最近機会があって、編集者志望の学生によくお会いします。この弱肉強食の世界に飛び込もうとする若者を見ると、ワクワクしますね。ようこそ茨の道へ!

とはいえ、今は時代が激変しているので、ニッチな道を見つければ十分生きていくことは可能です。それこそ学生だろうが。ぼくが考える、若手編集者がこれから食っていく道を大公開したいと思います。



有料メルマガの編集—早い者勝ち!



ぼくが編集者を志す若者なら、間違いなく有料メルマガの編集に手をつけます。ここは早い者勝ちなので、さっさとやらないとパイがなくなります。

今更有料メルマガ?と思うかもしれませんが、ここはまだ拡大の余地があります。

現在発行されている大部分の有料メルマガは、基本的に「メルマガスタンドを利用して、ライターが週間ペースで発行する(月額630〜1,050円)」というかたちです。

これは構造的な問題がありまして、多くの場合、ライターが毎週ペースで更新するに見合っただけの対価は得られません。メルマガスタンドの手数料は高く、一般的に50%の利益が抜かれるからです。630円で1,000人が購読しても、収益は約30万円です。

これは十分な収益のように思えますが、1,000人まで購読者をのばすためには、よほどの知名度があるか、毎週のがっつり更新を継続する必要があります。ほとんどの場合、損益分岐点を上回る前に、息切れしてしまうのが現実だったりします。

実際、家入さんのメルマガのように、遅配が続くことも珍しくありません。ぼくがメルマガをやらないのも、自分でコンテンツを生産する余裕がないからです。

関連記事:有料メルマガは「ファンクラブ会報誌」の域を抜け出せるか?

ですが、メルマガの発行体制を、「決済管理は自社で行い、編集者がコミットし、月に一回安価なメルマガを発行する(月額315円)」なんてスタイルに変えれば、持続可能なメルマガ発行は十分可能になります。

たとえばぼくがこのやり方でメルマガに取り組めば、コンテンツによりますが1,000人の読者は獲得できるでしょう(多分…)。その場合、メルマガスタンドを介さなければ利益は90%以上手元に残ります。利益は月間25万円としましょうか(自社配信の方法は、大元さんが実践していたスタイルを採用)。

編集者とライターで利益を折半すれば、月に一本メルマガを制作するだけで、編集者は12.5万円の収益を得られます。更新本数を減らすこと、編集者が介在することで、ライターの負担は一気に下がります。このモデルで2〜4名の有料メルマガを編集すれば、十分生きていける稼ぎになるでしょう。

ただ、1,000人規模でメルマガ読者を獲得できるライターは、そう多くありませんが、確かに存在しています。家入さんなんかは、しっかり編集者がつけば、月一本でも315円×3,000人くらいいけてしまうのではないでしょうか(津田マガは8,000〜9,000人の読者がいるらしいですし)。

「有料メルマガ編集」は、小規模ですが十分ビジネスになりえるので、どこかの出版社が戦略的に手がけてきそうですね。そういう意味でも、これは早めにやった方がいいです。





電子書籍の編集・制作



次に熱いのは電子書籍の編集・制作です。

電子書籍はまだまだマーケットが小さいですが、将来的には有料メルマガと同様に、個人のライターが食っていける程度の市場規模には伸びていくでしょう。

たとえば、年に2冊、骨太な電子書籍を執筆し、それを1,000円×累計7,000人に売る、なんてイメージ。これなら年間売上で700万円立ちます(手数料が30%抜かれて、利益はざっくり500万としましょう)。

電子書籍はミニマムで編集者1名・著者1名で制作できますので、500万円の利益を2:8で折半すれば、100万円は編集者の報酬になります。こんな感じで5〜6冊編集していけば、食っていくのは無理ではありません。




とはいえ、これは市場が立ち上がってからの話で、原段階では理想論の域を出ません。今はせいぜい、一般書だと250円の本を1,000人に売るのが限界でしょう。

そのため、当面は「電子書籍を出してみたいけど、制作できない」という人に対して、1冊15万円くらいで編集・制作・販売のサポートを行う、というビジネスモデルが現実的といえるでしょう。年間10冊手がければ、それだけで150万円です。




決して難しくはないので、編集者志望の学生には、ぜひKindle本の制作に触れておくことをおすすめします。スキル的にはかなり希少性高いので、重宝されますよ。




イベントの編集



軸をリアルに寄せていくと、イベントの編集というのも「稼げる」分野です。

イベントって編集対象なの?と疑問に思う方も多いかもしれません。そうです、イベントはあらゆるコンテンツと同じで、編集の対象になります。すぐれた編集者の手に掛かれば、すばらしいイベントを実現することができます。

編集的なイベントとしてパッと思い浮かぶのは、同世代では希代の編集者である、高木新平さんが手がけた「よるヒル超会議」でしょう。



このイベントは、猪瀬都知事、勝間和代さん、佐々木俊尚さん、田原総一朗さん、安藤美冬さん、家入一真さん、津田大介さん、宮台真二さんなどなど、錚々たる面子を並べて行われた連続対談です。組み合わせの妙、まさに編集ですね。これはそのまま雑誌の特集になっても違和感ありません。





このイベントは無償で運営され、収益を上げることはありませんでしたが、どこかの会場を借りて行えば、5,000円×400人くらいは余裕で集客できたことでしょう。会場を無償で借りられれば、経費を抜いても100万円は手元に残ります。

そんなわけで、うまくイベントを編集すれば、一晩で100万円以上のお金を稼ぐことも、決して無理ではありません。実際手間もかかりますし、かなりハードルは高めですが、選択肢のひとつとしてはありでしょう。ぼくも食えなくなったらイベントの編集して生活費を稼ごうと思っています。




有料コミュニティ(サロン)の編集



これはまだまだ先の話ですが、有料コミュニティ、通称「サロン」の編集、コミュニティマネジメントも収益源のひとつになりうるでしょう。

サロンは着々とクリエイターにとっての「金のなる木」になりつつありまして、業界最大手のはあちゅう&村上萌サロンは、なんと560人を超えるメンバーが参加しており、月間の売上は単純計算で50万円を超えています。フェイスブックのグループを運営しているだけ、といえばそれだけなので、コストパフォーマンスは非常に良いように見えます。

が、コミュニティの維持活性化はなかなか難しい課題で、ライターが一人で頑張ってもどうにかなる話でもなかったりします。その点はあちゅうさんたちは巧みですが、コミュニティに仲間内のスタッフが2人以上いると、一気にやり取りは活性化する傾向があります。

これからはクリエイターが有料のファン向けコミュニティを運営していく時代になると思います。その時に編集者としてコミュニティに関与していくことも、編集者が対価を得られる仕事になりうるでしょう。ぼくも近日中にサロンをやる予定ですが、その際には編集者にコミットしてもらう予定です。




企業ブログの編集



再び盛り上がる「企業ブログ」事例まとめ—なぜ今「ブログ戦略」が熱いのか?」でも書きましたが、ここ最近、マーケティングツールとしてブログの注目度が高まっています。

サイボウズなんかは、それなりに予算を掛けて、かなり充実したメディアを運営しています。メディア事業者顔負けですね。



経験的に、こういう「企業が自社のマーケティングのために制作しているメディア」は、「広告費を収入にして運営しているメディア」よりも予算が潤沢です。企業メディアの場合は、1記事で1万円なんて報酬も珍しくはありません(これでも高いんです…)。もちろん、編集者に支払う対価も一般的なメディアより弾みます。

ゆえに、編集で食っていこうとするのなら、企業が運営するメディアに関わる、というのはひとつの選択肢になると思います。ホントに、予算の感覚が全然違いますから。予算があるということは、できることもそれだけ広がるので仕事も楽しいはずです。

ここら辺は下記の本が詳しいです。編集でメシを食っていきたい人は読んでおくべし。






自分でメディアを作っちゃう



これまで紹介してきたものは、どちらかというと編集者が「裏方」に回るマネタイズの手段でした。

最後はかなりハードルが高い道ですが、編集者が自分でメディアを立ち上げてしまう、というのも十分ありえる選択肢だと思います。

ブログメディアを立ち上げて、月間50〜60万PVクラスまで成長させられれば、人ひとり生活していけるだけの利益は出るでしょう。うちはこの規模ですが、30〜50万円の売上が立ってます。

自分が編集する有料メルマガをやってみてもいいかもしれません。新しく雑誌をつくるイメージですね。

「星海社新書」「アイデアインク」「U25」のように、電子書籍レーベルを作ってみても面白いでしょう。編集者の小川さんは、このアプローチにチャレンジしています。

あえて紙の書籍に挑戦してみてもいいでしょう。シゴトヒト文庫は自費出版ですが、3,000部を売り切ったとか(利益率は90%以上!)。




弱肉強食の世界とはいえ、まだまだやれることはあります。人ひとり食べていくくらい(年間利益150万円程度)なら、実力があれば十分に可能です。というか、それくらいできないなら、編集者・ライターなんて目指すべきではありません。厳しいようですが…。

編集者志望の学生には、ぜひ1〜2年休学して、自分の力で年間150万円程度の利益を出せるようになることをおすすめします。そこまでいけば、フリーでも生きていけますし。




これ関係のテーマはたくさん記事を書いています。こちらもよろしければぜひ。いやはや、我ながらマッチョですね…。

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