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「日本の音楽が腐っていくのはもったいない」—バンド「nothing ever lasts」に学ぶ、アーティストという生き様

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機会があって、バンド「nothing ever lasts」のヴォーカル、nelさんのお話を伺わせて頂きました。


ソーシャルメディアをフル活用するミュージシャン

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nothing ever lastsのnelさんはYouTubeで「発掘」された日本語巧みな米国人アーティスト。UCバークレーでコンピューター・サイエンスを学んだ経験もお持ちです。そんな出自もあって、nothing ever lastsはデジタル戦略に強いバンドとなっています。

起業家精神に富んでおり、事務所に所属せず「ライブも音源も無料」というチャレンジングなビジネスモデルを実践しています。現に彼らの音楽は、サイトで全編無料で聴くことができます。詳しくはBLOGOSのインタビューをぜひ合わせて。

“楽曲は無料、ライブも無料”の時代を–日本の音楽業界に挑む米国人シンガー


日本の音楽シーンは腐りかけ

ミュージシャンとして活動するnelさんは、日本の音楽シーンに対して強い問題意識を抱いています。お話の中で「もったいない」という言葉が10回くらい出てきました。

日本の音楽シーンの課題は複雑ですが、お話の中では

商業音楽の影響が強すぎて、日本の音楽といえば「AKBとジャニーズ」になってしまっている。ネルさんはBBCのラジオで日本の音楽を紹介する仕事もしているが、正直世界から見たら日本の音楽はバカにされている。

・アーティストたちも「メジャーデビュー」を目指し、自分たちの本当の表現ではなく、大衆に媚びる「ウケる音楽」を作ろうとしてしまう(ネルさんは「それじゃサラリーマンと変わらない!」とズバっと切ってくれました笑)

・日本は「生の音楽」を楽しむ文化が弱い。米国だと「今日はロックを聴きたいからあのバーに行こう!」というコミュニケーションが成り立つ。録音ではない「生の音楽」が、町中に溢れている。

・日本人はミーハーなところが強いのではないか。自分の意見をもって、好きなアーティストを応援するということは一般的ではない。「周りが聴いているから」「流行っているから」音楽を聴く。

・JASRACの制約が強すぎる。例えば米国では「カバー」演奏をYouTubeにアップして広告収益を稼ぐことができるが、日本で同じことはできない。YouTubeではカバー演奏が人気を得やすいので、日本だとマネタイズのハードルが高くなる。

といったテーマが挙がりました。アーティスト、リスナー、音楽業界の全てに課題がありますね。僕自身も音楽は大好きなので「日本の音楽=AKB」となるのは、確かになんか嫌ですね…。


「アーティスト」という生き方

商業音楽を意識するあまり、自分の表現ができていないミュージシャンに対して、「そんなのサラリーマンと変わらないじゃん!」と語ってくださったのがとても印象的です。

ネルさんに「音楽を通して何を表現したいんですか?」と質問したところ、十秒ほどの沈黙の後、

バンド名の「Nothing Ever Lasts」という言葉にもあるように、生きているこの「一瞬」の素晴らしさを伝えたい。楽しかったり、感動したり。わずかな一瞬だけど、音楽には一瞬の素晴らしさを伝える力がある。世界を変える、という大きな話ではない。

と語ってくれました。「そんなに大きな話ではない」というネルさんの冷静な自覚は、「ブロガー」として創作活動を行う僕にとって、非常に刺激的でした。文章がアートだとしたら、音楽のように、もっと感覚的で、瞬間的なものでも良いのかもしれません。それこそ詩のような。


もう一つ、「何のために音楽をやっている?ファンはどういう存在?」という質問にも、クリアな答えをくださいました。

「こうして音楽を続けられるのはファンのおかげだと思っている。でも、音楽は自分のため。自分のためではないと嘘っぽくなってしまう。狙って作りたくはない。

例えば、nothing ever lastsが突然音楽ジャンルを変えたら嫌がるファンもいるだろうけど、自分を裏切るのが一番よくない。それで去ってしまうファンがいるのは仕方がない。万人受けは不可能だから。音楽は自然と生まれてくるものじゃないとやりたくない。」

勝手ながら、これは激しく同感。僕も創作活動は、究極的には自分のためにやっています。「自分のためにやっている」を失ってしまうと、大衆に媚びる作品を作ってしまいがちです。ファンの反応にも不必要に一喜一憂してしまいます。「自分のために」を失ったアーティストは成長できない、とすら僕は思っています。

僕はクラシックや民族音楽が好きな人間なので、個人的な好みとしてnothing ever lastsの音楽はドンピシャで刺さるわけではありません。が、nelさんの生き様は間違いなくクールで、すっかりファンになってしまいました。

セス・ゴーディンをはじめ、様々な人が「ビジネスマンもアーティストになるべきだ」と説いています。お金のためではない「表現活動」、それこそ死ぬまで行おうとする「アーティスト」という存在から、僕たちは様々なことを学べるでしょう。

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