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ハウス加賀谷・松本キック「統合失調症がやってきた」

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この本、すばらしかったです。全国民必読といっても良いレベル。統合失調症は身近な病なので、知識としてぜひ知っておきましょう。読書メモを残しておきます。

人気芸人が統合失調症になった

・「ぼくは石だ。」そう自分に命じればいい。興味を持っている内面を覗かれないように、顔を強固な石の仮面で覆うのだ。ぼくは、いつでもその仮面をかぶることができた。

・「父さんのいいところは、仕事の愚痴を家で言ったことがないところなの。」ぼくは心の中で叫んでいた。愚痴を言ってもいいから、母さんを泣かせ、物を壊さないで!

・「一流の大学に行き、一流の会社に就職することが、潤ちゃんの幸せになるの。」それが母さんの口癖だった。母さんの願いの強さはよく伝わっていた。ただ、一流企業に勤めている父さんの姿を見ると、その言葉の意味はわからなくなった。

・自分は周りから臭いと思われている。そう思い込んでしまう精神疾患を「自己臭恐怖症」という。今も通院している病院で知ることになるのだが、中学二年のぼくはそんな専門用語など知る由もない。ましてや自分の心が病気に侵され始めているなんて思いもよらなかった。幻聴も同じで、ぼくはずっと、本当に聞こえている声だと思い込んでいた。

・「かがちん、臭い」という声は、発行にいるほぼすべての時間帯で聞こえていた。ぼくは、自分が本当に臭いんだと思い込み、自分の体に臭気を感じるようになっていった。そして、幻聴は学校だけにとどまらず、電車の中など、勉強に関係のない人混みでも聞こえだした。

・高校に行ったら、ぼくのにおいでまたみんなが迷惑してしまう。ぼくは自分の進路を、面談の前に確固たる思いで決めていた。「加賀谷は、今後の進路をどうするんだ?」先生の問いかけに、ぼくは素直に答えた。「ホームレスになります」。

・加賀谷が病気だと知ったのは、偶然からだった。加賀谷が付き人に行っていた時のこと。先輩芸人の一人が、加賀谷の鞄をあさり、中にある大量の薬を発見した。その先輩芸人がさらに上の先輩に伝え、加賀谷が精神的な薬を飲んでいることが発覚したのだった。(相方の松本キック)

・「うーん、面白いんだけどね。坊主の子、もうちょっと抑えてもらえないかな?電話かかってきちょうから。」一瞬、なんのことだか理解できなかった。理解した途端に怒りが込み上げてきた。つまり、障碍者はNGだと言いたいのか!

・演芸評論家でもある審査委員長の先生が、ぼくについて言及した。「障碍者を舞台に上げていいのか。」一気に感情が沸騰した。障害を持っていたら、舞台に上がることも許されないのか!

・ぼくが病気であることを知っていた友人たちが、ぼくをはげまそうとして言ってくれた。「そんなにたくさん薬を飲まなくても大丈夫だよ」「薬なんか、早く止められるようにがんばれよ」。うれしくなったぼくは、先生にも告げず、自分一人の判断で飲むべき薬の量を減らしていった。

・ぼくにとって「芸人」という職業は、初めて見つけた「居場所」だった。やっと手に入れた居場所を、ぼくは失いたくなかった。壊れたぼくでもありじゃないか。壊れているんだから、騙し騙しやっていくしかない。「舞台は最高、人生は最悪」みたいな言葉もあるじゃないか、とがんばった。芸風もギリギリと言われたが、シャレじゃなく、本当にギリギリの綱渡りをしていた。

・ぼくに入院を説得したのも、母さんだった。(中略)芸人を辞めなくてはいけなくなる。ぼくにはそれが怖かった。社会を知らないぼくは、芸人という世界の住人でしかない。芸人を辞めたら、人生が終わる。だからぼくは、入院を強く拒んだ。だが、母さんは諦めなかった。

・人を恨む、世間を呪う「負の力」で生きていたぼくは、「負」の恩恵しか授からなかった。自分以外を攻撃することで、正当化し、作り上げた自分はもろい。調子をくずすと待ったなしに、自分を殺せと牙をむく。暴れだした「負の力」は、手がつけられなかった。

・ぼくは閉鎖病棟の保護質で時間を捨てているのではないか。外の世界はどんどん進んでいるのに、ぼく一人取り残されて……。心がサワサワする。何者かがぼくの臓器の中で拳を押し付け、グワァーっと圧力をかけてくる。

・新しい薬への移行で、頭は日増しに明瞭になっていった。五年以上もぼくは、どんよりとした気持ちの中ですごしてきたから、「信じられない」という思いにもなった。(中略)薬ひとつでここまで変わるとは、うれしさより、驚きの方が大きかった。

深刻なテーマを扱っていますが、そのなかには救いがあります。松本キックさんの手記も、加賀谷さんへの愛が感じられて、思わず涙腺が緩みます。

ハウス加賀谷さんは、統合失調症についての啓蒙にも取り組んでいます。すばらしいアーティストですね。BLOGOSにイベントレポートがあるので、こちらもぜひ(芸人・松本ハウスが語る統合失調症からの社会復帰 (1/6))。

おまけ動画:この記事の制作風景

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