要するに…
・「子どもは泣くもの」だが「我慢できない大人」がいるのも避けがたい事実
・モラルを説いているだけでは問題は解決しない
・コントロール不可能な前提を考慮し、デザインの観点から問題を解決しよう





子どもができたということもあり、さかもとさん関連の話題は気になっています。
「子供は泣くさ」 物議醸した“搭乗マナー”問題、つんくや乙武さんの発言に共感の声多数 (RBB TODAY) - Yahoo!ニュース




「我慢できないオトナ」がいるのも、コントロール不可能な前提



個人的に面白いなぁと思ったのは、乙武さんの「結局、大人が我慢するか、子どもに我慢させるのか、という話だと思うんです」「これからは、我慢、我慢。我慢というか、その光景をほほえましいと思える大人になりたいな」という言葉。

結局「泣きわめくコドモ」を許せないのは、「我慢できないオトナ」なわけです。多くの方が発言している通り、幼児が泣くことはそもそもコントロール不可能なので、これはどうやっても「我慢できないオトナ」が何らかの対応を行うべきでしょう。「コドモは泣くもの」というのは、前提として考えないといけません。




…とはいえこれは理想論で、我慢できないオトナがいることも、また一つの前提だと思います。いくらモラルを説いても、実際国民のすべてが寛容になるかというと、それはありえないでしょう。




モラルの限界



僕は「コドモは泣くもの」「我慢できないオトナがいること」という二つの事実を、前提として捉えないといけないと考えます。乙武さんに反論するわけではありませんが、「結局、大人も我慢できない、子どもも我慢できない」のが現実でしょう。モラルには限界があります。

その意味で、「泣かせるな!」と無茶な要望を出したり、「オトナなんだから我慢しろ!」と美徳を語るのは、実行力を持たない提言に過ぎません。これで世の中変わったら苦労しませんし、もしこれが機能するなら、今頃日本から犯罪はなくなっているでしょう。




どんな解決策がありえるか?「ソーシャルデザイン」思考を持とう



では、「コドモは泣くもの」「我慢できないオトナがいること」という二つの前提を鑑みて、「搭乗マナー問題」はどのような解決策が考えられるのでしょうか。




以前、航空会社を立ち上げようと企画している人に出会ったのですが、彼は「ファミリーゾーン」を座席の後方に設けたい、というお話をしていました。前方は静かな環境を好むビジネスパーソン向けの席に、後方はファミリー向けの席にする、というわけです。

完全に音をシャットアウトできるわけではありませんが、「仕事をしたいのに真後ろの席で赤ちゃんが泣き叫んでいる」という状況は幾分防ぐことができるでしょう。

子どもがいる人間としては、多少の付加料金を支払ってでも、気兼ねなく過ごせる「ファミリーゾーン」に座りたいと感じます。




または「女性専用車両」ではありませんが、一日に数便(ないし数日に一便)「ファミリージェット」のような、子ども連れだけを対象にした飛行機を飛ばしてもいいのかもしれません。

採算が取れるかを考えないといけないわけですが、少なくとも「コドモは泣くもの」「我慢できないオトナがいること」という二つの前提はこれでクリアできます。




その他、様々なアイデアが考えられると思います。

パッと思い付くところでは、「ファミリー席の近くに座り、子どもが泣き叫んで迷惑な思いをしたら、補償金が支払われる(補償金を受け取らない場合は、子育て支援活動に全額寄付される)」とか。金額次第ですが、補償金が貰えるなら「我慢できないオトナ」もきっと黙ってくれるでしょう。これも二つの前提をクリアできます。

この他、ワークショップなどをすればまだまだアイデアは出てくると思います。ぜひ皆さんも仕組みレベルの解決策を考えてみてください。





もちろんモラルを説くことも重要ですが、個人的にはこういう「仕組み」を考えるほうが楽しいですし、実際に問題を解決する力も高いと思います。

少し言い換えれば、何かの問題が起きたとき、それは「人」ではなく「デザイン」の問題だと考えよう、ということです。greenzが「ソーシャルデザイン」という本を出していますが、まさにここで語られているような話です。



人の意識が悪いというよりは、仕組みやデザインが悪いから、問題が噴出するのです。そう考えれば不毛で他罰的な人格否定もなくなりますし、実際に問題は解決に近づいていきます。これからの時代は、そんな「ソーシャルデザイン思考」が求められるのではないでしょうか。