仕事が遅い人っていますよね。メール返信遅いぼくが言うのもなんですが、あれ、大部分は「人を信頼していないから」、仕事が遅くなるんだと思うんです。




「不信」が説明を必要にする



行政機関なんかと仕事をすると顕著ですが「自分が何者であり、何をしようとしているか」だったり「このプロジェクトで何をしたか」を説明させられることが、頻繁に求められたりします。詳細な「見積書」だったり、毎月の「作業報告書」だったり。

行政機関だから仕方ないというのは無論あるのですが、その膨大な報告や説明が求められる原因は、ぼくらが抱いている行政機関への「不信」にあるということを、理解しておくべきでしょう。

彼らは常に市民の監視の目に晒されます。ひとたび不手際があれば、市民は全力で「税金を何だと思ってる!」と叩きのめします。そうしたリスクを回避するために、行政機関はパートナー企業に対して「説明」を課すようになります。




行政がぼくらを信頼していないのではなく、ぼくらが行政機関を信頼していないから、行政は説明を求めざるを得ないという構造です。

これは言い方を変えれば、「お役所仕事」はぼくらの不信が作り出しているということです。時間ばっかり掛かって何も進まない「お役所仕事」をなくしたいのなら、まずはぼくらが彼らを信頼することからはじめないといけません。




こうした不信の構造は、行政との仕事にかぎらず、ビジネスシーンでも広く見られるものです。

「下請け」を信用していない発注者は下請けに常に疑念を投げかけつづけるでしょうし、部下を信頼しない上司は、部下に事細かな説明を求めることでしょう。

そうして仕事の中に「説明」という作業が生じ、時間が食いつぶされていくことになります。上司なり発注者は、「なんて仕事ができないんだ!」と一人怒り狂う訳ですね。




信頼していればコミュニケーションコストは下がる



ぼくは小さなチームでしか仕事をしないので、こうした説明責任からは逃れることができています。

ほとんどの場合、相手はぼくを信頼してくれていますし、ぼくも相手を信頼しているので、「疑惑を解消するための説明」は求められません。まぁ、あきらかな説明不足で反省することも多いのですが…。

相互の信頼関係が形成されていれば、コミュニケーションコストは最小まで下げられます。下げすぎないようにするコントロールは案外難しいのですが、それでもムダな説明に終始するより、断然仕事は速く、なにより快適になります。




講演の依頼なんかで一番気持ちいいのは「イケダさんに内容はお任せします!とりあえずこの時間に来て1時間ほどお話してください。では当日よろしくお願いします」みたいな「お任せ」系の依頼です。

逆にめんどくさいのは、たかだか一時間の講演で、目次案を先方に提出して叩いてもらい、訂正し、対面の打ち合わせを1回、そして当日も事前打ち合わせ…みたいな案件です。流石に最近はそういう仕事は受けないようにしていますが…。




「ほっといてくれる」「任せてくれる」というのは、仕事における最良のコミュニケーションです。その逆、「逐一説明を求める」「信頼しない」というのは、最悪なコミュニケーションです。

仕事の質とスピードを高めたいのなら、まずは信頼関係にもとづいた、「低コミュニケーションコスト」の環境に身を置くべきだと、ぼくは考えます。

これはかなりフリーランス的な発想かもしれません。ぼくらは時給で働いているので、ムダな時間はすなわち悪です。とはいえ、サラリーマンにも十分通じる話だとも思うので、こんな記事をしたためさせていただきました。




もう少しいえば、ぼくが大きな組織を嫌うのは、こういう説明責任が至るところに求められてしまうからです。冗談ではなく、仕事の大半は「説明」だったりしますよね。

無論、その先にはそれなりに大きな果実があるのでしょうけれど、ぼくは不信に嫌気が差したので、そういった組織から離れることにしてしまいました。




関連本。このテーマは「オープンリーダーシップ」にも通じます。ざっくりいえば、リーダーは不信にもとづく命令者ではなく、権限委譲にもとづくオープンな人格者にならないといけない、という主張です。ソーシャルメディアを活用する際には特に求められる視点ですね。