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(メモ)この本はヤバい:レイ・カーツワイル「シンギュラリティは近い」

いやー、ぶっ飛びすぎて笑えます。600ページ近い大著ですが、10月にかぎって999円とセールになっています。古本が高騰している作品なので、Kindle化は非常に嬉しいですね。ひとまず読み終えたので読書メモを残しておきます。解説記事は後ほど。

 

特異点は近い

・「誰しも、自分の想像力の限界が、世界の限界だと誤解する(アルトゥル・ショーペンハウアー)」

・特異点とはなにか。テクノロジーが急速に変化し、それにより甚大な影響がもたらされ、人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうような、来るべき未来のことだ。それは理想郷でも地獄でもないが、ビジネスモデルや、死をも含めた人間のライフサイクルといった、人生の意味を考えるうえでよりどころとしている概念が、このとき、すっかり変容してしまうのである。

・チェスの世界チャンピオン、ガルリ・カスパロフの例もある。貸すパロフは1992年に、コンピュータにチェスで負けるはずはない、と一笑に付した。ところが、コンピュータの性能は毎年二倍になっていき、わずか5年後にカスパロフを打ち負かした。

・特異点に到達すれば、われわれの生物的な身体と脳が抱える限界を超えることが可能になり、運命を超えた力を手にすることになる。死という宿命も思うままにでき、好きなだけ長く生きることができるだろう。人間の思考の仕組みを完ぺきに理解し、思考の及ぶ範囲を大幅に拡大することもできる。21世紀末までには、人間の知能のうちの非生物的な部分は、テクノロジーの支援を受けない知能よりも、数兆倍の数兆倍も強力になるのだ。

・特異点以後の世界では、人間と機械、物理的な現実とヴァーチャル・リアリティとの間には、区別が存在しない。そんな世界で、確かに人間的だといえるものが残っているかと問われれば、ある一つの性質は変わらずにありつづける、と答えよう。それは、人間という種は、生まれながらにして、物理的および精神的な力が及ぶ範囲を、その時々の限界を超えて広げようとするものだ、という性質だ。

・21世紀では、100年分のテクノロジーの進歩を経験するのではなく、およそ2万年分の進歩をとげるのだ。もしくは20世紀で達成された分の1000倍に発展を遂げるともいえる。

・特異点には、次のような原則がある。
・パラダイム・シフトの起こる率が加速化している。今の時点では、10年ごとに2倍。
・すでに脳の数百の領域のうち数十は、かなり高度にモデル化されシミュレーションされている。20年以内には、人間の脳の全ての領域の働きについて、詳細に理解できるようになる。
・ハードとソフトの両方が人間の知能を完全に模倣できるようになれば、2020年代の終わりまでには、コンピュータがチューリングテストに合格できるようになり、コンピュータの知能が生物としての人間の知能と区別がつかなくなるまでになる。
・ナノテクノロジーを用いて、ナノボットを設計することができる。ナノボットとは、分子レベルで設計された、大きさがミクロン単位のロボットで「呼吸細胞(人口の赤血球)」などがある。ナノボットは、人体の中で無数の役割を果たすことになる。
・脳の毛細血管に数十億個のナノボットを送り込み、人間の知能を大幅に高める。
・フォグレットと呼ばれるナノボットは、イメージや音波を操作して、モーフィング技術を使って作成したヴァーチャル・リアリティを現実世界に出現させることができる。
・ヴァーチャル・リアリティでは、人は、身体的にも感情面でも違う人間になることができる。それどころか、他の人が、あなたが自分のために選ぶ身体とは違う身体を、あなたのために選ぶこともできる。
・最後には、宇宙全体にわれわれの知能が飽和する。これが宇宙の運命なのだ。われわれが自分自身の運命を決定するのであり、今のように、天体の働きを支配する、単純で機械的な「もの言わぬ」力に決定されるのではない。

・特異点が到来する頃には、人間とテクノロジーとの区別がなくなっている。人間が、今日機械と見なされているようなものになるからではなく、むしろ、機械の方が、人間のように、さらには人間を超えて進歩するからだ。

・「もしも今、あのときのように車に乗り込んで西海岸を目指し、新しいビジネスを始めようとしているとしたら、バイオテクノロジーとナノテクノロジーに狙いを定めるだろう(ジェフ・ベゾス)」

・資格的聴覚的に完全なヴァーチャル・リアリティ環境は、今世紀の最初の20年間で全面的に普及して、どこでも好きなところに住んで仕事をするという傾向がいっそう強くなるだる。五感全てを組み込んだ完全没入型のバーチャル・リアリティ環境は、2020年代の終わりには実際に手に入ることになるが、そうなると、現実のオフィスを使う理由はまったくなくなる。不動産は、ヴァーチャルなものになる。

・モラヴェックの分析によれば、網膜は、輪郭と動きの検出を毎秒1000万回も行う。ロボットの視覚系の開発に何十年も費やしてきた経験から、モラヴェックはこれらの検出動作の一回分を人間のレベルで再現するには、約100回のコンピュータ命令が実行される必要があると資産した、つまり、網膜のこの部分の画像処理機能を模倣するには、1000MIPSが必要なのだ。

・スーパーコンピュータは、人間の脳の機能的な模倣における保守的な推定値10の16乗cpsを
、次の10年のうちに達成するだろう。

・ピコスケールのテクノロジーがいち早く取り入れられた事例が、少なくとも数点はある。ドイツの科学者らは、原子力顕微鏡を作り、直径が77ピコメートルしかない原資の特徴を解像することに成功した。

・われわれは両目を通じて高解像のイメージを受け取っているという幻想を抱いているが、視神経が実際に脳に送ってきているのは、視野の中で興味を引いた点についての輪郭や手がかりにしかすぎない。つまるところ、並行したチャネルを通って届けられた極端に解像度の低い一連の画像を、皮質が解釈し記憶したものを頼りにして、まさに世界を幻視しているのである。

・デューク大学のミゲル・二コレリスらは、サルの脳にセンサーを埋め込んで、思考だけでロボットを操作させている。

・「脳をスキャンして理解する」よりももっと論議を呼ぶシナリオが、「脳をスキャンしてアップロードする」というものだ。人間の脳をアップロードするということは、脳の目立った特徴を全てスキャンして、それらを、十分に強力なコンピューティング基盤に再インスタンス化することである。このプロセスでは、その人の、人格、記憶、技能、歴史の全てが取り込まれる。

・2030年代の初めというのが、アップロードを行うにあたって必要な、コンピューティングの性能、メモリ、脳スキャンの全てが揃う妥当な時期だ。

・「人間の後継者となれるものはなんだろう。われわれ自身が今、創造しているもの、それが答えだ。やがて機械にたいする人間の位置づけは、人間にたいしての馬や犬に等しいものとなるだろう。つまり機械は生命を持っている、もしくはもつようになるのだ(サミュエル・バトラー 1893年の書簡)」

・21世紀前半は3つの革命が同時に起きた時代であったと、いずれ語られることになるだろう。その3つとは、遺伝学(G)、ナノテクノロジー(N)、ロボット工学(R)である。

・彼(デ・グレイ)が言うように、「遺伝子工学で老化に打ち克つための核となる知識は出そろった。あとはそれらをひとまとめにするだけなのだ」。彼は「若返って元気になった」マウス、実験によって機能が若返り、長生きしてそれを証明できるマウス、は10年以内に実現すると信じており、そうなると世論に劇的な影響を及ぼすだろう、と述べている。

・クローニング技術によって、世界の飢餓も解消できるかもしれない。肉などのタンパク資源を、動物がいない畜産場で、動物の筋組織をクローニングして生産するのだ。

・DNAから作られた名のスケールの装置がいくつも開発されているが、とりわけ印象的なのは、長さ10ナノメートルの二本足で歩く小型ロボットだ(ニューヨーク大学の化学教授、寝いドリアン・シーマンとウィリアム・シャーマンが製作)。

・「ナノ医療が介入すると、最終的にはあらゆる生物学的老化を継続的に止めるだけでなく、現在の生物学的年齢から本人が希望する年齢へと若返れるようにあんる。(中略)このような介入は、あと数十年もたてばあたりまえになるだろう。毎年、健康診断と体内戦場を受け、必要に応じておおがかりな修復を行えば、そのつど、生物学的な年齢を自分が選んだ整理学的な年齢に近づけることができる。結局は思いがけない理由で死んでしまうかも知れないが、少なくとも今の10倍は長生きできるようになるだろう(ロバート・A・フレイタス・ジュニア)」

・正確な分子制御を製造に応用する格好の事例として、数十億から数兆ものナノボットの動員が創造できる。このナノボットのサイズは血液中を移動できる人間の血液細胞ほどか、それよりも小さくなるだろう。

・映画を批評する、記者会見を開く、話し言葉を翻訳するという、自然言語を人間レベルで理解することが求められる三つの行為がもっとも難しい。これらの貼り紙をはがせるようになれば、チューリングテストをクリアできる機械が実現し、強いAIの時代がいよいよ始まる。

・強いAIの登場は、今世紀にわれわれが目撃するもっとも重要な変革だ。その重要さは、生物の出現に匹敵すると言ってもよい。創造された生物はついに自らの知能を極め、その限界を超える術を見いだすことになる。

・「機械はどんどん人間のようになっていき、人間はどんどん機械のようになっていく(ロドニー・ブルックス)」

・ジョスリン糖尿病センターのロン・カーン博士はすでに「脂肪インシュリン受容体」遺伝子を特定しているが、それは脂肪細胞による脂肪の蓄積をコントロールするものだ。カーン博士はその先駆的研究において、マウスの脂肪細胞中にある、このたったひとつの遺伝子の発現を抑えれば、マウスは際限なく食べつづけながら引き締まった健康な身体を維持できることを証明した。

・最終的には、最適な健康状態を得るにはどんな栄養剤が必要か、ひとりひとりに合わせて正確にわかるようになるだろう。そういったものは安く、気軽に利用できるため、いずれは食べ物から栄養をとるという面倒はまったく不要になる。

・やがて栄養は特殊な代謝用ナノボットによって血流へと直接送り込まれ、同時に血中や体内にあるセンサーが、それぞれの部位で必要な栄養について、無線通信で情報を送るようになるだろう。この技術は2020年代の終わり頃までにかなり成熟するはずだ。

・テクノロジーがそこまで発展すると、われわれは美食の喜びを感じさせてくれるものをほしいままに食べられるようになる。それらの味や舌触りや香りをぞんぶんに堪能する一方で、血液中には最高の栄養を注ぎ込めるのだ。それを可能にする方法のひとつとして、食べたものが通過する消化管を改造し、血液中へはなにも吸収させないという手法が考えられる。しいかしこれは腸への負担が大きいので、さらに洗練された手法として、排泄という昔ながらの機能を人体からなくしてしまうこともありうる。(中略)腎臓のように血液中の不純物を濾過する臓器は不要になるだろう。

・人工心臓への交換も実現し始めているが、もっと有効な方法は、心臓を完全に取り除くことだろう。フレイタスが設計したもののひとつに、自力運動性のナノロボット血球がある。血液が自動的に流れるのであれば、一点集中のポンプにひじょうに強い圧力が求められるという技術上の問題は解決される。

・やがて、血液やその他の代謝経路を流れる化学物質、ホルモン、酵素などを作り出す臓器も不要になる。いまやこれらの物質の多くについて、生体とまったく同じものを合成できるようになっている。

・2030年代の初頭、われわれはどうなっているのだろう。心臓、肺、赤血球、白血球、血小板、腎臓、甲状腺他全ての内分泌器官、腎臓、暴行、食堂下部、胃、小腸、大腸などはすでに取り除かれている。この時点で残っているのは、骨格、皮膚、生殖器、感覚器官、口と食堂上部、そして脳だ。

・「ある風の強い日のこと、ふたりの僧がはためいている旗について議論していた。ひとりは「風ではなく、旗が動いているのだ」と言い、ひとりは「いや、旗ではない。風が動いているのだ」と言っている。そこへ、三人目の僧がとおりかかって言った。「風は動いていない。旗も動いていない。動いているのはあなたがたの心だ」(禅のたとえ話)」

・ヴァーチャル・リアリティの世界では、われわれはひとつの人格に縛られなくなる。外見を変えて事実上他の人間になれるからだ。肉体を変えることなく、三次元のヴァーチャル環境に投影される身体を簡単に変えられる。

・アップロードされた誰かの他の人の感覚・感情に接続して、その人になったような体験をする娯楽が人気を集めるだろう。

・2020年までに、完全没入型の視聴覚ヴァーチャル環境の中で体をすばやく変化させられるようになるだろう。そして2020年代にはあらゆる感覚と結びついた完全没入型のヴァーチャル・リアリティ環境の中で変身できるようになる。そして2040年代には現実世界でそれが可能になる。

・「生物学においては、まだ死の必然性を裏付ける証拠は見つかっていない。このことからわたしは、死は必ずしも避けられないものではと考える。生物学者がわれわれの苦しみの原因となっているものを発見するのは時間の問題であり、この恐るべき普遍的な病、あるいは人体のはかなさは、いずれ解消されると考えている。(リチャード・ファインマン)」

・今のところ、われわれ人間というハードウェアが壊れると、生命というソフトウェア—個々の「精神のファイル」—も一緒に消える。しかし、われわれが脳と呼ぶパターンに納められた数兆バイトもの情報を保存し、復元する方法がわかれば、事情は違ってくる。そのとき、精神のファイルの寿命は、個別のハードウェア媒体の永続性には依存しなくなるだろう。最終的に、ソフトウェアをベースとする人間は、今日われわれが知っている人間の厳しい限界を大きく超えるものになる。彼らはウェブ上で生きてゆき、必要なときや、そうしたいと思ったときには体を映し出す。

・光速よりはるかに速い速度を生じているかに見える遠隔作用については、量子ディスエンタングルメントというもうひとつの興味深い事実がある。

・彼らが提唱した技術は、自然発生した原子より小さいワームホールにエネルギーを加えて拡大し、さらに超伝導状態の球を用いて二つの「ワームホールの口」を安定させるというものだ。ワームホールが拡大し安定した後、地球上にある入り口とのつながりを保ちながら、もう一方の入り口を他の場所に移動させる。

・ジョン・スマートは彼が「超越」と呼ぶシナリオの中で、文明をもった生命体がひとたび宇宙の近隣一帯をみずからの知能で満たしたなら、彼らは新たな宇宙を創造し、本質的にはこの宇宙を去ると述べている。

・「今後発見される地球外生命体は機械の知能であり、われわれのような生物的知能ではないと予測される(セス・ショスタック)」

・特異点がもたらすであろう芸術や科学、その他あらゆる形態の知識の爆発的な発展によって、人生は十分、耐えられるものになるだろうし、真に有意義なものになるはずなのだ。

・「愛を思い出すことができるのだろうか?それは地下室でバラの匂いを思い起こそうとするようなものだ。花の姿は目に浮かんでも、匂いは思い出せない(アーサー・ミラー)」

・意識の実在を客観的に裏付ける客観的な検証法は、ひとつとして存在しない。

・わたしが言いたいのは、意識についての問題は、たんに高尚な哲学的関心事としては片付けられないということだ。それは社会の法律と道徳の基盤の核となっているものなのだ。

・モリー2007「それでは、宇宙の存在を事実としては認めないの?」レイ「認めないね。さっきも言ったように、その存在は信じる。だが、これはあくまで信念だ。不確かだけど、信じ込もうとしているだけだ」

・わたしは、21世紀のテクノロジーがはらむ危険にたいするわれわれの倫理的な対応のひとつとして、正しいレベルの放棄は確かに必要だと考える。この建設的な方法例のひとつが、ドレクスラーのフォアサイト研究所が提案した倫理ガイドラインだ。すなわち、ナノテクノロジー技術者は自然環境で自己複製できるナノボットは開発しないことに同意する、というものだ。

・「私という人間が世間の目にどう映っているかは知らないが、自分には海辺で遊ぶ子どものようなものだとしか思えない。いつも見るものよりなめらかな石ころやきれいな貝殻を見つけては、一生懸命になっている間にも、眼前には真理の大海が、発見されぬまま広がっているのだ(アイザック・ニュートン)」

と、とりあえずメモは以上…。さすがの大著なので、書き写すのも一苦労ですね。これでも端折りまくってます。さて、ここから料理していきます。明日以降、記事をアップしていこうと思います。

読み終えるかどうかは別として、999円は間違いなく安いので、テクノロジーが好きな方はぜひダウンロードを。

 

 

追記。

「シンギュラリティ(特異点)」とは何か

600px Raymond Kurzweil Stanford 2006 square crop この本はアメリカの発明家で未来学者のレイ・カーツワイルが、21世紀に来るはずの「シンギュラリティ」について詳細な解説を記した作品です。彼は『The Age of Intelligent Machines』でインターネットの普及や、ロボットがチェスの王者になることを予言し、話題を集めました。 「シンギュラリティは近い」の副題は「人類が生命を超越するとき」。何を大風呂敷な、と思ってしまいますが、彼が予言する内容は、まさに人類における革命的な変化といえます。しかもこれらの変化は、21世紀中に起きると彼は語っているのです。 というわけで、書中から、彼がどのような世界を予言しているのかを抜粋してみましょう。いやー、ぶっ飛んでますよ、ホント…。

脳みそをデジタル化できるようになる

いきなりびっくりしますが、レイ・カーツワイルによれば、コンピュータの性能は指数関数的に向上し、「人間の脳の機能をスキャンできる」ほどに発達するそうです。つまり、ぼくらの脳みそをデジタル化し、保存したり、コピーしたり、デバイスにインストールすることができるようになるのです。

「脳をスキャンして理解する」よりももっと論議を呼ぶシナリオが、「脳をスキャンしてアップロードする」というものだ。人間の脳をアップロードするということは、脳の目立った特徴を全てスキャンして、それらを、十分に強力なコンピューティング基盤に再インスタンス化することである。このプロセスでは、その人の、人格、記憶、技能、歴史の全てが取り込まれる。

ややわかりにくい表現ですが、要するに、自分の脳をロボットにインストールすることができる、という話です。完全にSFですねー。 実際、すでに脳の機能の一部はシミュレーションが可能なまでにモデリングされているとのこと。以前紹介した脳波で義手をコントロールする実験もその一例なのでしょう。

すでに脳の数百の領域のうち数十は、かなり高度にモデル化されシミュレーションされている。20年以内には、人間の脳の全ての領域の働きについて、詳細に理解できるようになる。

しかもこの技術については、なんと2030年代の初めには実現できるだろう、と彼は予測しています。あと20年!

2030年代の初めというのが、アップロードを行うにあたって必要な、コンピューティングの性能、メモリ、脳スキャンの全てが揃う妥当な時期だ。

 

ヴァーチャル・リアリティが完全になる

脳の機構が明らかになると同時に、@ヴァーチャル・リアリティ(仮想現実)」が現実と変わらない水準にまで達します。 卑近な例だと、オフィスは完全に不要になる、と述べられています。

視覚的聴覚的に完全なヴァーチャル・リアリティ環境は、今世紀の最初の20年間で全面的に普及して、どこでも好きなところに住んで仕事をするという傾向がいっそう強くなるだろう。 五感全てを組み込んだ完全没入型のバーチャル・リアリティ環境は、2020年代の終わりには実際に手に入ることになるが、そうなると、現実のオフィスを使う理由はまったくなくなる。不動産は、ヴァーチャルなものになる。

自宅にある小型のカプセルに入ってヘッドセットを付ければ、そこはもう職場で、仲間たちが変わらぬ様子で働いている。退勤時には「失礼します」と接続を切れば、そこは自宅…みたいな世界観ですね。うーん、これはいいかも。
エンターテイメントに関しても、面白い予測がなされています。

アップロードされた誰かの他の人の感覚・感情に接続して、その人になったような体験をする娯楽が人気を集めるだろう。

たとえば、ぼくが炎上しているときの気分を保存し、それをアップロードすれば、読者のみなさまもぼくと同じ気分が味わえるようになるわけです笑 教育においても使えそうですね。

臓器の大部分が不要になる

書中では、ぼくらは「ナノテクノロジーを使った極小のロボット(ナノボット)」を自分の身体に注入することができるようになり、それによって、臓器が不要になるとも書かれています。 まず、人間の生命の大きなリスク要因である「心臓」を不要にすることができます。血液は心臓のポンプを使って循環していますが、自ら運動する血球ロボットを血管に流し込めば、それで十分というわけです。

人工心臓への交換も実現し始めているが、もっと有効な方法は、心臓を完全に取り除くことだろう。フレイタスが設計したもののひとつに、自力運動性のナノロボット血球がある。血液が自動的に流れるのであれば、一点集中のポンプにひじょうに強い圧力が求められるという技術上の問題は解決される。

栄養はもちろん、ホルモンなども、血中のナノボットたちが提供してくれるようになります。

・やがて、血液やその他の代謝経路を流れる化学物質、ホルモン、酵素などを作り出す臓器も不要になる。いまやこれらの物質の多くについて、生体とまったく同じものを合成できるようになっている。

2030年代初頭には、ぼくらの臓器の大部分は不要になります。

2030年代の初頭、われわれはどうなっているのだろう。心臓、肺、赤血球、白血球、血小板、腎臓、甲状腺他全ての内分泌器官、腎臓、暴行、食道下部、胃、小腸、大腸などはすでに取り除かれている。この時点で残っているのは、骨格、皮膚、生殖器、感覚器官、口と食道上部、そして脳だ。

 

人間が死ななくなる

さて、このレベルまで人体をコントロールできるようになれば、「老化」のコントロール、さらには「死」の超克すらも可能になると考えられます。

ナノ医療が介入すると、最終的にはあらゆる生物学的老化を継続的に止めるだけでなく、現在の生物学的年齢から本人が希望する年齢へと若返れるようになる。(中略)このような介入は、あと数十年もたてばあたりまえになるだろう。 毎年、健康診断と体内戦場を受け、必要に応じておおがかりな修復を行えば、そのつど、生物学的な年齢を自分が選んだ生理学的な年齢に近づけることができる。 結局は思いがけない理由で死んでしまうかも知れないが、少なくとも今の10倍は長生きできるようになるだろう(ロバート・A・フレイタス・ジュニア)

冒頭で紹介した「脳のデジタル化」を行えば、自分という存在を別の場所に引き継ぐことも可能になります。ぼくらは「人体」というハードウェアを乗り越え、よりソフトウェア的な存在になるわけです。

今のところ、われわれ人間というハードウェアが壊れると、生命というソフトウェア—個々の「精神のファイル」—も一緒に消える。 しかし、われわれが脳と呼ぶパターンに納められた数兆バイトもの情報を保存し、復元する方法がわかれば、事情は違ってくる。そのとき、精神のファイルの寿命は、個別のハードウェア媒体の永続性には依存しなくなるだろう。 最終的に、ソフトウェアをベースとする人間は、今日われわれが知っている人間の厳しい限界を大きく超えるものになる。彼らはウェブ上で生きてゆき、必要なときや、そうしたいと思ったときには体を映し出す。

ぼくがもしも死んでしまったとしても、脳を保存してさえおけば、自分にそっくりなロボットに自分をインストールすることができ、娘や妻、仕事仲間は、ぼくのロボットを、ぼくとして扱えるようになる、という未来ですね。

人工知能が人間の知能を超える

技術的特異点という文脈で、もっとも重要視されているのが「強いAI」の登場。「強いAI」とは、人間と見分けがつかないレベルまで発達した人工知能のことです。

強いAIの登場は、今世紀にわれわれが目撃するもっとも重要な変革だ。その重要さは、生物の出現に匹敵すると言ってもよい。創造された生物はついに自らの知能を極め、その限界を超える術を見いだすことになる。

強いAIの登場は、「機械が人間より知能的に優れている」という状態を生み出します。これは、人間と機械の位置が逆転しかねない変化です。機械の方が「賢い」わけですから、ぼくら人類は、そんな賢い機械の道具としてしか機能できなくなる可能性があります。 機械は知識や技能の習得・共有にまったく時間が掛からない(ソフトウェアをコピーすれば、すぐに同じ動作ができるようになる)ので、ひとたび機械が人類の知能を超えたら、あとは指数関数的に、機械の知能が向上していくことになります。 この先にあるのは一体どんな世界なのか。機械が人間を支配する、人間は自らの体を捨て機械になっていく、人間はどこまでも機械を道具として扱うことに成功する…各種のSFで描かれているのでしょうね。
いやはや、これらの変化が21世紀中に訪れるというから、ヤバい話ですね。他にも、 ・クローン技術によって食料を生産できるようになり、飢餓がなくなる ・遺伝子をコントロールすることで、美食をどれだけ楽しんでも、肥満にならないようになる ・エネルギー問題が完全に解決する ・ワームホールを生み出し、ワープできるようになる ・霧状のナノボット(フォグレット)によって、ヴァーチャル・リアリティが現実空間で実現されるようになる ・宇宙を支配できるようになる ・新しい宇宙を生み出すことができるようになる なんてクレイジーな予言の数々が飛び出しています。なんかもう、人類どうなっちゃうんでしょうね!ワクワクします。

Siriが面白いぞ…

「人工知能が人間を超越する」なんていかにもSF的ですが、冷静に考えてみると、iOSに搭載されているSiriって、少なくともユーモアセンスにおいては、ぼくを超越している気がします。有名な話ですが、Siri、めっちゃ面白いんですよね。

これとか面白い!


うーん、Siri、やりますね。着々とアルゴリズムも進化しているでしょうし、変なお笑いより、よっぽど笑えるコンテンツになっていきそうです。

人工知能がエンターテイメントになる

人間と同等か、それ以上に進化した人工知能は、最高のエンターテイメントを提供してくれる相手として機能するようにもなるのでしょう。 20年後あたり、自分のテイストにあったギャグをタイムリーに提供してくれる「お笑いロボット」とか登場していそう。そのロボットが一台あれば、家の中が常に笑いに包まれる、みたいな。 ラブプラスという恋愛シミュレーションゲームがありますが、この種のゲームもアルゴリズムがさらに高度になり、本当に恋愛をしているようなドキドキ感を楽しめるようになるでしょう。著書によれば、20年後あたりには「バーチャル・リアリティが現実と変わらない水準まで進化する」そうなので、現実の恋愛を放棄する人たちすら出てきそう。

笑いやドキドキだけでなく、たとえば哲学的な疑問(「人間の生きる意味って?」)に向き合う相手や、困った時の相談相手としても機能するようになるでしょう。池上彰さん的な「解説」なんかも提供してくれるようになるかもしれません。
夢物語のように感じますが、実際、Siriはかなり面白いヤツであるわけです。しかも、これからのその「面白さ」はますます進化していく見込みです。「お笑い」が機械に代替される日って、そう遠くないかもしれませんね。

彼の予言はぼくらの感覚からすれば、どう考えても「ありえない」話です。が、100年前の日本人に「21世紀初頭には、手のひらサイズの小さな機械で、世界中の人とコミュニケーションができるようになっている」と説明しても、やっぱり「ありえない」と返ってくるのではないでしょうか。同様に、未来はぼくらにもわからないはずです。 というわけで、「ありえない」未来をぜひ本書で体験してみてください。先に言っておきますが、読み切るのが大変なほどの大著です。セール価格の999円はホントにお買い得。

関連記事: ・レイ・カーツワイル 「加速するテクノロジーの力」 | Video on TED.comレイ・カーツワイル:今後現れるシンギュラリティ(技術的特異点)を学ぶ大学 | Video on TED.com技術的特異点 – Wikipediaレイ・カーツワイルが描く「素晴らしき新世界」 – CNET Japan世界的権威レイ・カーツワイルが、グーグルで目指す「究極のAI」 « WIRED.jp

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