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「人生は人生ゲームなのです」—タカラ創業者・佐藤安太 名言まとめ

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うーん、痺れました。御年88歳の佐藤安太さんによる手記。すばらしい一冊でした。読書メモとして名言をまとめます。

 

人生は人生ゲームなのです。

まずは目先の5年先を考えて、自分をいかに成長させていくかを考える。この5年をどんどん積み重ねていくうちに、あなたの中にあった人生の究極の目標がはっきりとしてくるはずです。つまり、人生は人生ゲームなのです。1マス5年で、自分を成長させていく人生ゲームです。

環境は与えられるものではありません、自分で探すものだと思います。

・(戦時中、防空壕で爆撃を受けていたとき)私は、校長先生に少しでも安全な場所をと思って、場所を変わりました。しかし、それが仇になって、校長先生は亡くなり、私は生きながらえたのです。(中略)これは戦争の体験をしたものでないとなかなかわからない感覚ですが、私は自分で生きているというよりも、死んでいった仲間たちに生かされているという感覚を抱きました。

自分のキャリアデザインを考える前に、自分の人間成長デザインを考えてください。自分がどのように成長していきたいか、それを真剣に考えれば、おのずとその成長戦略に見合ったキャリアデザインが見えてくるはずです。

・長期的に考えると、新商品を開発した方が利益はわずかに大きくなります。小さくない開発費が必要になりますが、開発の途中でさまざまなアイディアやノウハウが蓄積されるので、次の商品がどんどん開発しやすくなっていくのです。

・ヒットした原因がわからない。これでは経営者とは言えません。

失敗には学んで、失敗の中に埋もれている小さな成功を見つけだして、それをコツコツと積み重ねていく。そのために自分の足りないものはなにかと考えて、自分を成長させていく。これが理想的な人生ゲームの進め方です。

・リカちゃんだって、ただ放っておいていつまでも売れ続けたわけではありません。売上が低迷した時期はもちろんあります。しかし、そのたびに新しい仲間を発売する、モデルチェンジをするというやり方で、新しい顧客層を獲得することで、定番化させてきたのです。

・リカちゃんで多くのことを学び、その体験を後の玩具に活かしてきました。しかし、リカちゃんとまったく同じではありません。ミクロマンはミクロマンにふさわしい手法を、のちのチョロQではチョロQにふさわしい手法を新たに考えていきました。

・一度つかんだ成功体験は、盲目的にしたがうだけでは、大切にしているとは言えません。常に目の前の現実に即して、修正したり新たに付け加えたりして、成功体験そのものを成長させていって、初めて大切にしていると言えるのです。

・玩具は、私たち作る方よりも、お客さんである子どもたちの方が、はるかに創造力に満ちた遊び方を生み出すものです。

・「後継者を育てることができなかった」。これは私の人生の中でも、もっとも大きな失敗となりました。

・リタイアされた方は、趣味に時間を割いたり、旅行に行ったりして、端から見れば、幸せな時間をすごしているかのように見えます。しかし多くの方は、世間の思う”第二の人生のイメージ”をなぞっているだけで、内心は自分の納得のいく第二の人生を見つけようとしてもがいているのではないでしょうか。

・PDCA分析でもっとも能力が要求されるのは、C=チェック、つまり仮説のどこかが間違っていたかを検証する部分です。ここは徹底的に議論をしなければなりませんし、寝ても覚めても「どこが間違っていたのか」を考えつづけなければなりません。ところがPDCA分析に慣れていない人は、これができないのです。

その他、書中では「ダッコちゃん」「リカちゃん人形」「GIジョー」「人生ゲーム」「トランスフォーマー」などなど、お馴染みのおもちゃの開発秘話が展開されています。プロダクトづくり、サービスづくりに関わる方は読んでおいて損はない一冊です。

何より、佐藤さんの人生の歩み方自体がたいへん素敵です。会社を退いたあとは、課題として残っていた「人の育成」に力を入れるべく、NPO「ライフマネジメントセンター」を立ち上げ、なんと86歳で博士号を取得しています。

現在88歳の佐藤さんは「人生はあと2マス」と言います。残りの2マスでは、今までやり残してきた「世界の平和と社会の進化に貢献する」ことに取り組んでいくそうです。そこが人生ゲームのゴールとのこと。うーん、すごい…。

 

発売から45年。未だに売れつづける秘訣とは

特に興味深かったのが、リカちゃん人形をロングセラー商品に仕立て上げるための考え方。おもちゃというものは流行り廃りが早く、ともすると「打ち上げ花火」型の不安定なビジネスになってしまいます。上場企業としては、これではまずいわけです。

実際、人気商品の「ダッコちゃん」は瞬間的なブームで終わり、事業を縮小し、社員を里子に出す痛手を被っています。そんな失敗を踏まえて、佐藤さんは「永久に売れ続けるおもちゃ」の開発に注力します。

 

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(短命に終わったダッコちゃん。経営危機をもたらしたそうな)

 

で、2012年で45周年を迎えた「リカちゃん人形」は、見事に計画通り、ロングセラー商品となりました。タカラは他にも「チョロQ(1980年)」「人生ゲーム(1963年)」「トランスフォーマー(1984年)」などなど、多数の長寿商品を生み出しています。

リカちゃん人形が売れ続ける秘訣は、「寅さん」にヒントがあります。

思い付いたのは、映画の「男はつらいよ」でした。寅さんの映画は、当時すでにシリーズ化され、毎年多くの人が映画館に観に行っていました。でも、ストーリーは毎回ほとんど同じ、それがどうして飽きられないかというと、マドンナの存在なのです。

毎回、違ったマドンナが登場して、寅さんとの淡い恋愛エピソードが語られる。違うマドンナが登場することで、寅さんの違った面が見えて、観客はどんどん寅さんに親しみを覚え、寅さんが好きになっていくのです。

「これだ!」と思いました。主人公であるリカちゃんは、どうやっても変えることができない。むしろ変えない方がいい。でも、リカちゃん以外の登場人物=マドンナを登場させることで、リカちゃんの別の面が見えてくる。そうすれば、また別の遊び方ができ、飽きずに遊びつづけられると思ったのです。

そうしてリカちゃんには周辺のキャラクターが多数登場することになります。「ママ」「パパ」をはじめ、「いづみちゃん」「わたるくん」「ごろちゃん」「さわやかリーナ(ハワイの友だち)」「リエ(姉)」「もえちゃん」などなどが参加し、子どもたちは新たなストーリーを楽しむことができるのです。

ちなみに男性遍歴は「立花わたる」「藤原マサト」「佐藤イサム」「滝沢駆(かける)」「フランツ・シブレー」と5人に及ぶそうで(参考)。フランツとの間には女児ももうけています(名前は母と同じ「リカ」だそうで)。

リカちゃんの顔や髪型は、時代に応じてかなり変わっています。ここら辺も売れ続ける秘訣なのでしょうね。

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書中では、当初は「エミリー」という名前だったが、色々な都合で使えず「リカちゃん」になったという面白エピソードも紹介されています。エミリーだとかなり外国人っぽいですよね。本名は香山リカで、フランス人と日本人のハーフとのこと。へー。

 

名言だけ抜き出しても、ちょっとこの良さは伝わりませんね…。幅広い読者におすすめできる一冊です。価値観を静かに揺さぶってくれる良著。

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