世界で最も売れた本の第五位に入る(6,500万部)名作、「アルケミスト」の読書メモを残していないことに気づいたので、名言まとめ形式でご共有。太字はぼくが施しています。





旅に出よう



羊たちの興味はと言えば、食べ物と水だけだった。アンダルシアで一番良い牧草地の見つけ方を少年が知っている限り、羊たちは彼の友達でいるだろう。そう、彼らの毎日はいつも同じ日の出から日没までの、限りなく続くように思える時間だけだった。彼らは若い時に本を読んだこともなく、少年が都会のようすを話しても何のことかわからなかった。彼らは食べ物と水さえあれば満足していた。そのかわり、彼らは羊毛と友情、そしてたった一度だけだが、自分の肉を気前よく与えてくれた。もし僕が、今日、すごく残忍な男になって、一頭ずつ殺すことにしたとしても、ほとんどの仲間が殺されてしまってから、彼らはやっと気がつくのだろう、と少年は思った。彼らは僕を信頼していて、もう自分たちの本能に従うことを忘れている。それは僕がいつもおいしい草があるところへ連れてゆくからだ。

・父親は少年を祝福した。少年は父親の目の中に、自分も世界を旅したいという望みがあるのを見た。それは、何十年もの間、飲み水と食べるものと、毎晩眠るための一軒の家を確保するために深くしまいこまれていたものの、今もまだ捨てきれていない望みだった。

・少年は、できるだけまだ通ったことのない道を旅するようにしていた。彼はその地方を何度も訪れたことがあったが、今まで一度も、その見捨てられた教会に行き当たったことはなかった。世界は大きくて、無尽蔵だった。しばらく羊たちに、行き先を自由にまかせておけば、彼は何かおもしろいものを見つけ出した。問題は、羊たちは毎日新しい道を歩いているということに、気がついていないことだった。彼らは新しい場所にいることも、季節の移り変わりさえも知らなかった。彼らが考えることは、食べ物と水のことだけだった。

・「世界最大のうそって何ですか?」と、すっかり驚いて、少年は聞いた。「それはこうじゃ、人は人生のある時点で、自分に起こってくることをコントロールできなくなり、宿命によって人生を支配されてしまうということだ。それが世界最大のうそじゃよ」

・「誰でも若い時は自分の運命を知っているものだ。まだ若い頃は、すべてがはっきりしていて、すべてが可能だ。夢を見ることも、自分の人生に起こってほしいすべてのことにあこがれることも、恐れない。ところが、時がたつうちに、不思議な力が、自分の運命を実現することは不可能だと、彼らに思い込ませ始めるのだ。

・「おまえが何かを望む時には、宇宙全体が協力して、それを実現するために助けてくれるのだよ」

・「結局、人は自分の運命より、他人が羊飼いやパン屋をどう思うかという方が、もっと大切になってしまうのだ」

・羊を持っていた時、僕は幸せだった。そして、僕のまわりにいる人々を幸せにできた。人々は僕が行くと、僕を心から歓迎してくれた、と彼はふり返ってみた。しかし、今、僕は一人ぼっちで悲しい。一人の人間が僕を裏切ったから、僕はいじわるになり、人を信用しなくなるんだ。僕は宝物を見つけられなくなったから、宝物を見つけた人を憎むようになるだろう。そして、自分はだめな人間だという考えにとりつかれるだろう。なぜなら、僕はとるに足りない人間で世界を征服できないからだ。

・「メッカのことを思うことが、わしを生きながらえさせてくれるからさ、そのおかげでわしは、まったく同じ毎日を繰り返していられるのだよ。たなに並ぶもの言わぬクリスタル、そして毎日あの同じひどいカフェでの昼食と夕食。もしわしの夢が実現してしまったら、これから生きてゆく理由が、なくなってしまうのではないかとこわいんだよ。おまえさんも羊とピラミッドのことを夢見ているね。でもおまえはわしとは違うんだ。なぜなら、おまえさんは夢を実現しようと思っているからね。わしはただメッカのことを夢見ていたいだけなのだ。わしはな、砂漠を横切ってあの聖なる石の広場に着いて、その石にさわる前に七回もそのまわりをぐるぐるとまわるようすを、もう千回も想像したよ。わしのそばにいる人や前にいる人、その人たちと一緒に語り合い、祈るようすも想像した。でも実現したら、それが自分をがっかりさせるんじゃないかと心配なんだ。だから、わしは夢を見ている方が好きなのさ

・「でも、僕はよく知っている野原に戻り、また羊の群れの世話をしよう」と確信を持って自分に言った。しかし、彼は自分の決心に、もはや幸せを感じなかった。彼はまる一年間、自分の夢を実現するために働いてきたが、今やその夢は一分ごとに重要さを失っていった。おそらく、それは本当の夢ではないからなのだろう。

・「彼らはもう僕の羊じゃあないんだ」と彼は郷愁を感じずに、独り言を言った。「彼らは新しい羊飼いに慣れただろう。そして、おそらく、もう僕のことは忘れてしまっているだろう。それでいいのだ。羊のような動物は旅に慣れているから、新しいことにも慣れることを知っているのだ」

・「傷つくことを恐れることは、実際に傷つくよりもつらいものだと、おまえの心に言ってやるがよい。夢を追及している時は、心は決して傷つかない。それは、追及の一瞬一瞬が神との出会いであり、永遠との出会いだからだ」



特に印象的なのは、「夢を実現しないこと」を選んだクリスタル売りの言葉。これは人によってはザクザク来るでしょうね。

だいぶ前に読んだので、時間を空けて読むとまた新しい刺激がありますね。まだ読んだことない方も、昔に読んだという方も、ぜひ手に取ってみてください。