今年は多分500冊くらい本を読みました。書籍執筆もあったのでペース鈍りましたが、来年は700〜1,000冊くらいは読みたいところ。1,000冊というとすごい数字ですが、一日3冊でそんなもんですからね。Kindle中心でポチポチ買っていこうと思います。

というわけで、2012年の総括として面白かった書籍をまとめてみました。



困ってるひと





お見舞いに来てくれる友人たちの表情が、暗く切ないものに変化していった。なんとなく、わたしと話していると、相手も辛そうだった。わたしは、周囲のひとの心が次第にわたしから遠ざかっていくのを、感じた。

(本)大野更紗「困ってるひと」—生きる元気をもらえる難病闘病記


今更ながら読んだのですが、これは非常に痺れますね…。「難病」を患う女性のユーモアに富んだ手記。人生観がズガンと変えられてしまう一冊です。ツイッターもやられているので購読おすすめです。ビッグイシュー・オンラインにインタビューが上がっているのでこちらもぜひ。

作家・大野更紗さん「人間は生まれてから死ぬまで、ずっと強者、あるいはずっと弱者ではない」 [被災地から] | BIG ISSUE ONLINE




人生仮免中。






134407587312713109130 img12


夫の借金と自殺、自身の病気と自殺未遂、AV女優、統合失調症、歩道橋からの自殺未遂などなど、強烈すぎる経験を経た作家、卯月妙子さんの自伝マンガ。内容は賛否ありそうですが、ものすごいインパクトであることは間違いありません。僕はいい知れぬ感動を覚えました。




風になる 自閉症の僕が生きていく風景



写真 1

僕は、会話ができないだけではなく、声のコントロールもできません。口を閉じて静かにすることさえ難しいのです。やりたくないとか、我慢できないとかいうものではなく、どうすれば声を出さずにいられるのか、その方法がわからないからです。僕が、好きで奇声を出していると思っている人もいます。けれども、それは違います。奇声をあげている時の心の中は、恥ずかしくて、情けなくて、悲しい気持ちでいっぱいなのです。人から冷たい視線を浴びるたび、この世から消えてしまいたくなるくらいです。

書籍「風になる 自閉症の僕が生きていく風景」が素晴らしい


重度自閉症の当事者である東田さんの手記。ビッグイシュー本誌の連載をまとめたものです。まっすぐで純朴な言葉が、透明なナイフのように胸にサクサクと刺さってきます。

こちらはAmazonでも書店でも買えない本となっています。ビッグイシュー販売者の方から直接ご購入いただくかたちとなります。また、現在ビッグイシューオンラインの方でアンケートも実施中で、こちらの賞品にもなってたりするので読みたい方はぜひ。






MAKERS―21世紀の産業革命が始まる





いま僕らが目にしているのは、新しい時代の家内工業への回帰だ。新たなテクノロジーは、人々にふたたび生産手段という力を与え、草の根からの企業と分散されたイノベーションを可能にした。

(必読本)クリス・アンダーソン「MAKERS [メイカーズ] 21世紀の産業革命が始まる」


まずはこの一冊でしょう。来年あたりからは日本でもちらほら見かけるようになるだろう、「3Dプリンタ(デジタルファブリケーション)」について書かれた一冊。著者はあの「フリー」のクリス・アンダーソンです。デジタルファブリケーションという言葉をまだ理解していない方は、悪いこと言わないから読んでおいた方がいいです。





FabLife ―デジタルファブリケーションから生まれる「つくりかたの未来」





過去数世紀に渡って進行してきた職業の専門分化は社会を効率的にしたが、「個々人の持っている総合性」を抑制することにもなった。パーソナル・ファブリケーションやインターネットは、個人に創造性を取り戻し、「ものづくりの総合性や多義性」を回復させる。

(本)田中浩也「FabLife デジタルファブリケーションから生まれる”つくりかたの未来”」

同じくデジタルファブリケーション関連の書籍。慶応SFCの田中先生が書かれた一冊です。MAKERSでは述べられていない論点も含まれており、3Dプリンタに関心があるならこちらも必読です。




ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉






仕事に関する古い約束事の核をなすのは「お金を稼ぐために働く」という考え方だ。しかし未来に向けて、この前提を問い直す必要がある。本当に、仕事の目的は、お金を稼ぐことだけなのか。

(本)リンダ・グラットン「ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図」


働き方系の本は毎年たくさん出ていますが、2012年はこれがベスト。かなり読み応えのある一冊ですが、平易で納得感の高い内容となっています。読んでおきましょう。




リーン・スタートアップ ―ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす





全ての努力が価値を生み出しているわけではない。我々の努力のうち、価値を生み出しているのはどの部分で、無駄なのはどの部分なのか。リーン・スタートアップにおいて「価値」とは、顧客にとってのメリットを提供するものを指し、それ以外はすべて無駄だと考える。

MVP、革新会計、成長エンジン…書籍「リーン・スタートアップ」で紹介されている重要コンセプト


ウェブサービスで起業を考えている方はぜっっったいに読んでおいた方がいい本です。これを読んでおけば無駄な失敗はだいぶ避けられるはずです。本書が日本経済に与えた影響はかなり大きいのではないでしょうか。





勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの仕事術





これまでの経験から言えるのは、自分を痛めつけることと努力することは全然違う、ということだ。間違った努力は「こんなに頑張っているんだから結果が出るはずだ。これだけやって結果がでないのは世の中がおかしいからだ」という歪んだ思考にもつながる。

(本)梅原大吾「勝ち続ける意思力 世界一プロ・ゲーマーの仕事術」


日本が誇るプロゲーマー「ウメハラ」氏の著書。一流になるとはどういうことかを、ピリピリするストーリーから学び取ることができます。「一流」を目指している方はぜひ。




私の嫌いな10の言葉





「おれもほんとうはこんなこと言いたくないんだ。おれも辛いんだ。だがな、おまえから憎まれてもおまえのためを思って、これだけは言っておきたいんだ」とじゅんじゅんと教え諭す。こうして、あとから私や第三者から非難されたら、自分はすべて善意からしたのだという巧妙な逃げ道を作っておく。その自己防衛の巧みさ、つまりその根性の薄汚さが厭なのです。

(本)中島義道「私の嫌いな10の言葉」


中島義道氏の本はものっすごい好き嫌いが分かれる感じですが、僕はものっすごい好きです。この本で救われる人は多いはず。僕の創作スタイルまで変えてくれた一冊です。






自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか






ぼくはいつでも、あれかこれかという場合、これは自分にとってマイナスだな、危険だなと思う方を選ぶことにしている。

(本の紹介)岡本太郎「自分の中に毒を持て」—芸術は爆発だ!の本当の意味を知る一冊


希代の芸術家・岡本太郎の自著。ヤバいです、痺れまくります。自分がいかに小さい人間であるかを痛感させられる一冊ですね。




セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱





性=セックスは、食事や排泄、睡眠と並び、人が生きていくための、そして、次世代に命をつないでいくための最も基本的な欲求。

しかし、今の介護・福祉制度下では、性は、完全に「ケアの対象外」とみなされている。「障害者に性欲があるはずがない」「障害者が、妊娠・出産するはずがない」などの偏見や無知が前提になっている。

(本)坂爪真吾「セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱」


「障害者の性」をサポートする事業を展開する「ホワイトハンズ」代表の坂爪さんの著書。タブーに切り込む「尋常ならざる情熱」にしびれます。社会問題を知るための一冊としてもおすすめ。




地域社会圏主義






「住みかであるコミュニティの貢献することによって、交換が成り立つようなシステムをつくるべきです」

(本の紹介)「地域社会圏主義」—これからの「住まい」を描き出した一冊


「シェアタウン」構想ともいえる、未来的な住宅コンセプトが紹介されている一冊。30年後の住宅はこのようなものになるのかもしれません。こういう物件に早く住んでみたい…。





弱者の居場所がない社会――貧困・格差と社会的包摂






元大工のあるホームレスの男性は、確かに社会が求める「理想の労働者」にはなれない人間だったが、彼の価値をそのような物差しだけで測ることはできない。
なぜ、彼は彼のままで社会に貢献することができないのであろう。「労働者」として何の価値もなかったとしても、なぜ、彼は彼のままであってはいけないのだろう。なぜ、職業訓練をして、お行儀のよい社会人にならなくてはならないのだろう。

(本の紹介)「弱者の居場所がない社会」—「社会的包摂」というキーワードを理解するための一冊


日本社会の問題について切実に問いかける素晴らしい一冊。これはひとりでも多くの人に読んでもらいたいです。




採用基準





ここで理解すべきは、問題を解決するために必要なものが問題解決スキルというよりは、リーダーシップだということです。子どもが算数の問題を解く時のように、問題を見ながら答えをノートに書いていくのであれば、必要とされるのは問題解決スキルでしょう。しかし大人が直面する問題は、”教科書の問い”ではありません。

(本)伊賀泰代「採用基準 地頭より論理思考力より大切なもの」


リーダーシップについて説いた本は数あれど、これは抜群におすすめできる一冊です。ちなみに著者の伊賀泰代さんはちきりんの正体らしいです。書中にはちきりんブログで見かけた主張もちらほら…。




ネットと愛国 在特会の闇を追いかけて








取材を進めていくなかでさらに確信を深めたことだが、在特会の会員は、どれだけ薄汚い罵りの言葉を口にしても、加害者としての意識など微塵も感じていない。うしろめたさもない。むしろ彼らは自らが「被害者」であることを強調する。


今年はノンフィクションも色々読んだのですが、同時代に生きる著者の作品としてはこちらがベスト。正義を振りかざす弱者たちがネットを拠り所にしている姿が、見事に浮き彫りにされています。骨太ですがこのブログを読んでいる方にはとてもおすすめできる一冊です。





以上!2012年版でございます。まだまだ面白い本は世の中にあるので、引き続き読み漁っていきたいと思います。ライトなビジネス書が中心だったので、来年は古典や小説にも挑戦したいところ。