ロングセラーとなっている「月3万円ビジネス」。著者の藤村さんのお話を一度生で伺ったことがあるのですが、めっちゃくちゃ素敵なおじいちゃんでした。人柄もすばらしいですが、考え方もまたすばらしいので、まだ知らない方向けに解説を書いてみます。



月3万円ビジネスとは?



「月3万円ビジネス」というのは、月に3万円しか稼げないビジネスのことです。いいことしかテーマにしません。このビジネスはたくさん有ります。なにしろ月に3万円しか稼げないので、脂ぎったオジサンは見向きもしません。つまり、競争から外れたところにあるビジネスです。だから、たくさん有るのです。

「月3万円では暮らせないぞ!」と思うかもしれません。ならば「月3万円ビジネス10個」というのはどうでしょうか。月30万円の収入になります。支出が少ない生活を愉しむことを重ねれば、「月3万円ビジネスを5個」でもお釣りが来るかもしれません。

(中略)「月3万円ビジネス」は暇な時に空いた場所でやります。なにしろ「月3万円」ですから暇だらけです。上手に組み合わせればいくつものビジネスを併行できます。「副業」ならぬ「複業」というわけです。

月に3万円しか稼げないビジネスには競争も生じません。だから仲間と協力して進めることができます。みんなで生み出して、みんなで教え合う……「分かち合いのビジネス」が実現できるかもしれません。


まずは印象的な序文から。前提としては、特に土地が安く、遊休資産の多い「地方」での仕事が前提になっています。

えー、それ実際できるの?と疑問に思う人は、この本を取ると目から鱗がボロボロ落ちます。本書の約半分は21もの「月3万円ビジネス」事例が紹介されています。一部を抜粋すると、

・平飼いのニワトリの卵を1日20個売るビジネス(1個50円、月600個で3万円)
・車のバッテリーをリフレッシュするビジネス(月に6個@5,000円で3万円)
・籾殻断熱パネルの製造・販売
・石釜づくりワークショップの開催
・有機野菜の朝市を月に2回開催
・ツリーハウスでカフェを運営
・顧客10人の買い物代行サービス


などなど、なるほど!と頷いてしまう切り口のスモールビジネスばかり。「インターネットは使わない」という縛りがあるのですが、ウェブを噛ませればもっと応用系は出てきそうです。




月3万円ビジネスはなんら理想論ではなく、実践している人も登場しています。

そのひとり、前田敏之さんは以下の4つのビジネスを実施・検討しています。12年間サラリーマン生活を過ごし、昨年の秋に木更津に移住した方です。詳しくは雑誌「ビッグイシュー」214号の特集をぜひ。

・米づくりワークショップ(1回2,500円で月2回開催)
・米づくりで使う籾殻薫炭を使ったまくらの製造・販売(1個2,000円)
・ウェブ構築のサポート(1件15,000円)
・秋からは焼き芋ビジネスも開始

月3万円ビジネスの事例をつくる、前田敏之さん「大人はこんなに自由だと、子どもに伝えたい」 | BIG ISSUE ONLINE







最近地方に出張に行くのですが、実際話を聞いていると「月6〜7万円もあれば全然暮らしていける」という場所はどうも普通に存在するようです。アグレッシブな人だと「本気で切り詰めれば3万円でいけるよ」なんて意見も。3万円ビジネスをひとつやれば、もうトントンで生きていけるわけですね。




都市に暮らし、高い家賃を払って、いちいちサービスや商品を購入して生きていこうとするから、疲弊するのです。

現状が辛い方は、地方で「低コストかつクリエイティブな暮らし」を実践するのは大いにありだと思います。ぼくもお金のために疲弊したくはないので、リアルに移住を考えております。




発売から1年半経ちますが、じわじわと売れつづけて、すでに9刷。何万部売れてるんでしょ?こういうオルタナティブな価値観の作品が売れていくのはすばらしいことですね。刺激的でありつつも、温かみのある一冊です。未読の方はぜひ手に取ってみてください。