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(本)小林 啓倫「3Dプリンタの社会的影響を考える―英国の政策レポートをもとに」

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POLAR BEAR BLOGの小林さんが書いた、3Dプリンタに関するKindle本が出ていたので早速読んでみました。これ300円は安いなぁ。


3Dプリンタのメリット、デメリット、社会的影響

・3Dプリンタそのものは30年ほどの歴史を持つ装置であり、これまでも数百万〜数千万円の製品が一部の工場で導入されてきた。しかしその中核にある特許が切れ始めたことで、最近になって安価かつ高性能の製品が登場しつつあり、個人で所有する人も増えてきている。

・それでは3Dプリンタの利用形態として、どのようなものが登場するのだろう。「三次元の政策」では、そのパターンとして3つの形態を挙げている。ここでは分かりやすくするために、それぞれ「デスクトップ型」「ショップ型」「工場型」という名前を付け、特徴を整理してみよう。

・デスクトップ型は「製造がパーソナル化する」という表現に最も近く、ある意味でその完成系と言える。様々なSF作品に登場する、「命令するだけで何でもつくり出してしまう装置」のイメージだ。

・ショップ型の利用形態では、3Dプリンタ本体や素材の準備・整備を行うのは、専門家が運営する小規模な工房=ショップになる。ショップには様々な工作機械、中でも個人では所有しづらい高価・高度なものが集められ、個人のリクエストに応じてものづくりを行い、対価を得る。

・工場型では単に工場内の生産ラインだけでなく、製品の試作から消費者に完成品が渡るまでの様々なプロセスにおいて、3Dプリンタが活用されることになる。

・オーストラリアのサステイナブル・オーシャンズ・インターナショナル(Sustainable Oceans International)社は3Dプリンタで人口岩礁を作り、ダイビングスポットとして有名なグレートバリアリーフに沈めるという取り組みを行っている。

・3Dプリンタが持つ「時間と場所に依存せず製造ができる」という特徴を生かし、洗浄における各種物品の補給に役立てようとしているのである。米軍は280万ドルという予算を費やし、アフガニスタンで「エクスペディショナリー・ラボ(Expeditionary Lab)」と名付けられた実験施設を投入している。これは6メートルの商用コンテナの中に、3DプリンタやCNC工作機械、プラズマカッターといった各種機器を収めたもので、電源と衛星通信まで備えられている。

・3Dプリンタは素材を積み重ねることによって物品を完成させるため、「加算型製造(Additive Manufacturing)」と呼ばれている。逆に木材を切り出して家具を作る場合など、素材を削ることで物品を完成させる手法は「除算型製造(Subtravtive Manufacturing)」と呼ばれる。

・「個人でも何でもつくれる」ことが3Dプリンタのメリットのひとつなわけだが、それは逆に、社会にとって最大のデメリットにもなりうる。言うまでもなく、武器等の危険な物品が製造されてしまうリスクである。

・(3Dプリンタによって)特定の分野で雇用が失われるという状況が到来する可能性は高いだろう。

・「三次元の政策」でも課題としてまっさきに取り上げられ、3Dプリンタを考える際に頻繁に議論されているテーマが、知的財産権に関する問題だ。

・さらに問題を加速させそうなのが、3Dスキャナのパーソナル化である。(中略)家庭に3Dプリンタと3Dスキャナが揃えば、様々なものをCDをリッピングするような手軽さで複製することができる。

・3Dプリンタにおいても、何らかのDRMが整備されていくようになるだろうと予想されている。(中略)実際に2012年10月には、マイクロソフトの前CTOであるネイサン・ミアボルド氏が設立したインテレクチャル・ベンチャーズ(Intellectual Ventures)社の市部門が、3DプリンタにDRMを導入する技術で米特許商標局から特許を認められた。

・東京のネクスト21社では、患者にあった人工骨を3Dプリンタで製造して埋め込むという「カスタムメイド人工骨」を提供している。他にも義手や義足を作成する例があるなど、既に「3Dプリンタが身体のパーツをつくる」という世界が到来していると言えるだろう。

・実際に米国ではオバマ大統領のリーダーシップのもと、全米の小学校にファブラボを設置することをススメており、さらに一部の学校で図工の時間に3Dプリンタの仕様を始めている。


短い本ですが、全編にわたってエッセンスが凝縮されている、読み応えのある一冊です。うーん、これが300円はほんと安い。3Dプリンタに関心がある方は読んでおいて損はないでしょう。

Kindle Direct Publishingを利用した顛末も面白いのでぜひ。貴重なレポートです。

Kindleで3Dプリンタの本を出してみた。:シロクマ日報:ITmedia オルタナティブ・ブログ



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