今更ですが、橋下市長の発言は、情報発信者として興味深いものがあります。

橋下徹大阪市長「米軍の風俗業活用を」はいかなる文脈で発言されたのか(2013年5月13日) | SYNODOS -シノドス-




橋下市長の「風俗業活用」発言への反応が興味深い



ぼくは歴史問題については詳しくないので言及は避けますが、橋下市長は真偽はどうあれ、「事実」を語っているように思えます。

でも、慰安婦制度じゃなくても風俗業ってものは必要だと思いますよ。それは。だから、僕は沖縄の海兵隊、普天間に行った時に司令官の方に、もっと風俗業活用して欲しいって言ったんですよ。そしたら司令官はもう凍り付いたように苦笑いになってしまって、「米軍ではオフリミッツだ」と「禁止」っていう風に言っているっていうんですけどね、そんな建前みたいなこというからおかしくなるんですよと。

法律の範囲内で認められている中でね、いわゆるそういう性的なエネルギーを、ある意味合法的に解消できる場所ってのが日本にはあるわけですから。もっと真正面からそういうところ活用してもらわないと、海兵隊のあんな猛者のね、性的なエネルギーをきちんとコントロールできないじゃないですかと。建前論じゃなくてもっとそういうとこ活用してくださいよと言ったんですけどね。

橋下徹大阪市長「米軍の風俗業活用を」はいかなる文脈で発言されたのか(2013年5月13日) | SYNODOS -シノドス-



ここだけ普通に抜き出すと、ぼくはなぜ炎上しているのかがよく分かりません。「実際男たちには性欲はあるわけだし、建前はやめて現実的に考えましょうよ」という話ですよね。何がおかしいんでしょうか。




もはや大炎上状態なので何から整理していいのかわからないレベルですが、この発言の燃えっぷりを見ると、「事実を語ることが、倫理に反する」という状況がありえることがわかります。




この手の「事実と倫理」の話はぼくらの日常生活でも問題になります。

たとえば、ぼくはプロのもの書きとして「ぼくの記事を読んでどう人生の決断を下すかは、読者に責任がある。ゆえに、ぼくは無責任である」と考え、そう主張します。

みなさんの人生の選択の責任は、ぼくには取れません

ぼくがもの書きとして無責任であるというのは、厳然たる事実です。「ぼくは自分が書いた言葉の責任を取ります」と語るとしたら、それは間違いであり、生易しい嘘です。

が、少なくない人が、ぼくが語った事実に対して、倫理的な判断軸で「イケダハヤトはダメだ。プロたるもの、責任感を持って文章を書くべきだ」という批判を繰り出します。これはもう、ほとんど議論になりません。こちらはそんな倫理の話はもう超えて、事実の話をしているわけですから。




橋下知事は「性風俗は倫理に反するという感覚はわかるけど、実際問題、男性の性欲はあるわけだから、そこは認めて「事実」と向き合おうじゃないか。日本には合法的な風俗産業があるし、何も「禁止」することはないだろう」という事実に基づく提案を行っているように思えます。

で、これに対して、感情的な(もはや倫理的ですらない)批判が出てくるわけですね。

ヤクザの息子ぶり全開したね。性産業はヤクザのしのぎ、それは正当と思っていたね。
お前が娘を米軍慰安所に行かせたら。

おい、コスプレ変態市長の橋下トオル君。娘が希望すれば慰安婦にでも飛田の売春婦にでも
ならせてやるんだな?

橋下は、自分の娘が「風俗嬢になる」って言ったら、どうぞご自由に、法律は守ってね、って言うんだろうか。息子が「法律の範囲内で風俗に行ってきた」といったら、OKなんだろうな。

先ずは自分の娘らに米軍にでもなんでも慰安婦として出せ!必要なんだろうからね!
それから話せ(*`へ´*) てめえーの娘も出せないなら、今の馬鹿な発言やめて欲しい…

痛いニュース(ノ∀`) : 【ツイッター炎上】 「橋下徹よ、おまえの娘に風俗嬢やらせろ!」 - ライブドアブログ





こういう意見に対して、橋下さんは次のようにコメントすることになるわけです。なんて噛み合っていない…。

「日本国において法律で認められた風俗業を否定することは自由意思でその業を選んだ女性に対する差別だ」

朝日新聞デジタル:橋下氏「風俗女性への差別だ」 石原氏「間違ってない」 - 政治





まともな反論の一部としては、橋下市長に対して「性風俗は倫理的に許されるものではない。それを公人が勧めるとはどういうことか」という意見が見受けられます。みなさんもそういう反応をしたかもしれません。

が、倫理観は人それぞれですし、そういう正義の振りかざしは「自由意思でその業を選んだ女性に対する差別」になってしまう可能性があるのも事実です。

橋下市長は事実に基づく話をしているのであって、それを「性風俗は不道徳だ!」と糾弾するのはお門違いというものでしょう。そういう反論もあっても良いですが、問題解決(男性の性欲をどうコントロールするか)にはすぐに繋がりません。




ぼくは政治的スタンスは橋下市長に、特段の賛同もしていないのですが、この「事実を語ることが、倫理観の名の下で大炎上してお話にならない」というのは何とも残念な状態だと思います。実は「男性に性欲はなかった」なんていう事実誤認があるのなら、議論の余地もありますが…男性に性欲があるのは明らかですからね。




また、橋下市長の「建前はやめよう」という態度はむしろ賞賛すべきだとすら思います。他の政治家が同じ態度で振る舞ったら、実際多くの人は賞賛するんじゃないでしょうか?




この手のセンシティブなテーマに関しては、公ではなくクローズドで問題解決について語り合う、というのがやっぱり正解なんでしょうね…。




と思ってハフィントンポストを見てみたら、おぉ、流石。冷静な意見が多いじゃないですか!やばい、けっこう感動してます。

橋下氏発言、議論呼ぶ 「慰安婦制度は必要だった」 「米軍、風俗業活用を」




対するBLOGOSは…ちょっと言葉が荒れすぎてて読むのが辛いですね。この人たちはなんでこんなに口が悪いんだ…。個人的にはハフポの方がコメント欄面白かったです。みなさんも見比べてみてください。

日本の慰安婦制度を正当化するつもりはないが、しかし、日本「だけ」が慰安婦制度を持ったレイプ国家だと言われるものではない。 - 5月15日(水)のツイート(橋下徹) - BLOGOS(ブロゴス)