未分類

アレックス・クチンスキー「ビューティ・ジャンキー」

スポンサーリンク

これは面白い!衝撃のノンフィクションですね。読書メモをご共有。


美容ビジネスの中毒的な世界

・「年を取るにつれて、死亡が重力でお尻の方に降りていくでしょ。ドクターがそれを取ってまた顔に戻してくれるの。だからね、私の顔にキスしてる人は、実は私のお尻にキスしてるわけよ」

・ハリウッドの主婦の間で最新流行の手術といえば、陰唇の若返りである。膣の周囲の陰唇を切除して小さくし、「処女再生」のような感じにすることができるのだ。

・アメリカ文化では、見かけの良し悪しを気にかけて不安に感じる傾向は強まる一方だ。調査会社ローパーによると、2003年には過半数(51%)のアメリカ人が、自分の要旨に「あまり満足していない」または「まったく満足していない」と答えたという。

・形成外科医にかかる患者数は、1992年の41万2901人から、2002年の203万6794人と10年間で5倍になった。美容整形全体の件数は、1997年から465%の伸びを示している。

・歯科医は現在、胸のインプラントを行う権利を求めてロビー活動にいそしんでいる。

・失敗に終わった整形旅行で最近世間の注目を集めたものに、ナイジェリアの大統領夫人ステラ・オバサンジョの事件がある。彼女はスペインのコスタデルソルにあるクリニックで整形手術を受けたあと亡くなった。コスタデルソルは、B級セレブ、アラブの君主、発展途上国の首脳などに人気の遊興地だ。

・FDAが眉間のしわを麻痺させる用途でボトックス使用を認可したのは2001年だ。しかしその前から、宣伝などしていないにもかかわらず、ボトックスはアメリカ国内でもっとも人気の高い美容整形術になっていた。業界アナリストによれば、2000年にボトックス注射を受けた人は100万人以上に登る。2004年の時点では、それが800万人ほどになっていた。

・ボトックスは日常用語となり、オックスフォードやメリアム・ウェブスターといった代表的な辞書にも収録されている。

・国際美容形成外科学会によれば、ボトックスはヨーロッパ、ブラジル、アメリカ合衆国で人気になっているそうだ。ドイツでは二人の医師が、一部の患者がボトックス注射を切望する熱狂ぶりを記録し始めており、この欲求を「ボツリヌス狂」と名付けた。

・一般大衆だけでなくマスコミもボトックスに注目している。酷く陳腐な受け売りではあるが、こんなふうに扱われている—「美しさを約束する毒」、「美をもたらす危険な物質」。無数の新聞、女性雑誌、ローカルニュース局の無数の編集者たちは「美しき毒」といった見出しを考案した。

・15世紀においては、不完全な鼻はそれ以上の意味を持っていた。欠けた鼻、壊死した鼻、切り落とされた鼻、病気で変形した鼻とは、売春婦、敗者、生物学的不適格者の印だったのだ。戦死には戦場で屈辱を与えるために敵の鼻を切り落とした。鼻柱が陥没した鞍鼻といわれる鼻は、梅毒によって軟骨が冒された結果であり、こういう鼻は不健康でダ宅した、社会の嫌われ者という立場にあることを示していた。

・ライリー・ウェストンの事件はよく知られている。彼女は若く見える女優で、実は32歳なのに19歳だとウソを付いたまま、1998年にテレビシリーズ「フェリシティの青春」の脚本を書いた。10代の天才ともてはやされた彼女だが、その後実年齢が明らかになた。(中略)「年齢についての偏見に満ちた業界で成功するために、必要だと思ったことをしたまでよ」

・「風俗で働いているわけでもないのにこういう手術を受けるのは、誰かから、あなたは肩癖じゃないといわれてプレッシャーを受けるからです。アダルト産業やインターネットのアダルトサイトで男性が女性の性器を観て、パートナーと比べますよね。そういうのが美しい女性期の標準になっているんだと思います。年寄りっぽいヴァギナはごめん、というわけです」

・私は少なくとも毎週二回、何らかの美容整形を専門とする医師の製品やサービスを売り歩く広報担当者からの誘いを受ける。(中略)この二、三年の間に、さまざまな治療についてk路を書いてくれと熱心に説く手紙を数多く受け取った。

・私は、ありふれてはいるが絶望的な段階に行き着いたのだ。あらゆる依存症患者がいずれ到達せねばならない、あの段階だ。その経験を通じてようやく、自分が取り憑かれている状況をはっきり悟った。どん底という状況を。

・「お尻から脂肪を取ってもらったの?」とイライラした様子で繰り返す。「そこに点々がついてるでしょ。ママにもあるんだ。ママのお友達にもあるよ。女の人にそういう点々がついてるときは、お尻から脂肪を取ってもらったんだって、ママに教えてもらったよ」。私は唖然としたー八歳の少年が脂肪吸引した人としていない人とを見分ける方法を知っているという、この堕落した社会に。

・依存行動に走るのに不適切な時間があるとしたら、それはまさに、亡くなったばかりの親しい友人を追悼する直前に他ならない。

・この数年で、女性は手術したことを自慢し、不自然さを大いに喜ぶようになった。テレビでは返信番組が大流行し、セレブを取り上げた雑誌がどんどん増え、ポルノは文化の主流に躍り出た。

大変面白かったので、別に記事を2本ほど書いております。ノンフィクションの中では文句なしの名著!騙されたと思って読んでみるべし。

整形失敗?自分を猫に近づけた女:ジョスリン・ウィルデンスタインの物語
世界に広がる「整形旅行」というビジネスと、その危険性



スポンサーリンク