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①選別排除型、②消耗使用型、③秩序崩壊型…「ブラック企業」の3つのパターン

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POSSE事務局長、川村さんの新刊が出ています。ブラック企業問題についてわかりやすく整理された良著です。会社の働き方に疑問を感じている方はぜひ。

「ブラック企業の3分類」は知っておくべき内容だと感じたのでご共有です。

 

選別排除型:大量に採用して、大量に辞めさせる

1つ目のパターンは「選別排除型」です。このパターンの相談は、主に就職人聞き事業から寄せられます。この手の会社は、何度も選考を勝ち抜いて採用された新卒社員を長時間働かせてみてパフォーマンスを比較し、「使いづらい」人間をむりやり辞めさせています。

最も象徴的なのは、第一章でも紹介した、気象予報会社最大手のウェザーニューズ社で起きた過労自死事件です(ウェザーニューズ – Wikipedia)。亡くなった男性は月に最大240時間もの残業を行い、「予選」という社内独自の選抜システムに勝ち残るために半年間必死に働きました。ところが、半年の予選期間が終わって気象予報士になることができないとわかり、自ら命を絶ってしまうのです。

言ってみれば「大量採用・大量解雇」。営業系の会社なんかもこの匂いが強い気がします。

 

消耗使用型:辞めることができない

2つ目のパターンは「消耗使用型」です。このパターンの相談は、小売・アパレル・飲食といった接客中心の店舗で働く人や、あらゆる業界の営業職を中心に寄せられます。このケースでは、ただひたすらに労働者を長時間働かせます。

株式会社ワタミフードサービスの創業者である渡辺美樹元会長は「24時間365日、死ぬまで働け!」を社の理念として掲げ、「限界というのは嘘なんです」と公言していた人物です。ワタミには、「限界からあと一歩進め」というスローガンもあります。そのワタミで、月に140時間の残業をしていた24歳の女性が入社わずか2ヶ月目に自死しました。まさに「限界」を超えて働いた結果の死でした。

こうした会社から寄せられる相談として多いのは、「会社を辞めさせてもらえない」というものです。適切な休みをとることもできないまま、心身の限界を感じて「辞めたい」と言ったとしても、辞めることすら許されないのです。カンガルーのマークで有名な西濃運輸では、三度の退職拒否の末に20代の男性が過労自死に至る事件が起きています。

「辞めさせてもらえない」というのは直感的に異常な感じがしますが、ブラック企業においては珍しくないとのこと…。辞めることに対して、損害賠償の請求をちらつかせる会社もあるというから驚きます。その種の「脅し」を受けた際は、POSSEに相談してみるとよいでしょう。

 

秩序崩壊型:犯罪に加担させられる

3つ目のパターンは「秩序崩壊型」です。このパターンの相談は、介護・医療・保育などの業界から寄せられています。

具体的には、虐待や重大事故が頻発していたり、資格外業務を命令されたり、といった、そもそも労働として成り立っていないような現場からの相談です。

子どもを押し入れに閉じ込めている保育園や、少人数で対応しているために高齢者の重大事故が絶えない介護事業所、資格を持たずに事務で入った労働者にワクチンの調合をさせる医療機関などで働いている人から相談が寄せられます。

これらの事例はすべて犯罪に加担させられているようなもので、労働者自身が逮捕されてもおかしくありません。

このテーマだと、社内のコンプライアンス通報窓口を利用した社員が、かえってパワハラを受けるというオリンパスの事件を思い出します。

オリンパス社員の濱田正晴さんは、コンプライアンス室に社内の不正行為を内部通報した結果、報復人事とパワハラを受けた。上司と会社を相手取った裁判では今年6月下旬、最高裁で勝訴が確定。だが現在も、「給料(ランクP2=年収700万円台)は払うから何をしていてもよい」と仕事を与えず野放しにする前代未聞のパワハラを受けており、今月11日には3度目となる人権救済申立てを行った。

オリンパス内部通報の濱田さん、パワハラ激化で3度目の人権救済申立 勝訴確定でコンプライアンス推進部長職を要望:MyNewsJapan

犯罪者のレッテルを貼られかねないという点で、当事者にとっては、もっとも深刻なブラック企業問題といえるかもしれません。

 

こうした現状がまかり通っていることについて、川村さんは以下のように語っています。

若い労働者の権利意識ははっきり言って非常に低い状況です。ですから、POSSEに来た相談で、違法性のなかったものはありません。「こういう状況なんですが、違法でしょうか」と自信なげに聞きにくる場合でも、まず間違いなく違法です。

残念ながら、自分が働いている(経営している)会社は違法な労働を強いているかもしれない、という疑念は常に持ち続けておく必要があるのでしょう。人の健康、命、人権が奪われない労働環境というものを、いい加減つくっていかないといけません。もう21世紀なんですから。

 

若者が職場で身を守る技術

・POSSEに来る相談者の中には、理不尽な目に遭っているにもかかわらず、「ブラック企業にしか入れなかった私が悪い」と言う人がいます。また、そこまで自分を責めていなくても「辞めても次の会社が見つかるかわからないからもう少し働いてみる」「ここしか自分の働けるところはないから」と「ブラック企業」にしがみつく人もいます。「何度も会社を落とされた」という事実が、彼らの期待の水準を下げ「ブラック企業」に従順な人間をつくり出しています。

・残念なことに、「働いてはいけない企業」を求人から排除する仕組みは日本にはありません。POSSEに来た相談者に就活先をどこで見つけたか聞いてみると、大学キャリアセンターや高校の進路指導室、ハローワーク、経済産業省の「ドリームマッチナビ」、就職情報サイト、求人情報誌、就職エージェントなどが挙がります。

・「固定残業代」に注意した方がいい理由は、単に損をするからだけではありません。この手口をとる会社は特に、「ブラック企業」ではないかと疑った方がよい会社です。1つ目の理由は、この「固定残業代」という条件表示の仕方が誇大広告やだまし討ちに近いたぐいのものだからです。初めからきちんと基本給を示した上で、残業代を一部必ず支給すると分けて書くこともできるはずです。

・2つ目の理由は、こういう仕組みをとる会社には悪知恵の働く専門家がついていることが多いからです。(中略)3つ目の理由は、過労が常態化している危険性があるからです。

・生活保護を受けながら再就職先を探す。POSSEに来る相談者でも躊躇する人がほとんどですが、個人的な生活を考えても、社会全体にとっての経済負担を考えても、そのまま「ブラック企業」で精神疾患にかかってしまうよりは、よっぽどいいと思います。

・生活保護を躊躇する方は、よく「社会に迷惑をかけたくない」とおっしゃいます。自分が入った「ブラック企業」を生き残らせないかたちでその思いが実現されるのであれば、それはすばらしいことだと思います。でも、そういう思いは、えてして「ブラック企業」を生き延びさせてしまうことにつながります。

・若い労働者の権利意識ははっきり言って非常に低い状況です。ですから、POSSEに来た相談で、違法性のなかったものはありません。「こういう状況なんですが、違法でしょうか」と自信なげに聞きにくる場合でも、まず間違いなく違法です。

・「ブラック企業」に入ってしまった人たちに対して私が強く言いたいことは、追いつめられる前に相談してほしいということ以上にはありません。

・やや挑発的な物言いになりますが、たとえば「ブラック企業」で働いて体を壊したり、詐欺まがいの営業を続けたりするくらいなら、仕事を辞めて生活保護を受けた方がいいと思います。(中略)「生活保護を受けたくないけど他に仕事がないから」といって詐欺まがいの営業に加担しつづけることは、ある種のわがままだと言ってよいでしょう。

・いまは生活保護以外の支援制度が、あまりに脆弱なのです。様々な側面で、社会保障制度を充実させていくことが大切です。

・これまで、非正規問題の解決策は「正社員化」が常に念頭に置かれてきました。しかし「正社員=安定」という図式が崩れつつある現在、この方向性はもはや有効なものとは言えなくなっています。

・「ブラック企業」の正社員は、不安定な正社員でした。彼らは、正社員としての義務を養成されるのに、安定した雇用や年功賃金などの正社員としての恩恵にはあずかることができないという点で、「義務だけ正社員」と呼ばれています。

・非正規の人たちが不安定で過酷な正社員化競争に巻き込まれている中では、正社員化を目指さずとも生きていける道筋を議論していくことが重要なのです。(中略)会社に気に入られなくても安心して生きていけるだけの条件を整えましょう、という話です。

・その際、具体的に必要になるのは、非正規雇用であっても家族と一緒に生きて行けるような賃金と社会保障の設計です。これまでのように男性正社員が家計を支えていることを前提にしたような最低賃金や社会保障では、一部の世帯しか安定的な生活を送ることができません。

というわけで、平易な言葉で書かれつつ、具体的なノウハウや提言がまとまった良著。POSSEの方々には、もっともっと発言力を増していってもらいたいですね。

 

というわけで「NOと言えない若者がブラック企業に負けず働く方法」、ブラック企業問題について詳しく知りたい方は必読です。

 

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