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なぜ若者は過労死するまで働くのか—「逃げ場」を作ろう

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これはすばらしい一冊です。真に迫った、圧力のある作品。ぜひ多くの方に読んでもらいたい内容です。

日本の狂った労働の現状について、特にクリアに論じられている箇所をピックアップしてご紹介。


なぜ若者は過労死するまで働くのか

端的に言って、現在の若者は、年功評価があるから頑張るのではない。そうではなく、商品としてふるまわないと、死んでしまうから頑張るのだ。
就職できなければ、日本社会に社会福祉はない。
最近の生活保護に対するバッシングを見ても、「企業で働かないなら、死ねばいい」と言わんばかりだ。
もし就職できなくて、非正規雇用で働くことになった場合にも、そこには共通規則がないので、生活できる賃金は支払われない。
だから、生きるためには、どんな命令も受け入れる姿勢をアピールし続けるしかない。就職活動の厳しさは、まさにそこに現れている。

本書では主に労使関係に着目しながら、この現状の打開策が述べられています。端的に説明すると、

・日本型雇用には共通規則(最低賃金や職種別賃金)がないため、利害が対立する状態が生まれる。雇用契約の規制の求め方を「この企業の正社員の場合には○○を」から、「この仕事に就いている全員には必ず○○を」と変える。これによって、会社ごと、正規・非正規の分断が解消され、競争されていたものの利害が一致する。

・労働時間や業務の遂行方法、配置転換など「働かせ方」についてを交渉のテーブルに乗せ、「無限の命令」を規制していく。

なんて方策が提案されています。新書ですが骨太な内容ですので、ぜひ本文をじっくりお読みください。


冒頭で引用した現状については、他にも様々な解決策がありえると考えます。

まず、「就職できなければ、日本社会に社会福祉はない」という現状は、「じゃあ就職しないでも最低限生きていける社会福祉を整備すればいいじゃないか」という解決策が考えられます。


この点に関しては、税金を用いた社会保障はもちろんのこと、「個人間の支え合い」に可能性を感じています。


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たとえば家入さん主宰するシェアハウス「リバ邸(六本木)」は、「月5万円でも生きていける」インフラとなっているそうで。サブタイトルは「現代の駆け込み寺」。

ひとりで自活しなければいけない人で、最低限必要な収入は……月5万円くらいなんじゃないですかね。僕はそういう子たちのために「リバ邸」[*20] ってシェアハウスを借りているんです。リバ邸に住んで毎日すき家でご飯食べれば、5万円でも生きていける。今の時代、雨風をしのげてネットがつながる場所があれば何でもできるので。

津田大介の「メディアの現場」:津田大介チャンネル – ニコニコチャンネル :社会・言論(有料メルマガです)

こういった暮らしを可能にするためには一定の要件(単身世帯、コミュ力・コンテンツ力がある、価値観に合致する、人口密度が高い地域に住んでいる)は求められますが、「最悪、5万円あれば生きていける」というのは、「企業で働かないなら、死ねばいい」という視線から逃れるための強力な事実だと思います。実際、リバ邸には行き場をなくした若者が流れ着いているとか。


企業側は無制限の命令によって、「働かないと、死ぬ」若者たちを食い物にしようとしています。この無限の命令権を規制するのは、間違いなく推し進めないといけないことでしょう。

一方で、会社の外に「逃げ場」を用意するという選択肢も、ぼくらには残されています。家入さんのように「逃げ場」を積極的に作っていくのはもちろん、「逃げ場」の存在を知らしめることも大切です。すでに存在していても、それを知らなければ、アクセスできませんから。


世の中には多様な生き方をしている人がいます。そうした生き方(逃げ方)を知るだけでも、救われる人はいるでしょう。

ちょうど先日、会社員生活を捨て、田舎に移住し農業と山林管理でのんびり暮らしている、という方からメッセージを頂きました。いわく「無理してうつになるまで会社にしがみつくことはないのではないか?」。

きっとご自身も過酷な経験があって、「逃げ」た先に行き着いたのではないかと想像します。ちょうどスランプな時期だったので、メッセージを頂いて「あぁ、ぼくも無理してしがみつかず、困ったら田舎でのんびり暮らそう…」と気づき、気が楽になりました。


というわけで、ぼく個人としては「逃げ場」の創造と、情報発信に努めていきたいと考えています(特にリアルな場は作りたい…空き家は増えていくわけですし)。


「日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?」は、日本の「働く」について考えるための、新しい教科書です。ぜひぜひ本書を手に取り、何ができるかを考えていきましょう。★5つ。


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