これは面白い作品。ぼくもしばしば在日認定を受けるので、ネット右翼関連の動きは気になっています。本書はタイトル通り、ネット右翼「側」からの反論です。





「ネトウヨ」1,000人アンケート



本書の白眉は著者自ら行った、フォロワーとフェイスブックの友だちを対象にしたアンケート。回答は1,010人から集まり、書中ではネトウヨの実像が浮き彫りにされています。

アンケート結果をポイントを箇条書きでまとめると、

・男女比は男3:女1
・年齢のボリューム層は30〜40代
・職業は自営業が多い(12.5%)
・無職は3.1%と少ない
・6割以上が「大卒以上」
・平均年収は451万円
・恋愛経験や社交性に乏しいというわけではない



著者は次のようにもまとめています。

「インターネットで保守的・愛国的な言動をする人々」を批判的な文脈で「ネット右翼」と包括する人々が持つイメージとは全くかけ離れた、東京や大阪といった大都市部に住む、社会的にはミドルクラス以上、つまり典型的な中産階級で、年齢も40歳手前の、社会人として成熟した、金銭的に余裕のある人が多かった、ということである。

巷間かしましい「ネット右翼=社会的底辺」の構図は、ここに完全な形で崩れ去ったのであった。


ネトウヨというと下記画像のようなイメージで語られることが多いわけですが、こういうステレオタイプは実態を伴っていないということですね。

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津田さんもメルマガの中で、「検診を担当してくれているお医者さんの奥様が、ネトウヨ的言論に染まっていて驚いた」という報告をしています。


先生「テレビとか新聞の報道って、やっぱり特定の事例は意図的に報道を隠し
たりするんですか?」

俺「へ!? え、具体的にはどのような……?」

先生「いやね。僕は全然わかんないんだけど、最近奥さんからよく言われるんですよ。この前の大阪の生野で通り魔事件があったじゃないですか。あれをマスコミが全然報道していない。マスコミってやっぱり在日韓国人や在日朝鮮人がからむニュースは全然報道しないんですか?」

俺「いや、奥さん考えすぎじゃないですかね。そんなことはないと思いますけ
ど……」

先生「そうかー。奥さんが言うには、マスコミは在日の人間がたくさんいるか
ら、在日の利益になるような報道しかしないらしいんですよね」

俺「いやいやいや。僕も仕事柄たくさん記者さん知ってますし、現場もよく知っ
てますけど、在日に支配されてるとかそういうことはないと思いますよ……」

先生「奥さんによると、特にNHKとフジテレビに在日が多いらしいんですよ」

俺「いやーそんなことないですって(……うわ、ガチだその奥さん)」


こうした層にまで「ネットde真実」が浸食していることに対して、津田さんは危機感を表明しています。

こういう現実を目の前にすると、そういう人たちを見て「http://kirik.tea-nifty.com/diary/2013/05/post-0a62.html" target="_blank">ゴミ箱の中身を見て
『ゴミがたくさん入っている!』と公衆の面前で語るような無駄」とか、達観してていいんだろうかと思わざるを得ません。かといって、彼らに届く言葉をすぐに見つけられるわけでもないので、それはそれでもどかしさばかりが募るわけですが。





ネット右翼に関しては、暴力事件や排外主義的なデモを行っている人々に関して、個人的に懸念しています。

彼らは自分たちが「正しいこと」をしていると確信しているようです。そうだとしたら、ぼくら「普通の人々」がこのまま「あいつらは所詮ネトウヨだろwww」と見下し、相手にしないのは危険です。彼らは社会に対して、自分たちの正しさをより強く主張するため、一層暴力的な手段に訴えてもおかしくありません。

ヘイトスピーチが話題になっているように、事実、彼らの暴力性は高まっているようにも見えます。暴力性が高まった「ネット右翼」たちとどのように接触、対話をしていくかは重要なテーマだと思います。その意味でも、ネット右翼の実相に迫った本書は価値があるといえるでしょう。




なお、この本を読むなら「ネットと愛国」も合わせて購入するのをおすすめ。こちらもすばらしいルポ作品です。