支援がはびこってしまった。

「働かずに怠けることができますか」というのは強烈な問いかけです。働かない生活の辛さについては僕も以前から問題意識を抱いています。

僕たちは「仕事をしない生活」に耐えられない—労働の強迫観念からの脱却は可能か


内容はかなりセンシティブですが、文章のタッチは超コミカルでかなり笑えます。このバランス感覚はかなり希有。甥っ子とのコミュニケーション記録はまるで漫画のようなテイストに仕上がっています。

というか、ここまで面白い文章が書けるのなら、もはや十分これは職能ですよね。ブログ「鳴かず飛ばず働かず」はかなり面白いです。

ひきこもり問題、半人前社会の実現、就労支援の問題など、かなり考えさせられる一冊です。ぜひ手に取ってみてください。



当事者の手記としてはこちらも評価が高いです。


社会的包摂という考え方についてはこちらが詳しいです(書評)。


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