年金問題の入門書を購入。読書メモをご共有です。





年金の現実と問題点



・現在の少子高齢化が急速に進んでいる状況では、賦課方式の年金は百害あって一利なしと言えます。

・あまり知られていませんが、実は、厚生年金にせよ、国民年金にせよ、設立当初は積み立て方式で運営されていました。今でも、厚生年金で130兆円、国民年金で8兆円ほどの積立金があるのは、かつて積み立て方式で運営されていたことの名残なのです。

・スウェーデンのように、年金改革を行う中で障害年金や遺族年金を既存の年金制度から切り離した国もあります。よく考えれば、障害者の中には、保険を掛けようがない、生まれながらの障害者も多くいるわけですから、「傷害保険」として対応するよりも、福祉制度で対応するほうが本来は筋と言えるでしょう。

・2023年には、既に高齢者/現役比率は50.2%と、2人の現役で1人の高齢者をさせる時代に突入しています。(中略)2072年には同比率は85.7%まで達することになります。

・「100年安心プラン」自体は、もはや完全に崩壊しているといってよいでしょう。(中略)その後の経済・社会情勢は、100年安心プランの前提となった甘い政府見通しを裏切る状況が続いています。

・部分的なパートタイム労働者の加入拡大は、かえって厚生年金の財政状況を悪化することが知られています。すなわち、はじめこそ保険料収入増で年金財政を好転させるものの、最終的にはむしろ財政状況を悪化させ、積立金をより少なくすることになるのです。

Q.「厚生労働省は『将来世代でも年金は2.3倍の得』といっていますが、本当ですか?」 A.「うそです」(中略)第一の「間違い」は、本書の資産では、厚生年金の保険料をそのまま労働者の負担としているのに対して、厚生労働省資産ではその半分しか負担として算入していないことです。(中略)驚くべきことに、厚生労働省試算では、運用利回りとしてこの利子率の代わりに「賃金上昇率」を使っています。これはまったく意味不明です。(中略)都合が悪い者は見せないという厚生労働省の官僚体質がここからもよく分かります。

・受給資格期間短縮化は、未納・未加入者の拡大を促し、おそらくは将来的に、定年金者を今よりも増やす可能性が高いと言えます。(中略)つまり、「25年間保険料を納めなければ努力が無になるぞ」と人々に警告を発して、老後に最低限度の生活ができる程度の貯蓄を蓄えさせようと促しているのです。このように、人々が努力せざるを得ないようにする制度的仕組みを、経済学ではコミットメント・デバイス(約束を守らせるための装置)と呼びますが、25年の受給資格期間はまさにこのコミットメント・デバイスであると解釈できます。(中略)25年を10年程度に緩和すれば、結果はどうなるでしょうか。将来を考えない一部の人々の行動を助長して、未納・未加入者が増加することが容易に創造できます。つまり、最終的に保険料を10年分しか支払わない人々が増加しますが、この人たちの国民年金受給額はなんと月が鵜1万6500円にしかなりません。まさに、低年金者の増加です。

・「マクロ経済スライド」の場合は、要するに年金の給付カットのことです。やはり、給付カットというと、国民が猛反対するので難しい名前にしているだけのことで、難しく聞こえれば「じゅげむじゅげむ」でも「アブラカタブラ」でも何でもよいのです。

・年金制度を積立方式へ移行することこそが、急速に進む日本の人口減少、少子高齢化と言う荒波を乗り切る唯一の方法だと、私は考えています。

・「積立方式移行は現実的ではない」という主張は完全に間違っています。

・こうした時代、国民自身が年金制度、年金問題の正しい知識を身につけ、官僚や政治家が行う年金政策を不断にチェックし、モノをいい続けることこそが、国民に取っての唯一の生活防衛方法です。いくら政権交代を起こしたといっても、所詮、国民は投票にいっただけのことですから、ほとんどコストを支払っていません。投票に行くぐらいのことで、無料で、安心の年金制度が手に入ると考えるのは、無私がよすぎる話であり、国民の側も努力をし続けなければなりません。





難解な問題にも関わらず、非常にクリアに問題点を指摘し、さらにはその解決策(積立方式への移行)まで描き出している素晴らしい一冊です。Q&A形式で話の流れも作られており、入門書としては最適といえるでしょう。

これを入門に、さらに理解を深めていきたいと思います。まさに本書でも書かれていますが、国民もちゃんと学ばないとダメですね。



次はこちらを読みます。評価の高い一冊です。