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お葬式で「大往生でしたね」と口にしたら、遺族に激怒された:葬送にまつわるNGワード集

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ふと買った本で、これまた大当たり。グリーフケアの最前線がまとまった良著ということで、書中からピックアップしてご紹介します。

 

グリーフケアとは何か

・日本人の年間死亡者数は125万2066人であった。一人の死亡者につき、かりに親しい人が平均して5人いたとすれば、延べ約600万人以上もの人が一年のうちに死別を経験する計算になる。言い換えれば、日本人の約4人に1人は、過去5年のうちに、親しい人を亡くした経験があるともいえる。

・107名の犠牲者を出した2005年のJR福知山線脱線事故では、婚約者であった男性を亡くした助成が「婚約相手を亡くし、生きる希望をなくした」などと書かれた遺書を残して、自己から一年半後に自殺している。(中略)法的な意味での家族以外にも大きな精神的打撃を受けている人は存在しており、その人たちにも支援の目を向けて行く必要がある。

・しばしば見過ごされるのは、患者や入所者と「死別」した医療関係者や施設職員である。公立総合病院の看護師を対象とした私の調査では、患者の看取りの後に看護師の8割以上が「悲しみ」を経験し、6割以上が、「自責の念」や「無力感」も経験していた。

・愛犬を亡くした経験がある飼い主のうち、45.1%が「不眠」「食欲不振・異常」「腹痛・頭痛」などの身体的不調を経験しているという。

・伴侶を亡くした男性を対象とした彼(コリン・パークス)の初期の研究では、死別から六ヶ月以内において死亡率の悪化が認められ、それに関係する疾患として心疾患、とくに冠動脈血栓症とその他の動脈硬化性心疾患が報告されている。

・身近な人の死を悲しめなかったり、開放感や安堵感を経験したりすることは、ごく自然なことであり、なにもおかしいことではない。人によって亡き人との関係や、いまにいたるまでの経緯や状況は異なる。したがって、どのような感情や思いであっても、無理に押さえ込んだり、自分を責めたりする必要はないのである。

・厚生労働省の「平成23年人口動態統計」によると、20歳未満の未成年者の死亡数は6837名であり、全死亡者数に占める割合は0.5%にすぎない。

・以前に私がおこなった調査で、「死別後につらかったことはなんですか?」と尋ねたことがある。そのとき「思いやりのない言葉をかけられた」との回答を選択した人が、全体の38%もみられた。

・精神科医として日々、遺族に向き合う大西秀樹は、遺族を傷つける”思いやりの言葉”として「大往生でしたね」「がんばってね」「あなたがしっかりしないとだめ」「元気?」「落ち着いた?」「気持ちの整理つきましたか?」などを挙げている。いずれもけっして攻撃的な言葉ではなく、一見すると親切心から発せられた言葉のようにも思えるが、遺族にとってはなんの慰めにもなっていないのではないかと大西は指摘している。

・ある勉強会で知り合った公立病院の看護師長から聞いた話だが、彼女が以前、高齢の女性患者が亡くなった際に「大往生でしたね」という言葉を口にしたところ、それを聞いた家族が激怒したという。(中略)この言葉を第三者から言われると、あたかも「長生きしたからよかったじゃないの」と言われているかのように感じ、不快に思う遺族も少なくない。(中略)亡き人の死が、”大往生”であったかどうかを決めるのは遺族なのである。

・日本人における亡き人との継続する絆に関して、私は仏壇の役割に注目している。個人の写真が飾られた仏壇に、食事を供え、話しかけるなど、個人がまるで死んでいないかのような暮らしをしていることに、かつて米国人研究者がとても驚いたという逸話がある。

・波平恵美子によると、日本人の死者儀礼の特徴は、遺族が頻繁に遺体と接することにあるという。遺体に触れた経験のある人であればわかると思うが、遺体にはなんともいえない独特の冷たさがある。その感触は、故人の肉体がすでに死んでいることを強く実感させる。

・遺族は、ときに非科学的な話をすることもある。国立がんセンター名誉総長である垣添忠生は、亡き妻との出会いから闘病、別れ、そしてみずからの悲しみの体験を綴った著書『妻を看取る日』を上梓し、読者からの大きな反響を得た。その著書のなかで、垣添は蝶や小鳥、ナキウサギの姿に、亡き妻の姿を重ねている。

・近代ホスピスの母と呼ばれる英国のシシリー・ソンダースは、死にゆく患者や家族にたいするケアの原点は、”Nothing, but being”であると述べている。すなわち、なにかをするのではなく、その人とともにいることが基本であるというのである。

・「いつまでも悲しんでいても死んだ人は喜ばないよ」も、ときに遺族にかけられる言葉のひとつである。この表現は、人によっては背中を押すことにもなるが、裏を返せば、「いつまでも悲しんでいることは亡き人を悲しませる」と受け止められることもある。その場合は、遺族は悲しんでいることを攻められているように感じ、人によっては「なかなか立ち直れないダメな私」と自己嫌悪に陥りかねない。

・最近報告されたフィンランドでの、ある地域に住む人々を平均で21年間も追跡した疫学研究によると、中高年の時期に伴侶を亡くした人は、そうでない人に比べ、65歳以上の老年期での認知機能低下が大きく、アルツハイマー病になるリスクが7.67倍も高いという。

・事実、この”立ちなおる”という言葉を好まない遺族も少なくない。私自身、(中略)「私は立ちなおることなんてない」と強い口調で言われた苦い経験がある。数年前に夫を亡くしたというその助成にとって、”立ちなおる”とは故人を忘れ、なにごともなかったかのように日常に戻ることを意味していたらしく、その言葉を無遠慮に使った私の話は堪え難かったようである。

・死別した人は、もとに戻るという意味において「立ちなおる」ことなんてないのである。

・最近、「家族に迷惑をかけたくない」ので「自分の葬儀は最小限に、簡素に」と希望する人が増えているという。しかし、残される家族の視点から見れば、葬送儀礼には遺族にとっての意義もある。葬送ジャーナリストの碑文谷創は、弔いというのは、残された者の「義務」というよりも、「権利」というべきかもしれないと述べている。

死の現場を見てきた著者が語るグリーフケア論、非常に説得力があります。データも細かく提示されており、資料価値も高い一冊です。

 

葬送にまつわるNGワード集

特に興味深かったのは、なんてことのないお悔やみの言葉が、遺族にとって「思いやりのない言葉」に聞こえてしまうことがあるという話。

まず、著者が行った調査を引用。

以前に私がおこなった調査で、「死別後につらかったことはなんですか?」と尋ねたことがある。そのとき「思いやりのない言葉をかけられた」との回答を選択した人が、全体の38%もみられた。

ぼくは大きな死別は経験していないのでわかりませんが、4割近い人が「言葉」にまつわる辛い体験をしているというのは、ちょっとびっくり。というか、ぼく自身も誰かを悪気なく傷つけてしまいそうです。「思いやりのない言葉」の中身はどういうものなんでしょう。

著者は以下のような言葉を例として紹介しています。

精神科医として日々、遺族に向き合う大西秀樹は、遺族を傷つける”思いやりの言葉”として「大往生でしたね」「がんばってね」「あなたがしっかりしないとだめ」「元気?」「落ち着いた?」「気持ちの整理つきましたか?」などを挙げている。

いずれもけっして攻撃的な言葉ではなく、一見すると親切心から発せられた言葉のようにも思えるが、遺族にとってはなんの慰めにもなっていないのではないかと大西は指摘している。

印象的なエピソードもご紹介。これ、言ってしまいそうですね…。

ある勉強会で知り合った公立病院の看護師長から聞いた話だが、彼女が以前、高齢の女性患者が亡くなった際に「大往生でしたね」という言葉を口にしたところ、それを聞いた家族が激怒したという

(中略)この言葉を第三者から言われると、あたかも「長生きしたからよかったじゃないの」と言われているかのように感じ、不快に思う遺族も少なくない。(中略)亡き人の死が、”大往生”であったかどうかを決めるのは遺族なのである。

他の例では、「いつまでも悲しんでいても死んだ人は喜ばないよ」という言葉も。

「いつまでも悲しんでいても死んだ人は喜ばないよ」も、ときに遺族にかけられる言葉のひとつである。この表現は、人によっては背中を押すことにもなるが、裏を返せば、「いつまでも悲しんでいることは亡き人を悲しませる」と受け止められることもある。その場合は、遺族は悲しんでいることを攻められているように感じ、人によっては「なかなか立ち直れないダメな私」と自己嫌悪に陥りかねない。

「立ちなおる」という言葉も、遺族の感情を害することがあるとか…。

事実、この”立ちなおる”という言葉を好まない遺族も少なくない。私自身、(中略)「私は立ちなおることなんてない」と強い口調で言われた苦い経験がある。

数年前に夫を亡くしたというその女性にとって、”立ちなおる”とは故人を忘れ、なにごともなかったかのように日常に戻ることを意味していたらしく、その言葉を無遠慮に使った私の話は堪え難かったようである。

じゃあどうすればいいんだ!と困ってしまいますが、変に言葉で行動を促そうとするのではなく、その人のその状態を受け入れ、「そばにいる」ことが大切なのでしょう。

近代ホスピスの母と呼ばれる英国のシシリー・ソンダースは、死にゆく患者や家族にたいするケアの原点は、”Nothing, but being”であると述べている。すなわち、なにかをするのではなく、その人とともにいることが基本であるというのである。

ケアとしては、言葉をかけるのではなく、死別に苦しむ彼らが、「自ら語り始める」のを待つのがよいのかもしれませんね。自分で物語ることによって、人は癒され、受け入れることができるようになるので…。

 

「弔い」は残された者の「権利」

ぼくも昨年、大好きな祖父を亡くしていたりします。そういう経験からすると、「泣いてもしょうがないよ」というのは明らかにNGワードだなぁ、と思います。涙によって、人って他人の死を受け入れられるんですよね。ぼくもこれは自分で体験して驚きました。泣くことには大いなる意味があるんです。

そういう意味で、葬儀というのは、「遺された人がちゃんと泣ける場を用意する」ことに意味があるのでしょう。著者はこんな言葉も紹介しています。これ、強く共感しますね。

最近、「家族に迷惑をかけたくない」ので「自分の葬儀は最小限に、簡素に」と希望する人が増えているという。しかし、残される家族の視点から見れば、葬送儀礼には遺族にとっての意義もある。葬送ジャーナリストの碑文谷創は、弔いというのは、残された者の「義務」というよりも、「権利」というべきかもしれないと述べている。

 

という感じで、自分の死、他人の死を受け入れることについて考えさせられる一冊です。あなたもぼくも、いつ死んでもおかしくないので、こういう本は日常的に触れておくべきだと思います。

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