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「絆」に頼る危険性:もっとも社会的に弱い人が、もっとも排除されやすい

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断絶の都市センダイ ブラック国家・日本の縮図」というこれまた刺激的な書籍を読んだのでメモがてらご紹介。著者はベストセラー「ブラック企業」の今野さん。

「絆」は最も信頼できないセーフティネットである

特に印象的だったのは「絆」がもたらす害について。

絆が作られないどころか、もともとの絆が破壊されるようなケースも珍しくなかった。

被災前の近隣住民が丸ごと引っ越したような地域でも、仮設住宅の環境の劣悪さが従来の親密な関係を破壊してしまうという問題が起きていた。避難所で助け合って築いた関係性や、もともとの地縁的なつながりに、仮設住宅への入居後に亀裂が走るというケースだ。

たとえば、仮設住宅の構造的な問題が、親しかったはずの近隣の住民との関係を窮屈なものにしていた。仮設住宅は建物が密集しすぎていて、棟と棟の間が非常に近い。窓を開ければすぐに隣の棟の玄関があるから、気軽に窓を開けることも難しい。音が響くため、深夜遅く風呂に入ることすらままならない。隣の家のいびきも漏れてきて、精神的に追い詰められてしまうという声も聞かれた。隣の生活音に文句をいうわけにもいかず、我慢を続ける中で体調を悪化させた被災者もいた。

いくらもともと仲の良い人たちであるとはいえ、距離が近すぎれば逆に負担になる。仮設住宅においてもてはやされた「絆」は、こうした住民たちの生活の困難を背景に、彼らを支援するための制度の不在を埋めるかのように、広がっていった

(中略)こうした無闇に繰り返される「絆」に疲れ、自治会やイベントに参加することができなくなり、孤立を深める住民もいた。だがイベントに参加している住民たちの目には、彼らは「絆」を大事にしない自分勝手な住民に映っていた。こうして、仮設住宅のなかで新たな分断が生まれるようになっていた。

こうした分断が、より敵対的な関係に変容する事例もあった。ここでも思い起こしてほしいのが、Bさんの母親のケースだ。重病を抱えていた彼女は、仮設住宅に住んでいながら、近隣住民と支えあうどころか、ごみも出せないと非難を受けていた。病気で動けず、支援を必要としていたBさんの母親は、仮設住宅で除け者にされ、敵視されていた。

文句だけで空回りする「絆」が、「自立」できない被災者を除け者にする敵対性と結びついたとき、それは社会保障を受けさせないための圧力となってしまう

「絆」、つまるところ「民間の支え合い」というのはすばらしいものです。が、基本的な力学として「もっとも社会的に弱い人が、もっとも排除されやすい」ものであることにも注意が必要です。「ゴミを出せないくらい弱っている重病人」が、実際に仮設住宅において排除されていた、という話は象徴的です。

民間の支え合いというのは、「わかりにくい困難を抱える人」「近寄りがたい人」を排除してしまいがちです。たとえばアルコール依存症、薬物依存症、各種の精神疾患に苦しむ方々が地域社会から排除されてしまう、というのはよく聞く話です。

より身近なところでは、うつ病で苦しんでいる人を「頑張れ!本気を出せ!俺たちは同じ会社の一員じゃないか!」と「よかれと思って」叱咤激励するような絆たっぷりの職場も、同種の排除メカニズムを持っているといえるでしょう。

基本的に、顔が見える関係性というのは「危ない」んです。助けを求める側はリスクを覚悟で自分をさらけ出さなくてはいけませんし、助ける側も何らかの負担を背負うことになります。「絆」は美しいものですが、根深い問題に対する対処法にはなりにくいものです。

ひねくれ者のようでアレですが、絆という言葉に対しては斜に構える必要があるといえるでしょう。「絆」があればすべてオッケー!みたいな態度は論外です。むしろ絆に頼る場合は、新しい問題が発生しうる、と考えるべきです。地域社会でも、学校でも、家族でも、会社でもそれは同じだと思います。

被災地の課題を切り取った良著です。被災地の問題にかぎらず、社会的な課題の解決に関心がある方はぜひ。

もう少し思い切っていうのなら、「ブラック企業」とほとんど同じような構図が、被災地には横たわっている。

「絆」や「日本は一つ」というスローガンの陰で、被災者の間には「分断」が生まれていた。行政職員の削減の中で生活困窮世帯まで行き届かない支援。

赤紙(建物の応急危険度判定での「危険」の表示)の貼られた家の中で耐え抜いていた世帯もあった。障害者や認知症のお年寄りを抱えた世帯は、避難所にも仮設住宅にも行けずに放置された。彼らは介護保険制度すら利用できていなかった。

また、生活基盤を奪われたままに無理な条件での自立が求められ、いつまでも自立できない住民に対しては、次第に「絆」ではなく、「甘えだ」などの非難と攻撃が牙を剝くことになった

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