ざっくり言うと…
・プロのライターは無料でも記事を書くべきか?ぼくは基本的に書くべきだと思う。
・音楽が無料になったように、文章も無料になっていく。マネタイズはライブやコミュニティで行う、フリーミアムにシフトしていくべき。
・不釣り合いな贈りものを送ることは、巡り巡って自分のためになる。


この記事面白いですね。

無料記事氾濫の中で、どうやってお金を稼ぐのか ー米雑誌とフリージャーナリストの対決 : 小林恭子の英国メディア・ウオッチ




「無料で書くなんてとんでもない!」



ことの経緯はこんな感じ。詳しくはぜひ記事をご覧下さい。

米国のフリーランス・ジャーナリストが、老舗月刊誌「アトランティック」から、別サイトに掲載された自分の記事の要約を持ちかけられたが、原稿料が無料と聞いて憤慨し、仕事を引き受けなかった。

25年間もジャーナリストとして働いてきた自分の原稿が無料で使われることを不服に思い、自分のブログで、「アトランティック」の担当者とのやり取りを公開した。

これをきっかけに、「不服に思うのも当然だ」、「無料掲載を要求したアトランティックの言い分はおかしい」、「いや、一理ある」など、米英でミニ論争が発生している。


この手の話はかなり多くて、ぼくも「原稿料払えないんですけど、書いてくれますか?」みたいな依頼をたまに頂きます。

この種の依頼への対応はなかなか難しいのですが、ぼくは基本的にすべて快諾するようにしています……といいたいのですが、キャパシティの問題でお断りすることも多いです。もっとぼくに生産力があれば、無料でもなんでも書かせていただくんですが、今は自分のブログで手一杯な状況ですのでどうにもなかなか。




これからのライターはフリーミアムモデル



音楽市場がそうなったように、これからはライターは単に文章でマネタイズするのではなく、その周辺に発生するコミュニティで課金するのが、スタンダードになっていくでしょう。いわゆるフリーミアムですね。

具体的にいえば講演、勉強会、有料コミュニティ、ファングッズ(書籍など)の販売などが、ライターの主な収益源になっていきます。それらで課金するためには、オンラインの世界ではテキストは無料で開放し、できるだけ広くばらまくことが鍵です。

ぼくが無料でもいいので、自分のコンテンツを公開していきたいのは、そんな狙いがあります。短期的に見れば損失でも、長い目で見ればそのマーケティングコストはプラスのリターンで返ってくるはずです。




非対称な贈りものは、強烈な反対給付義務を生み出す



ぼくが無料でも書きたいと思う理由はもうひとつありまして、それは「非対称な贈りもの」をたくさんの人にばらまきたいと考えているからです。

たとえばみなさんがこれからメディアを立ち上げます。コンテンツがないので、ブロガーの力を借りようと考えます。でも、予算はありません。そこで、失うものはないですし、ダメもとでイケダハヤトに「ブログメディアの立ち上げをやるんですが、無償でコンテンツ提供してくれませんか?」とお願いすることにしました。

常識的に考えたら、こうしたオファーは断られてしかるべきです。常識の目で見れば、イケダハヤトが得るものはほとんどないからです。

が、もしここでイケダハヤトが「喜んで!一緒にぜひ手伝わせてください!」とコミットしてくれるとしたら、みなさんは「うお!マジで協力してくれるのか!」と驚き、歓喜することにあるでしょう。




みなさんは「得をした」気分になると思いますが、そう思っていただいた時点で、ぼくも「得をした」ことになります。みなさんはぼくに対して、いわゆる反対給付義務(reciprocity)を負うことになるからです。

難しいことばですが、要するに「恩義」ですね。ぼくが不釣り合いなオファーを受けることで、みなさんは「得をした」と感じると同時に、ぼくに対して「いつかお返しをしないと」という義務感を抱くことになります。ぼくの貢献度が大きければ大きいほど、その想いは強くなっていきます。




いずれみなさんは、ぼくに恩返しをするようになります。それは、本を買ってくれるということかもしれませんし、ツイッターで宣伝してくれるということかもしれません。将来的に仕事をくれる、というリターンもありえるでしょう。こうした反対給付が積み重ねることで、ぼくは生きながらえることができるようになります。

ぼくは非対称な贈りものをすることによって、みなさんに「恩義」を感じさせ、結果的に自分の利益を得ようと考えている、ということです。

恩を与えるというのは、最強のコミュニケーションです。相手を束縛し、コントロールするもっとも簡単な方法です。恩義というものは精神的な負債とすらいえるでしょう。




と、偉そうに語っていますが、ぼくは残念ながらキャパシティに余裕がないので、「書く」という形での他者貢献はほとんどできていません。NPO支援やOB訪問の受け入れには取り組めているのですが、文章の執筆はやっぱり負担が大きいんですよね…これは完全にぼくの問題です。もっと余力を付けて、気軽に「無料でも寄稿しますよ〜」と言えるようになればいいのですが。





★この記事を読んだ人にはこんな本がおすすめ

関連本として紹介したいのは「評価と贈与の経済学」。新刊ですがKindleで500円とかなりお安くなっております。内田樹・岡田斗司夫という知の巨人(岡田さんは妖怪?)が語る、これからの経済、交換、贈与のあり方。未来をのぞき込める一冊です。