賛否両論?イケダハヤトが物申す

過酷なデジタル時代を「生き延びる」ことができる編集者の条件とは

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慎さんがこんな記事を書いています。メディアの未来について。

職業人としての編集者は生き残ることができるのか:日経ビジネスオンライン


職業編集者は激減する

先日、とても才能にあふれる編集者さんと飲んでいたのだが、その時の話題はメディアの未来だった。

一番驚いたことは、最後までこの世界で生き残るであろう彼すらも、メディアの将来について悲観的だったことだ。

悲観的、といっても、メディアそのものが悪くなるというわけではない。職業としてメディア業界に働き続けられる人が激減し、こと出版に限っていえば、マスメディアは存在しなくなるだろう、と彼は話していた。

職業人としての編集者は生き残ることができるのか:日経ビジネスオンライン

この編集者の方と完全に同意です。すでに出版は市場規模が縮小しています([グラフ] じわじわ減少中。書籍、月刊誌、週刊誌の販売金額推移)。今後もこのトレンドは収まらず、出版で食っていける人の絶対数は減っていくでしょう。

就活戦線では未だに出版社が人気だそうですが、編集者を目指す学生さん、終身雇用なんて期待しちゃ絶対にダメですよ。入社するなら、独立前提で入りましょう(「転職」前提じゃなくて、「独立」前提です)。

とはいえ、厳しいなかでも生き延びることができる編集者も、当然ながら一定数存在するでしょう。一応編集の仕事もやる人間として、デジタル時代に求められる編集者の資質を考えてみたいと思います。


個人としての影響力

いきなりハードル高めですが、これからの編集者は著者や版元の陰で仕事をする「裏方」ではなく、著者と同じかそれ以上に影響力をもった「個人」であるべきです。編集者個人が顔を出し、そこにファンが付くことが、編集した作品はそれだけ売れやすくなるからです。

今でも出版業界に詳しい人に関しては、「編集者がこの人だから」という理由で作品を買うことはあります。こうした買い方を一般消費者が実践するようになる程度には、顔を見せていくべきでしょう。

実例だと、cakesの加藤さん、コルクの佐渡島さん、マンガ原作者の樹林伸さんなどが思い浮かびます。個人が思いっきり立っている編集者って、若手だとまだ見かけないかも…。


会社を辞めても持続する、ポータブルな人脈

こちらもハードル高めですが、コンテンツとなる人々との「人脈」も重要なパラメータとなるでしょう。コンテンツを結びつけるハブ的な機能を担えるかは、編集者の本質的な資質です。

まず、ここで気をつけたいのは、「○○社の編集者Aさん」としてではなく、会社の看板を抜きにした「Aさん」個人として、コンテンツクリエイターたちとつながることです。会社を辞めたとしても、変わらずその人たちと仕事ができるようなつながり方をしましょう、というよくある話ですね。

人脈という点では、ノーギャラで勝間和代さん、田原総一朗さん、猪瀬都知事などなどのメンツを「よるヒル超会議」で集めてしまった高木新平さんが、圧倒的なパフォーマンスを有しているように見えます。いやー、これ絶対真似できません…。


デジタルメディアへの理解、情熱、実験精神

言わずもがな、「デジタル」への理解はたいへん重要です。「紙しかわからない編集者」の食い扶持は減り、「紙もデジタルもわかる編集者」が稼げるようになるでしょう。

特に若手の編集者に関しては、デジタルメディアに対する理解、編集能力は、ほとんどデフォルトで求められると思われます。SEO、ソーシャルメディアは必修科目です。そしてできればサイト制作(ディレクション)と動画メディアの編集も…。デジタルメディアに苦手意識を感じている方は、かなり苦労すると思ったほうがいいでしょう。


この分野でもっとも期待できる人材は、ディスカバー21で「U25」シリーズの編集を担当し、現在「現代ビジネス」編集部に在籍している徳さんでしょう。この方は、まさに「紙もデジタルもわかる編集者」です。

編集プロダクションのWawW!Publishingにも注目です。彼らが手がける紙の書籍は、非常に高い確率で増刷。ウェブマーケティングにも力を入れており、最近は与沢翼メソッドの実験を行っていました(与沢翼メソッドで本は売れるか:「英語はまず日本語で考えろ!」のキャンペーンに注目)。

ボーン・デジタルな人材としては、同じく講談社現代ビジネス&トジョウエンジンの佐藤さん、ぼくのブログ本を担当してくれた小川さんが期待株です。彼らもまた、情熱をもって色々な実験を手がけてくれるはずです。


利害一致する人々とタイアップする能力

まだまだあります。次世代の編集者には、各ステークホルダーと「タイアップ」する能力も求められるでしょう。

こちらは事例で見るのがわかりやすいかと。たとえば「記事広告」のプロフェッショナル・谷口マサトさんの仕事は、企業の利害を読みとり、コンテンツによって価値を提供する活動と解釈することができます。

堀江さんの新作「ゼロ」も、巧みにタイアップが行われているように見えます。cakes

また、徳さんが手がけた「U30東京仕事会議 キックオフイベント!」はサイバーエージェントのIntelyとのタイアップによって実現されています。

これまでの編集者は「自社の媒体をどう面白くしていくか」だけを考えてきたかもしれませんが、これからはそれに加えて「うちの媒体を使って、他の組織にどのように価値提供できるか」も考えなければなりません。

企業はもちろん、自治体やNPOなどとも積極的に「タイアップ」し、コンテンツを制作し、ブランドをつくり、マネタイズしていくことが求められるでしょう。


イベント企画力、コミュニティマネジメント力

ここはふたつ一緒にしてしまいましょう。最後に大切なのは、リアルタイム・オフラインで読者に参加してもらう「イベントの企画能力」、そして媒体のコミュニティを維持成長させる「コミュニティマネジメント能力」です。

あまり語られませんが、イベントはまさに編集です。誰に、どこで、いつ、どんな話をしてもらうか。これを「集め」「編んで」いくことで、イベントというのは実現されます。イベントの企画は、編集者の重要な仕事になっていくでしょう。

同時に、イベントに集まった人たち、そして読者を巧みにコミュニティ化していく、コミュニティマネジメント能力も重要です。優良な読者コミュニティを持つ組織は、それだけマネタイズの選択肢が広がるでしょう。

事例としては、大手メディアGIGAZINEがまさにコミュニティ施策を始めたことは、記憶に新しいです。また、NPOとして運営しているgreenzにも注目です(寄付によるメディアづくりは可能か?NPO法人「greenz」の事例に学ぶ)。


どんだけハイレベルなんだ!という感じですが、これくらいの能力値がないと、生き延びることはできないと思われます。ぼくはブロガーとしてはもちろん、編集者としても力を付けていきたいので、上記に挙げたパラメータの強化に日々取り組んでおります。

いやー、ホント、圧倒的にならないとマズいですね…このブログはもちろん、ビッグイシュー・オンラインソーシャライズ!の方も色々仕掛けていきます。


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