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ひきこもりの若者は、生活保護で自立できる

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ビッグイシュー・オンラインにも寄稿をいただいている稲葉剛さんの書籍「生活保護から考える」より、印象的な箇所をご紹介。

 

ひきこもりの若者は、生活保護で自立できる

すでに段階的な基準の引き下げが始まっている生活保護制度。社会保障制度の、そして生きるための最後の砦であるこの制度が、重大な岐路に直面している。不正受給の報道やバッシングのなか、どのような事態が起ころうとしているのか。当事者の声を紹介するとともに現場の状況を報告、いま、何が問題なのか、その根源を問う。

生活保護をめぐる動向について、コンパクトかつ網羅的に論じた新書作品です。執筆しているのはビッグイシュー・オンラインでもご協力いただいている稲葉剛さん。「扶養義務の強化」に関する文章で、たいへん共感するものがありました。

私が〈もやい〉で関わった相談事例でも、長年引きこもっていた若者がホームレス状態になり、生活保護を利用して自立したケースがいくつかあります

現在でも、福祉事務所の窓口では、若年の生活困窮者に対して「実家に戻れ」という圧力がかけられており、「自分が死んでも骨ひとつ拾わないと親に一筆書いてもらったら、生活保護を認めてやってもいい」と言われて、窓口で追い返された若者もいました。制度が変わるとさらにその圧力は強まってしまうでしょう。

こうした若者たちの自立にとって必要なのは、親からの経済的な援助ではなく、空間的・精神的に一人になれる環境であることが多いと私は感じています

信田さよ子氏が指摘しているように、親との関係が依存的になり過ぎて、こじれてしまっている場合には、親子の経済的な関係をあえて断ち切ることが有効な「支援」になることもあるのです。

生活保護にはそういった効果も期待できる一方で、自民党政権下において、生活保護制度は「まずは親族を頼れ」という「扶養義務強化」の動きが進んでいます。

扶養義務が強化されると、生活保護利用者や申請者の親族は福祉事務所から扶養義務を履行するよう求められることになります。

しかし私は、親子関係に限らず、経済的な援助をするように、行政から求められることは逆に親族関係を悪化させる危険性が高いと感じています

ひきこもっている以上、経済的に親の家を出ることは難しいでしょう。扶養義務を強化する流れというのは、「臭いものに蓋」ではありませんが、問題を家庭のなかに閉じ込める意味を持ってしまいます。ひきこもり問題に関しては、神頼み的に親子関係が改善することを祈るのではなく、生活保護を始めとする公的なサポートを提供すべきだと考えます。

感覚的な話ではありますが、ひきこもりというのは、そもそも親子間の人間関係トラブルに起因している場合が多いように感じます。

「ひきこもり問題の処方箋としての生活保護」というのはほとんど語られていません。現場レベルでは実効性が認識されているわけで、真面目に可能性を考え、検証していく必要があるといえるでしょう。

 

「弱者の正義」が蔓延する日本

話題はいわゆる「生活保護バッシング」について。日本では、生活保護受給者に対する偏見やバッシングが根強く残っています。

不思議なのは、日本社会では人々の怒りや不満が貧困や格差を生み出している社会構造になかなか向かわない、という点です。二〇一一年秋、「私たちは九九%だ」をスローガンとしたアメリカの「ウォール街オキュパイ運動」は世界各国に波及しましたが、日本では、格差・貧困の広がりにもかかわらず、富裕層を批判する社会運動が広範な支持を得ることはありませんでした。

(中略)シベリア抑留を経験した詩人、石原吉郎はシベリアの強制収容所(ラーゲリ)の中で日本人たちが鋼索を研いで針を作り、それを密売してパンと交換していたことを記録しています。しかし、針の密売が広がるにつれて、内部からソ連側への密告が相次いだと言います。

石原は「弱者の正義」という文章の中で以下のように指摘します。

「針一本にかかる生存の有利、不利にたいする囚人の直観はおそろしいまでに正確である。彼は自分の不利をかこつよりも、躊躇なく隣人の優位の告発をえらぶ。それは、自分の生きのびる条件をいささかも変えることがないにせよ、隣人があきらかに有利な条件を手にすることを、彼はゆるせないのである」

石原はこうした状況下では嫉妬は「正義の感情に近いものに転化する」と言います。そして、この嫉妬こそ「強制収容所という人間不信の体系の根源を問う重要な感情」だと断言しています。

今の日本社会でもこうした「弱者の正義」が広がっているのではないでしょうか。

弱者が弱者を叩く。嫉妬が正義になる。非常に納得感のある指摘です。

ネット上では頻繁に見られる「生活保護バッシング」について驚くのは、2chを中心に、「自分は生活保護水準以下でも働いて、つつましく生きている。だから受給者たちは贅沢だ」という批判が多く見られることです。

稲葉さんも著書で指摘していますが、もし本当にそうなら、ご自身もぜひ生活保護を受給すべきです。生活保護は「健康で文化的な最低限度の生活(ナショナルミニマム)」での暮らしを保証する制度であって、収入が十分でない場合は、働いていても利用することができます(関連記事:「生活保護」は、働いていても、若くても、持ち家があっても、車があっても申請可能です)。申請に関するノウハウも書籍でまとまっていますし、申請をサポートしてくれる団体も各地域に存在します。

生活保護水準以下で生活しながら生活保護バッシングをしている多くの人は、そもそも制度についてよく知らないのではないか、という疑問すら芽生えます。意地悪い言い方ではありますが、嫉妬が正義に転じ、冷静に「事実」を見る目が曇ってしまっているのではないでしょうか。

 

もっとも、「受給をしない」という判断を個々で下すのは自由だとも思います。

しかし、「生活保護バッシングをする」というその精神性を持ち続けると、いずれ自分の首を絞めることになりかねない点は、強く注意が必要です。稲葉さんの言葉を引用します。

インターネットなどで生活保護利用者に悪罵を投げつける発言に触れるたびに私が思うのは、「もしこの人が経済的に困窮したら、自分自身の行なってきた言動がこの人自身の『生』を生きづらくさせるだろうな」ということです。

それは「俺はあいつら(生活保護利用者)と違って役所の世話にはならない」と言って路上で死んでいったホームレスの人たちの姿に重なります。

生活に困窮し、個人の努力では解決できない事態が生じた際に、過去の自己責任論的な言動がその人自身を縛り、苦しめる例を私はいくつも見てきました。

 

生活保護という制度は、この日本社会であまりにも誤解されているように感じます。ぜひ本書を手にとって、生活保護についての理解を深めましょう。

すでに段階的な基準の引き下げが始まっている生活保護制度。社会保障制度の、そして生きるための最後の砦であるこの制度が、重大な岐路に直面している。不正受給の報道やバッシングのなか、どのような事態が起ころうとしているのか。当事者の声を紹介するとともに現場の状況を報告、いま、何が問題なのか、その根源を問う。

 

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