ロングインタビュー

「重版率8割」の編プロ経営者・乙丸益伸氏が語る、ヒット書籍を作る秘訣

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先日発売した「なぜ僕は「炎上」を恐れないのか~年500万円稼ぐプロブロガーの仕事術~」を担当してくれた編集者・乙丸さんを、打ち合わせついでに取材させていただきました。熱い編集者ですのでぜひ。

「ぬるま湯」だったから会社を辞めた

イケダ:今更なんですが、乙丸さんっておいくつなんですか?

乙丸:32です。

イケダ:(…意外と若かった…)そうなんですね、今は編集者としてご活躍ですが、ここまでどういうキャリアを歩んできたんですか?

乙丸:編集者になりたくて出版社を受けまくったんですが、受かるわけもなく…問題集を編集している部署もある、資格試験の会社に潜り込みました。編集もできるので、一応出版関係だということで(笑)資格試験の講座の運営、公務員試験の雑誌の編集などを3年やりました。

そこで仕事をしていたときにビジネス書を色々読んだんですが、効いたんですよ、これが。で、会社でも出世することになって、給料もよくて、残業代も出るので、居心地がよくなってきてしまって…仕事も楽しかったですね。でも、このまま行くとこのラインでいっちゃうな、これは「ぬるま湯」だなと思って、辞めることにしました。3年働きました。

イケダ:すごい!そこで辞めるんですね。

乙丸:もともと編集者になりたかったので、自分がやりたいのはこれじゃなかったはずだ、ということで辞めたんです。辞めたあとは、就職活動をしつつ、短期派遣で出版社の仕事をして稼いでいました。校正とかですね。

で、一年間出版社を受け続けて…恐らく求人を出していたところは全部受けました。やっとゲーム系の出版社に雇われて、そこでビジネス書とか経済書を3年間やっていたんですが…やりたいこととズレがあったというか、まぁ、ともかくそこも結局辞めました(笑)

出版社を辞めたあと、当時一緒に仕事をしていた編プロに合流して、編プロ業界に入りました。そこから2年後に「WawW!Publishing」を立ち上げています。立ち上げが去年の1月なので、ちょうど1年ですね。

イケダ:あ、まだWawW!は1年なんですね。何名でやっているんですか?

乙丸:今は二人でやってます。小さいですよ。

イケダ:重版率が高いんですよね。9割でしたっけ。

乙丸:9割だった時期が続いて、そうですね、今は8割くらいですかね。

イケダ:すごいですね…。毎年どのくらいの作品を手がけているのでしょう。

乙丸:多くないですよ、年間8冊くらいです。

イケダ:え、それしかやってないんですか?

乙丸:そうです。すごい手をかけているので…もっとやりたいけど難しくて。ほかの仕事はしてないので、重版かかってないとうちは潰れてますね(笑)

重版率8割の秘訣は「広告」にある

イケダ:なんで重版率がそんなに高いんでしょうか?その秘訣をぜひ教えてください。

乙丸:単純にいうと、広告です。広告を打っている出版社を調べて、この企画だったら、この出版社がこの新聞に広告を載せるだろう、ということを逆算して、出版社に企画を持ち込みます。広告を打たない出版社には企画を持っていきませんね。

そこを最低限にして、あとは僕たちはベストセラー編集者としか付き合っていません。企画を立てる時点から「あの人だな」というイメージをもって、彼らの得意なジャンルの企画を持ち込みます。編集者って社内のパワーバランスがあるので、それを意識しながらつくっていますね。以上です。

イケダ:さらけ出してくださいましたね!これは書いてもいいんですか?

乙丸:いいですよ。うちはコンテンツの価値や広がりを最大化してくれる出版社に企画を持っていっている、以上です。出版社を選べるというのは大きいですね。同じ企画でも、出版社によって売れ行きが変わったりしますから。僕はそういう意味で有利な条件にいますね。

「ガチ」の本を作る

イケダ:どういう哲学で本を作っているんですか?

乙丸:ひとことでいえば「ガチ」。ガチなやつです。この方針が自分を苦しめているところもあるんですが「ホントにそれ社会にマジで役に立つの?」「それ、読者個人の役に立つの?」。

この問いがまず起点にあって、あとは「その人は本物か?」と。表面を語るのは誰でもできるんですよね。著者さんの過去の実績や今考えているところなどを見ていますね。社会に役立つ本、個人に役立つ本、これが方針です。

イケダ:出版業界は下方圧力が働いていると思いますが、その点に対する危機感などはあるのでしょうか?

乙丸:正直そういう感じはなくて、市場が下がっているというのは、あくまで平均の話ですよね。平均と個人は違うじゃないですか。

僕の周りの人は、僕なんかより10倍くらい売れている編集者が普通にいます。とりあえず成果を上げれば問題ないな、と思っています。

あとはこれ以外の仕事ができるイメージがないので、いつまでもこれを突き詰めるしかないですね。

自分が上に行くために作った

イケダ:最後に、今回の本に込めた思いなど、読者の方向けにメッセージをいただけますか?

乙丸:難しいですね(笑)見ていると、評価が二分しているんですよね。イケダさんをもともと評価している人が読むとすごく良かった、という反応で、嫌っている人が読むと、嫌ったまま、イメージで読まれてしまうのでネガティブになってしまっています。

僕はウメハラさんの「勝ち続ける意志力」を担当しました。イケダさんと本を作ったのも、ウメハラさんの本の時と同じで、自分が欲しかったんです。これ、自分が上に行くために作った本なんですよ。

ウメハラさんもイケダさんもそうですが、業界でトップクラスの人はすごいんです、これは偶然とかではなく。話を聞いてみると、ウメハラさんはすごかった。イケダさんも、ブロガーの世界でやっぱりすごかった。

イケダさんと打ちあわせをしているなかで、「一流になるには方法がある」というので、「それってどうやったらできるんですか?」という話がありましたよね。で、イケダさんはそのノウハウを実際に生かしてブログの世界でトップクラスになっているだけで、その方法自体は、僕ら編集者でも使えるノウハウだと思うんです。

上に行くための方法論としては本物だと思うので、メッセージとしては、たかがブロガーだろ?と思わずにて、そのすごさを認識してもらいたいな、と思いますね。僕は実際に話を聞いてみてすごい、これは著名経営者と変わらないことをやっているな、と思っています。

実際これで、僕は仕事に向き合えるようになりましたよ。堀江さんの「ゼロ」に呼応する本だと思っています。1日18時間、集中できるようになりました。

遠慮し合う日本を打破する

あと、この本には社会的な意味があると思っています。日本ってみんな遠慮して「自粛」しすぎるじゃないですか。ぼくは経済書の編集者でもあるので、日本の経済学会を10年くらい眺めてきています。経済学の世界では、重要なテーマについての議論が盛り上がらず、結局社会的に大きなイシューにならなくて、政策に良い影響を与えることができなかったんです。

一方のアメリカとでは、ブログでノーベル賞クラスの学者がガンガン議論しているんです。教科書を書いているレベルの、マンキューとかスティグリッツとかが、ブログとかでガンガンやりあっているんです。で、最先端中の最先端の人たちがやりあって、教科書も論文も研究テーマも進化して、社会に影響を与えています。

そういうのを見ていると、日本はやはり我慢しすぎていると思うんです。しかもこれは経済学の分野だけでなく、あらゆる分野で起こっていると。みんなが遠慮しあって何も進まない、という現状を打破する本になっていると思います。

そんな本なんですが、「炎上=悪いこと」という壁を乗り越えられないと、「何を言っているんだこの炎上マーケター」が、と思われてしまうんでしょうね。本のなかでは、個人の成果をあげる技術を書いてもらっています。例はブロガーですが、それはどの分野でも使えるようになっているので、ぜひ読んでいただきたいと思います。

Waww!Publishing

というわけで、熱い思いを込めていただいた作品です。かなりマッチョな内容となっておりますが、成功モデルをひとつ示せたと思うので気になる方はぜひ。身も蓋もないこともたくさん書いてあります。重版するといいけれど…。

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