雇用問題に関心があったので手に取った本。気になったセンテンスをメモしておきます。




日本型雇用システムの本質



・日本型雇用システムの特徴として通常挙げられるのは、長期雇用制度、年功賃金制度、企業別組合の3つ。三種の神器とも呼ばれる。雇用管理、報酬管理、労使関係という労務管理の三大分野における日本の特徴を示す。

・しかし、その本質はむしろその前提となる雇用契約の性質にある。日本の雇用契約は職務という概念が希薄。日本では企業の中の労働を職務ごとに切り出さずに、一括して雇用契約の目的にする。日本型雇用システムにおける雇用とは、職務ではなくメンバーシップ。

・日本以外の社会では、企業が労働者を必要としなくなれば解雇するのが原則。定年制は労働者を一律に企業から排除する仕組み。年功賃金制度によって高くなった労働コストを、どこかで一律に排除しなくてはならない。





命と健康を守る労働時間規制へ



もともと労働時間の規制は「健康」を守るための安全衛生規制だった。しかし終戦直後、労働基準法が制定されるとき、一日八時間という規則は「余暇を確保し、その文化生活を保障するため」のものになった。


・EUの労働時間規制は労働者の健康と安全の反故が目的。週労働時間の上限は、時間外労働含めて48時間(イギリスのみは、本人の同意があれば除外できる「オプトアウト」を導入。ただし批判は多い)。

・EUでは一日につき最低連続11時間の休息期間も定めている。これと一週ごとに最低24時間の絶対休日を合わせると、週の労働時間はどんなに頑張っても78時間を超えることはできない。

・日本では時間外含めて48時間という規制は難しいが、11時間の連続休息くらいは、健康確保のための導入を検討してもよいのではないか。


ワークライフバランスについて



・正社員のワークライフバランスの回復と、非正規労働者の低い賃金・労働条件の改善には、とりわけ男性正社員に課されている過重な拘束をいかに見直していくか、という問題を考えなくてはならない。

・日本では、残業・休日労働が恒常的に行われることで、雇用維持の機能が果たされている。需要の低下が起きた場合は、恒常的時間外労働というバッファを削減することで、労働者を減らすことなく、労働時間を削減できる。

・ワークライフバランスに配慮しすぎることは、解雇回避に努力しないことになる、というパラドックスがある。

・日本の解雇規制の奇妙な点は、企業が経営不振に陥ってやむを得ずに行う整理解雇に付いては正社員に限ってかなり厳格であるわりに、特段経営上解雇の必要性があるとは思われないような、労働者個人の行為言動に対する個別解雇に付いては、規制が緩やかであること。





ちょっと文章が硬めで読みにくいところもありますが、日本の労働の要点がまとまっている一冊です。一回じゃ咀嚼しきれなかったので再読予定です。

Amazonのレビューもかなり評価が高く、詳細なコメントが掲載されています。こちらもぜひ。