賛否両論?イケダハヤトが物申す

デフレ、人口減、空き家率上昇中!なのにバブル期から「家賃」がまったく下がらない理由

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あまり知られていないことですが、日本の家賃はバブル期から変わっていません。


バブル期から家賃が下がらない理由

住宅地地価と家賃の変化
家賃に見る価格の下方硬直性: ニュースの社会科学的な裏側より)

こちらのグラフがもっとも分かりやすいので引用。バブルを経て、住宅地地価が下がっているのに対して、賃貸物件の価格、すなわち家賃はまったく減少していません。デフレに人口減、しかも空き家率も上昇しています。常識的に考えれば家賃は下がりそうなものですが、一体なぜこんなにも硬直的なのでしょうか。

様々な理由が考えられるのですが、かなり説得力のある指摘が、書籍「住宅政策のどこが問題か」に掲載されていたのでご紹介いたします。

経済が停滞し、借家人の所得が減少すれば、市場家賃は低下すると予測される。にもかかわらず、家賃水準は上昇した。そのおもな要因は、低家賃住宅のストックの現象である。

家賃の動向を理解するには、借家の型構成の変化を見る必要がある。借家ストックには、低家賃の木造アパートから高級な賃貸マンションまで、多彩な型の住宅がある。

経済停滞の実態からすれば、同一住宅の家賃が大きく上昇したとは想定できず、したがって、低家賃ストックの現象によって借家の型構成が高家賃側にシフトしたと考えられる。

民営借家市場では、「アマチュア」的な零細家主が木造賃貸住宅を供給し、低質ではあっても、低家賃の住む場所を提供してきた。しかし、そのストックの多くは老朽し、取り壊れる傾向にある。木造共同立ての民営借家は、1983年では301万戸、全借家の24%を占めていたのに比べ、2003年では251万戸、15%に減少した。

そして、住宅システムを市場化する政策は、民間賃貸セクターをより「プロフェッショナル」な投資の対象に転換する方向性を持つ。低家賃住宅の供給は、投資対象として成り立たず、いっそう減少せざるをえない。

なるほど。昔は今よりも「低質だけど低家賃」の木造住宅が多かった、というわけですね。今ではそういう物件は取り壊されて、より収益性の高い「高品質・高家賃」の物件が多く建てられるようになっていると。


低家賃の住宅が減少することで、一体何が起こっているのか。それは「低所得層の居場所がなくなる」というあまりにもシンプルな現象です。

低所得層は持家を持つことはもちろん、高家賃の民間の住宅に住むこともできません。と、なればあとに残されているのは「実家に住む」という選択肢です。「パラサイト・シングル」という懐かしいバッシングを思い出しますが、低所得な若者は、寄生せざるをえないわけです。

「実家に住む」という選択肢が用意されていない場合は、即、ホームレス(ネットカフェ難民含む)となる可能性もあります。最近は「脱法ハウス」も話題になってますね。

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毎日新聞より)


本来は低所得層に向けて低家賃の公営住宅が用意されているべきですが、2005年の段階でも「公営住宅の応募倍率は東京都では約32倍」というから、供給が追いついていないことは明らかです。本書では、公営住宅の供給を増加させることが提言としてまとまっています。


住まいという身近すぎる話に関わる「住宅政策」は、もっともっと注目を浴びてよいテーマです。が、今回の都議選などを見ても住宅政策に触れている候補者はごくわずかのようです。

これから困窮者が増えることは間違いないわけで、持家政策一辺倒の状況から抜け出し、賃貸というライフスタイルにも政治の目を向けるべきでしょう。

住宅問題の研究者は稀少なようで、「住宅政策のどこが問題か」が唯一の入門書と言っていいレベルです。大きな問題ですので、ぜひ関心がある方は手に取ってみてください。なお、ビッグイシュー・オンラインにも著者の平山さんの対談などを収録しています。

住宅政策 | BIG ISSUE ONLINE



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