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書籍「『子育て』という政治」に学ぶ、横浜市の「待機児童ゼロ」の残念な実態

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たいへんよく整理されていたのでご共有。これはぜひとも手に取っていただきたい名著です。

横浜市の「待機児童ゼロ」の残念な実態

報道で御存知の方も多いと思いますが、横浜市は「待機児童ゼロ」を達成した自治体として知られています。しかしながら、その実態については疑問の声が多く、実際、ぼくも横浜市に住むご夫婦から「保育園入れられないですよ…」と伺ったことがあります。

これ、いったいどういうことなのか長らく疑問だったんです。2014年7月10日に発売された新書「『子育て』という政治 少子化なのになぜ待機児童が生まれるのか?」のなかにいい解説がありました。

まず、そもそも記者発表の段階で「御希望通りの保育所に入所できていない方は、1746人いらっしゃいます」という発言もあったそうな。

記者発表用に用意されたリリース資料には「御希望通りの保育所に入所できていない方は、1746人いらっしゃいます」と書かれている。林市長も、自身の言葉でそれを説明した。市長自身も、実はゼロだとは思っていなかったのではないか。

1746人もの人が希望通りの保育所に入れていない。つまり、横浜市の待機児童は「ゼロ」などではなかった。それがただひとつの真実なのだ。それなのに「待機児童ゼロ」だというのは、いったいどういうことなのか。

ここで問題になってくるのが「待機児童」の定義。書中で詳しく書かれているのですが、要するに実態と定義にズレがあるんです。

たとえば、家で求職活動している人の場合は「待機児童」に含まれないそうで。

横浜市の定義では、「インターネットを使うなどして、家庭で求職活動をしている人」については、待機児童にカウントしていない。〈求職活動も様々な形態が考えられるので、求職活動の状況把握に努め適切に対応すること〉という部分の解釈の仕方だと考えられる。

しかし、よくよく考えれば、預ける場所がないから、家で求職活動をせざるを得ない人がほとんどなのではないか、ともいえる

ということは、クラウドワークスあたりで仕事をしながら保育園に入れようと努力している世帯は、待機児童数にカウントされないことになるんでしょうね。

もひとつ。「保育園に入れられないから育休を延長した」場合も待機児童に含めないとか…。これは直感的にも変な話ですよね。

〈産休・育休明けの入所希望として事前に入所申込が出ているような、入所予約の場合には、調査日時点においては、待機児童数には含めないこと〉とあるが、現在、入所予約ができる自治体は数少ない。むしろ、待機児童が多くて育休明けにあわせて入所できないために、育休そのものを延長する人が増えている。横浜市の場合は、そういった理由から育休を延長した人は、待機児童にカウントしていない。大阪市など他都市でも、同じように育休延長者は待機児童数に含めないことにしている。

さらにだめ押し。定義的にいえば、入所する保育園を選んでいる場合は、待機児童に含まれないことになっています。

〈他に入所可能な保育所があるにもかかわらず、特定の保育所を希望し、保護者の私的な理由により待機している場合には待機児童数には含めないこと〉として、希望している保育所と開所時間が同じだったり、いちばん近い保育所でなかったとしても〈立地条件が登園するのに無理がない〉通える範囲にある保育所に入所可能であれば、待機児童にはカウントしない。

〈特定の保育所〉の意味はきわめて幅広く解釈されており、「この保育所だけしか希望しない」という人は待機児童にはカウントされない。きょうだいがすでに保育所に通っていれば、親は当然、その保育所だけを希望するはずだが、それでは待機児童としてはカウントされなくなる。横浜の場合、後述するが、「公立保育所に限る」という希望を出した人は待機児童にはカウントされなかった。特殊な事情があっても考慮されなかった。

うちも東京に住んでいた当時、保育園を選んで申し込みをしていたんですよね。家からの距離とか保育の特徴とかを考えると、「入れられればどこでもいい」とは言えないですし…一応、入れられるには入れられたみたいですが。うちのような世帯は待機児童には含まれないわけですね。

定義の見直しが進んでいる

流石にこれはおかしいんじゃない?ということで、定義の見直しが進められているようです。

 厚生労働省は、認可保育所への入所を希望しても入れない待機児童について、曖昧だった定義を見直す方針を固めた。やむを得ず親が育児休業を延長しているケースなどを一律で対象に含め、全体像を把握しやすくするのが狙い。来年4月から始まる子育て支援新制度に合わせて導入する。

 厚労省によると、2013年4月1日時点の待機児童数は全国に2万2741人だが、新たな定義では、大幅に増える可能性がある。

待機児童、定義見直しへ:トピックス:中日新聞女性向けサイト:オピ・リーナ(Opi-rina)

横浜市や名古屋市など、「育休ゼロ」を発表した自治体は、来年あたり「待機児童が爆増」なんて憂き目にあいそうな予感がします。問題が過小評価されるのはよくないですし、いい流れだと思います。

都市部の保育の実態がヤバイ

しかしまぁ、この本を読むと日本の、特に都市部の保育の実態には絶望的な気分になります。都民はこの本、読んでおくべきだと思います。

親が「預かってもらえるならどこでもいい」と言い切ると、預かる側は「預かればなんでもいい」という保育に堕ちていく。保育者と保護者は合わせ鏡なのだ。両者が常によい保育を求め合っていく中で、保育の質は向上していくものなのに、今は、それが下を向いている悪いスパイラルに陥っている状況だ。

親があきらめた瞬間から、保育の質はどん底へと落ちていく。保育の質が落ちた果てにあるのは、保育事故だ。だから、親は絶対にいい環境をあきらめてはいけない。

Kindleでも読めますのでどうぞポチッと。

ついでに書いておくと、ぼくは東京で子育てができないと思って、高知県に移住しました。こちらは待機児童の問題も小さく、格段に子育てはしやすいですね(こんな記事もあるので参考まで:「自治体消滅」時代が来る 子育て満足度1%の「元・保育王国」で見えた再生のヒント)。

何より地域のネットワークが強いので、いざとなったら頼れる人が周りにいるのが大きいです。東京時代は隣に誰が住んでいるかもわからなかったですから…。子どものことを考えて、地方に移住する人はますます増えていくのでしょう。

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