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「大卒だって無職になる」—ニート、ひきこもりは甘えだ!と考えている人に読んでほしい一冊

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未だに「ニートは甘え」「ひきこもりは甘え」という短絡的な理解がはびこってたりしますよね。そういう安易な誤解を解くための素晴らしい一冊をご紹介。育て上げネット代表の工藤さんの新刊です。


「働きたいのに働けない」なんて甘え?

ニートという言葉の登場で、「働きたいのに働けない若者」の存在がクローズアップされたまではよかったが、その一方で、ブームにありがちな反発も受けた。それが、Aの言う「しょせん若者の甘えだ」という意見だった。特に、「オトナになれば働くのが当然。働くのなら、正社員が当たり前」だった50〜60歳代の中高年層には、理解しがたいこととして受け止められた。

(中略)

学校や家庭では、つねに夢をもつことの重要性が説かれてきたのに、就職活動時期になると、「いつまでも夢ばかり見てないで現実を見ろ!」と指導される。職場では、即戦力になることを期待されるものだから、自発的に動くことを強いられ、終わりの見えないキャリアアップを求められる。夜ともなれば、酒場で上司や先輩から「三年は耐えろ!まずは従え!」と、積極性ではなく受動性の大切さを教えられる。

こうしたギャップに苦しみ、耐えられなくなった若者、働きたいのに働けなくなってしまった若者に対して、「今時の若者は甘えている!」と、ひとくくりに非難が浴びせられるという構図がある。

本書はこうしたオルタナティブな視点に立ちながら、「大卒だけど無職になってしまった若者たち」のストーリーを展開していきます。


特に印象的なのは、見た目もオシャレで、コミュニケーション力も一見問題がない、有名国立大卒で医療機器メーカーに勤めていたという「W君」の話。

「就活時も、採用試験は高成績だったと思うし、英語能力を評価するテストも高得点でした。でも、入ってみたら、”仕事ができない””怠けてる”という評価ばかりでした」
たしかに、スタッフから見ても、W君の第一印象は「仕事ができる人」に見える。でも、実際にはきちんとできないから、どうしても怠けているか、力を抜いているように見えてしまう。

(中略)

そんなW君に対して、スタッフはまず、適性検査を受けてみることをすすめた。きっかけはW君のこんな話だった。

「自分が電車に座っていると、隣りに誰も座らない」

フツウにこの話をきいたら、「ちょっとW君は被害妄想があるんじゃないかな」ぐらいに思うかもしれない。(中略)でも、ウチのスタッフは違う。「W君は空間認知が苦手なんじゃないか?」と考えたのだ。(中略)W君の適性検査の結果は、スタッフのにらんだ通り、空間認知や形態をとらえる能力がやや低めであるという結果だった。

「へぇ、それって発達障害があるってこと?」D君はすかさず口を挟んだ。
「発達障害の話をしはじめるとキリがなくなっちゃうからやめるけど、W君には、本人も周囲も気づくことができなかった、苦手な領域があることがわかったんだよ」

その後「W君」は育て上げネットの支援を受け、無事に司法書士の事務所で働くことが決定したとのこと。支援のプロが入る意義を感じさせるエピソードです。


その他、有名国立大学を出たけれどひきこもりになってしまった「H君」、就活がなかなかうまくいかない、おとなしくまじめな草食系女子「R子さん」などのエピソードが記されています。


最後の章の言葉が印象的なのでご共有。

残念ながら、まだまだ若者を支える活動への世間の風当たりは強い。つまずき、傷つき、立ち止まってしまっている若者に突きつけられる「自己責任論」、いまだ根強い「気合いと根性」の言葉。

でも、もうそんなことを言っている時間はないし、彼らを支援することは社会が前進することなのは間違いないのだから、「支援しない」「放置する」という選択肢を選ぶようなことは、とてももったいないことなのだ。

僕は、できることからやりたいし、同じ志をもつ人たちと一緒に社会を創っていきたい、と心から思っている。


本書の印税収入は、著者の工藤さんが代表を務める育て上げネットの活動に回るとのこと。若者支援の現場を知りたい方はもちろん、彼らの活動に共感する方は、応援の意味もこめてぜひご購入を。



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