賛否両論?イケダハヤトが物申す

年間100回プレゼンをしてわかった、抑えておきたい「プレゼンのコツ」

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年末恒例のまとめコンテンツということで。今年は振り返ってみると、授業・公開取材・対談・講演・メディア出演などで、100回ほど人前で話しました。多い日だと3回プレゼンする日なんかも。独立してから数えると、250回くらいプレゼンしているはず。

というわけで、流石に慣れてきたので、ぼくが日ごろ意識しているポイントをまとめたいと思います。

 

1. 練習が命!

とにかくもう、練習が命です。声を出して、プレゼン資料を読み通しましょう。さすがに慣れてきたので「練習なし」で突っ込むことも増えましたが、初めて使う資料でお話させていただく際は、基本的に自宅で練習してから望んでいます。

 

スライドを実際に声を出して読み通してみると、「ここは冗長だな…」「ここでこのエピソードを入れたいから、一枚スライドを追加しよう」「ここ、笑いを取れそうだぞ」「あぁ、ここはうまくまとまってないな…」などなどの修正ポイントが見つかります。

作ったばかりのプレゼン資料というのは「悪路」がたくさん残っています。障害物が多く、スムーズではないのです。一度、二度と練習をしてみると、そうした障害物を除去することができ、スムーズなプレゼンに変わっていきます。

緊張症の方は、練習を繰り返すことによって「緊張して頭が真っ白になっても、よく練習しておけば、身体と口が記憶しているのでなんとかなる」ことも知っておくべきです。

 

下手な人のプレゼンは、一目見て「あぁ、練習していないな」とわかります。変なところで詰まったり、スライドを右往左往したり。あれ、見ていてとてもストレスなんですよね。練習なしで特攻できるのは、よほどプレゼン慣れした人だけなので、基本的には何度も練習しておくべきです。

…が、意外すぎるほど、みんな練習しないんですよね。実際、みなさんもプレゼンの練習ってほとんどしないんじゃないでしょうか。ぼくからいわせれば、「だからだめ」なんです。しっかり練習をして臨めば、それだけで「この人は話すのがうまい」という印象を与えられるものですよ。

 

2. 準備が命!

これは未だに反省することが多いんですが、プレゼンをする環境については、よく準備をしておくべきです。

ありがちなのは「プロジェクターにスライドが映らない」という問題。特にMacを使っていると、年間で3〜4回は接続トラブルが起きます。会場に着いたら真っ先に接続テストをしましょう。不安な場合は、事前に資料をPDF化しておき、クラウド、またはUSBに保存しておくのも大切です。コネクタの問題だったりするので、ぼくは必ず予備を含めて2本持ち歩いています。

「マイクがなぜか不調」という問題もしばしば起こります。今年は5回くらいありましたね…。会場の規模によってはどうしようもないのですが、部屋が小さい場合は、声を張り上げて冷静に対応しましょう。

あとは「ネットにつながらない」ということも。会場によってはそもそもネット環境がない場合もあります。プレゼンは極力、ネットに繋がらなくても通用する内容にしておくことが大切です。YouTube動画などを見せたいときは、事前に読み込んでおきましょう。

 

3. トラブルを楽しめ!

とはいえ、どうしてもトラブルが起こることもあります。ぼくは一度だけ、講演時にどうやってもプレゼン資料が映らなくて困ったことがありました。

スタッフの方々が機材を交換している間、ぼくは「こういうトラブルは滅多にないんですが…とりあえずアドリブで始めたいと思います。資料はあとでお配りしますね。今日のテーマは…」という感じで、気にせずプレゼンを始めることにしました。自分にとっては大きなトラブルでも、聴衆にとっては、別に大事件ではありません。騒いでも仕方ないので、淡々とコンテンツを提供していきましょう。

こうしたトラブルにまつわるエピソードとしては、スティーブ・ジョブズの逸話が有名ですね。

彼がプレゼンしている最中、手に持った発信機が壊れ、スライドがすすまなくなった。普通の経営者なら焦ったり、部下を小声で叱りつけるところだが、ジョブズは高校時代のいたずらについて話し始めた。

「スティーブ・ウォズニアクと僕とでテレビの妨害機っていうのを作ったことがあるんだ。小さな発信機でテレビが映らなくなる妨害電波を出す。(中略)そいつが足を上げたとたんに妨害をやめる。そいつが動くとまた妨害する。そんなことを5分もやっていると、こんな風になったりするんだ」

「こんな風」とはジョブズ本人がプレゼンの最中に足を上げたところでフリーズしたスライド画像のことである。普通の会話のなかで話すのでなく、機械の故障という、切羽詰まった状況のなかで、面白い話をするわけだから、余裕がないとできないことだ。

ピンチを突破するアドリブ ~一流社長、政治家、文化人の「心のくすぐり方」【3】:PRESIDENT Online – プレジデント

ジョブズの域は神業ですが、いっそ「トラブルを楽しむ」くらいで構えるのが大切です。そうした余裕を作るためにも、練習と準備は重要です。

 

これは持論ですが、プレゼンは知的エンターテイメントだと思います。プレゼンターは、よきパフォーマーである必要があるのです。

苦手意識があるものを「楽しむ」のは困難なことですが、小さな成功体験を重ねることによって、徐々に余裕が生まれてきます。15分もプレゼンをすれば、一つくらい、自分でも評価できるポイントが生まれるかもしれません。

トークに自信がないプレゼンほど、見ていてつまらないものはありません。「ここのデータはxxxで、ここのデータはyyyで…(資料と向き合い、棒読みしている)」「あー、えー…ここのスライドは完成してませんね…」「準備不足ですみません…」などなど。皆さんもどこかで目にしたことがあるでしょう。「楽しむ」ことを心がければ、自信のないプレゼンは避けることができます。

プレゼンは人生において大切な瞬間ですが、失敗したところで、大きく人生が変わることはありません。

「失敗しても大丈夫」という気楽さをもって臨むことで、かえってプレゼンの質は良くなるでしょう。体に力がこもっていては、良い声も、良い動作もできなくなってしまいます。

 

4. 聴衆の目を見ろ!

ひじょうに細かい話のようですが、「聴衆の目を見て話す」ことは、プレゼンをする人の意識を変えます。

ぼくらは自信がないと、つい聴衆から目を背けてしまい、自分が映写するプレゼン資料を見ながら話してしまったりします。これはダメです。感覚的な話ですが、どれだけいいコンテンツでも、聴衆の目を見ていないプレゼンは刺さりません。

かなり高等テクニックなんですが、自分に自信がないときほど、聴衆の目を見ることをおすすめします。勇気を出して、会場の人々の顔を見ましょう。否が応でも逃れられなくなり、いい意味で追いつめられたプレゼン、聴衆との一体感があるプレゼンができるようになります。

聞き手としても、話し手がこっちをしっかり見ていると、それだけでアテンションが高まると思うんですよね。大学の授業なんかでも、面白い授業をする先生は、よく間接すると聴衆にしっかり「目線」でコミットしています。

「目線」は聴衆との一体感を作り出すツールです。目を背けたくなったときは、自分を叱咤しましょう。プレゼン資料を見てはいけません。PCを見てはいけません。聴衆を見るのです。

 

5. 寝ている人間は、コンテンツの力で叩き起こせ!

会場の雰囲気によっては、聴衆の一部が寝ている場合があります。大教室の授業とか、下手すると1割くらい眠ってたりしますよね。ぼくも大学時代、よく居眠りしていました(というか、睡眠時間を確保するために授業に出ていました)。

やってみるとわかるんですが、一人でも寝ている人間がいると、話し手としてはかなり不安になります。「う、この話、つまらないかな…」「なんで寝るんだよ…」と自信が打ち消されていきます。

が、ここで負けてはいけません。心持ちとしては、そういった聴衆を「コンテンツの力で叩き起こす」くらいで構えましょう。笑いを取ってみたり、動画を入れ込んでみたり、聴衆にアンケートを取ってみたり…意外とやりようはあったりします。

特に使えるのは「動画」で、これは朦朧とした聴衆を叩き起こす効果があります。ランチタイム直後にプレゼンをする場合なんかは、ところどころに動画を入れると目を覚まさせることができるでしょう。

 

6. 固有の体験にもとづく「ストーリー」を語れ!

心に残るプレゼンには、かならず「ストーリー」があります。その人、または誰かの、固有の体験を物語るのです。

ぼくはソーシャルメディアの研修をする際には、過去に経験したクライアントとのやり取りを、トークで再現することがあります。単に「ツイッターはここを気をつけましょうね〜」と語るより、ぼくが経験した実話をもって語った方が、聴衆のアテンションを獲得でき、記憶にも残りやすいのです。

自分の体験はもちろん、同僚・友人・家族が経験した話を取り入れるのもおすすめです。とにかく、「固有の体験にもとづくストーリー」が大切なのです。

細かいテクニックとしては、そうしたストーリーを語る際のプレゼン資料には、「そのストーリーを象徴する一枚の写真」を映し出すと、それっぽく見えます。たとえば「失恋して婚約指輪を海に投げた話」を語るなら、プレゼン資料には「断崖絶壁の海の画像」を映し出しておく、みたいな。

 

7.アクションを呼びかける

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photo credit: hiddedevries via photo pin cc

聴いてくれた方々の人生がポジティブな方向に向かうようなアクションを提示しましょう。

それは「帰りの電車の中で、ぜひ1分心を落ち着けて考えてみてください」という些細なものでも構いません。「ぜひこれを覚えて、○○を見かけたら今日の話を思い出してください」とかでも。

アクション可能な情報を提供することは、プレゼンを行う人の義務だとすら僕は思います

 

8. 会場を巻き込む

ここら辺、ぼくはまだまだ苦手なんですが、会場をうまく巻き込むことができると、プレゼンの質は高まったりします。うまく設計しないとうざったい感じになるので注意は必要ですが…。

ぼくがいつもうまいなぁと思うのは、NPO法人FDAの成澤さんのプレゼン。障害者を始めとする就労に困難を抱える人の支援を行っているのですが、プレゼンのはじめに、彼は必ず「ストローとライターの共通点は何だと思いますか?隣りの人と、30秒で考えてみてください」と質問をします。

みなさんわかりますか?これ、両方とも「障害者が作ったもの」だそうです(成澤さんネタバレしてごめんなさい)。彼が答えを発表すると、会場は必ず「へ〜、そうなんだ」と感嘆の声をあげます。

で、成澤さんは「障害者のアイデアが、社会に取り入れられた例です。我々は〜」と、FDAの取り組みについての話をスタートさせます。このクイズは、自分のプレゼンや事業を語る上での、重要な導線になっているわけですね。

これもかなり難しいんですが、「小道具」の導入もいいかもしれません。セス・ゴーディンは途中で「電球を踏んづけて割る」という小道具パフォーマンスを行っています。

導入の質問などを通して、うまく聴衆を巻き込むことができれば、一気にその場は「自分のターン」になります。聴衆のアテンションは高まり、気持ちよく話すことができます。。

 

「心に残るプレゼン」の4つのポイント

とある方にプレゼンのアドバイスを行ったのでメモがてらポイントをまとめてみます。

1. 「心に残したいキーワード」を一つだけ定める

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photo credit: AlicePopkorn via photo pin cc

心に残るプレゼンは、シンプルなメッセージを私たちの胸に残してくれます。

複数のことを伝えようとすると、プレゼンは非常に高度になります。時間が長かろうが、短かろうが、メッセージは一つに絞るのが理想的です。

プレゼンをするシーンや観客にあわせて「自分は一体彼らの心に何を残したいのか」と問いかけ、最適な答えを、できればその都度用意しましょう。

キーワードは基本的に一つに絞るべきです。
複数のキーワードを提示する際は、例えば「一つのメインキーワード」と「三つのサブキーワード」といった構造を意識しましょう。「結局何が言いたいの?」という印象を残してしまっては最悪です。

 

2. 課題を語り、共有する

観衆の方々と、皆さんが取り組んでいる「課題」を共有できたとき、あなたの言葉はまさに心に残るものとなるでしょう。

著名な投資家Dave McClureが口をすっぱくして伝えている通り「課題を語る」べきです。それも「共有できる課題」です。解決策を語る時には、「あー、それ確かに必要だよね!」と思ってもらえるよう意識しましょう。

課題の共有は、プレゼンでもっとも重要なプロセスです。ここさえできてしまえば、もう話をする必要はないくらいです。

 

3. 自信をもって自分の言葉で語る(資料に頼らない)

充実した資料はあなたに安心を与えますが、せっかくのプレゼンの価値を落とします。その不安を払拭できるほど、十分な練習を行う必要があります。

プレゼン資料は文字は最小限、ビジュアル重視が鉄則です。キーワードやイメージに秘められた想いを、自分の言葉で語りましょう。

また、マイクやプロジェクターといった機材にトラブルが起きた際も、余裕をもって対処しましょう。観客をハラハラと心配させることは、避けなくてはなりません。スティーブ・ジョブズよろしく、ちょっとしたジョークなんかを取り入れられれば、よりクールな印象を与えられるでしょう。

 

4. 比喩を使う

たくさんのプレゼンを見ていると、印象的な話し手は、比喩を使うのが非常に上手いことに気付かされます。

比喩はあなたの伝えたいことをビジュアル化し、観客一人ひとりの脳に焼き付ける効果を持ちます。過度に比喩を多用するのもナンセンスなので、スパイスのように活用していきましょう。

例えばこの記事をより印象づけたいなら「プレゼンは、文字通り聞いてくれる方々へのプレゼントのようなものだ」という比喩が効果的かも知れません。ビジュアル化する効果があることを体感して頂けるかと思います。

 

結局、どれだけ場数を踏んだか

というテクニック的な話は間違いなくあるんですが、結局、場数を踏んだもん勝ちだとも思います。100回くらいやれば、否が応でも慣れてきますし、自分なりの成功法則も掴めるようになります。

水泳の泳ぎ方を座学で習っても泳げるようにならないのと一緒で、プレゼンも、実践を通してしか上達はしません。

 

まずは、プレゼンを行う回数の絶対量を上げることです。自分で勉強会を開催してみたり、YouTubeやツイキャスで話してみたり…機会を自分で創り出しましょう。

そうして創り出した機会のひとつひとつに、十分な練習をした上で臨みます。その繰り返しを50回もやれば、かなりうまくなってくるんじゃないかと思われます。少なくとも、精神的な緊張はかなり軽減されるようになるかと。

緊張しているとうまく自己点検ができないので、まずは「あんまり緊張しなくなる」フェーズにまで達するところを目指すのをおすすめします。

 

かくいう僕はまだまだなので、えらそうなことも言えないんですけどね…。やっぱり十分な練習時間を確保するのがなんだかんだで難しいです。

 

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