賛否両論?イケダハヤトが物申す

苦しいときに助けを求められる人は、強い人です。弱い人は、そもそも「助けて」と言えません

日本の「芸能人」たちに絶望的に欠けているもの」という記事を書いたばかりですが、色々欠けてますね、ホント…。


助けを求められないから、辛い状況に陥る

何度も書いている気がしますが、「なんで辛いのに助けを求めないの?」と語る人は、超シンプルな「順番」を見逃しています。

辛い状況に陥っている人は、そもそも人に助けを求められないから、辛い状況に陥っているんです。「その人の性質によって、その人を取り巻く環境によって、助けを求めることが難しくなっている」という「前提」がまず存在しており、だからこそ、辛い状況に陥ってしまうわけですね。


「なんで辛いのに助けを求めないの?」という人は、日本語を喋ることができなくて困っている外国人旅行者に「なんで困ってるのに日本語で話さないの?」と問いかけるようなものです。いや、そもそも日本語話せたら、とっくに話してますよ、と。

ぼくらがすべきことは、日本語を喋ることができない外国人の意思疎通をサポートすることです。彼・彼女の困りごとを彼らの言語でヒアリングし、日本語でわかりやすく周囲に伝えることです。


いささか逆説的ですが、「困った時に助けを求められる」というのは、本質的に強者の振る舞いです。

助けを自力で求められるということは、自分の状況を理解する力があり、情報収集能力があり、コミュニケーション能力も十分で、人的な資源にも恵まれている、ということです。ついでにいえば、自分の弱さを認められるくらいにまでは、強い人です。

弱い人には、そうした能力や素質を育むための環境がありません。だからこそ、自力で頑張ろうとして、より苦しい方向にハマっていってしまうわけです。


隠れた名著「ポストモラトリアム時代の若者たち (社会的排除を超えて)」では、ニートやひきこもりが、こうした自己責任の結果として生まれていることが指摘されています。まさに慧眼です。

疲弊するまで相談機関を訪れないのは、彼ら(ひきこもり)の多くが自分で問題を解決しようとして、いたずらに時間を過ごしてしまうからである。

また、彼らは働いていないことについて過剰な罪悪感を抱えており、相談機関を訪れると自立していないことを責められてさらに傷つくのではないかと恐れるからであり、あるいは他者に援助を求めることを自己管理の破綻と考えるためである。

ある意味では、「ひきこもる」という行為は過剰に自己責任にとらわれた結果であるといってよい。それは誰にも頼らないで態勢を立て直そうとする試みであり、それ以上自尊心を失わないために自己管理に専念した結果であるといえる

しかしこの戦略をとった場合、社会とつながるための選択肢は徐々に失われていき、やがて身動きのとれない状態に陥らざるをえないのである。

ポストモラトリアム時代の若者たち (社会的排除を超えて)

村澤 和多里,山尾 貴則,村澤 真保呂 世界思想社 2012-10-20
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こちらも名著「反省させると犯罪者になります」では、犯罪者の心理と自己責任について指摘されています。

人に頼らないで弱音を吐かずに1人で頑張ることを人は賞賛しがちですが、実は犯罪者のなかには人に頼らない生き方をしてきた結果、自分に無理をして犯罪を起こした者が多くいます。本当は寂しくて苦しいのに、それを言うと「恥ずかしい」とか「格好悪い」と考えて、逆に強がって行きてきたのです。


「なんで助けを求めない。恥かいてもいいじゃないか」というのはまさに正論ですが、恥をかけるほどまでに自己肯定感を得るというのは、困難なことなのですよ。よほどうまく自分を相対化・肯定できないかぎりは、恥はかけませんから。

ついでに毒を吐いておきますが、芸能人と呼ばれる「恵まれた」人々には、そのことがわからないのでしょう。マリー・アントワネットかお前は、とツッコミたくなるレベルです。日本のセレブがちっとも社会貢献をしないのも、むべなるかな。


テクノロジーで「助けて」を拾う

ここまでは前提で、実際の問題解決にあたって課題になってくるのが「では、助けを呼べない人たちにどのようにしてアプローチするか」という課題です。実際、声を挙げてくれないわけで、見つけることがそもそも難しいわけですね。

ここで解決策になると思っているのが、スマートフォンやウェアラブル機器を始めとする、新しいテクノロジーです。


たとえばスマホの前面カメラを使えば、その人が「普段どんな表情でスマホをいじっているか」が見て取れます。これをデータ処理すれば、ハイリスクな方だけをうまくピックアップして、支援に繋げることもできるでしょう(まぁ、プライバシー云々の壁もあるんですが)。

もう少し現実的なところでは、OVAが実践している「夜回り2.0」が面白いです。こちらは検索エンジンで「死にたい」とか「自殺 方法」と調べている人を、検索広告を使って獲得し、支援につなげるという取り組みです。なんと150円以下で自殺予備軍にリーチできるそうで、この成果はWHOの会合でも発表されるとのこと。すでに何人もの方の命を救っています。すばらしい!


OVAのJIROさんが言っていて面白かったのですが、これってある意味で「監視社会」的なんですよね。でも、その実践はとても「優しい」ものです。優しい監視社会というか、優しいパノプティコンというか、そういうことがテクノロジーを使うとできるんじゃないかな、と彼は語っていました。すばらしい。


最後は微妙に余談になりましたが、まずは「弱い人はそもそも『助けて』といえない」という前提を多くの人に共有してもらいたいものです。特に社会的な強者である人々には…。


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