社会起業家系の本を読みあさっている日々です。若者の支援を行う「育て上げネット」の工藤さんの本を読んだので読書メモをご共有。




NPOで働く



・NPOは未だに一般的な「働く」選択肢になっていない。NPO=ボランティアという認識も根強い。

・育て上げネットは「無業の若者への支援サービスを通して社会投資を行い、若者の持続的な社会参加と経済的自立の成果をもって社会リターンを実現する」ことを目的とするNPO。

内閣府は「ひきこもり」が70万人、「ニート」が84万人いると推計している。どちらも社会的には「無業」と分類される。

・若者を支援していると「自分は税金を払っているのに、なぜあいつらに税金を使って支援するんだ」「働かざるもの食うべからず」「甘えだ」という批判が未だにある。

・その批判に対しては「若者を放置すればタックスイーター。支援すればタックスペイヤー。だから私たちは社会全体で若者を支援していく」という答えを持っている。支援しなければ、将来のツケは大きくなる。

・2009年度の売上高は2億3276万円。利益率は5.26%。ざっくり、本来事業での売上が40%で、行政からの受託事業が60%。

・本来事業では、①若者の経済的自立を支援する事業 ②親向けのサービス ③高校生を対象にした教育支援事業を実施。

・受託事業は甘くない。立て替えが必要なので、銀行から資金を借りることも(利息は自腹)。一部の例外を除き、利益も予算計上できない。トータルでは赤字になるリスクが高い。官民共同でやることで、「困難を抱える無業の中ものに無料で支援サービスを提供sる」ことができる。これが受託事業を行う理由。

・育て上げネットの給与は、平均年収ベースで300〜350万円。

NPOと株式会社の違いは、NPOは利益を株主に分配するのではなく、課題解決のための事業拡大や新規事業への投資に使う点にあると考える。



「NPOがどんな仕事を行っているか」は、NPOの中間支援を行っている僕も含めて、意外と知らなかったりします。本書ではそうしたシンプルな疑問に答えを提示してくれています。受託事業のあたりはかなり生々しくて参考になります。





育て上げネットを立ち上げた経緯




・大学在学中はアルバイトにひたすら明け暮れており、キャンパンライフの記憶はあまりない。

・夏休みにアメリカ旅行に行き、台湾人留学生のグループと時間を過ごしたとき、転機が訪れた。

・彼らは海外留学の理由を「外交問題(台湾が万が一中国に支配された場合、勉強して、給与の高い会社で働き、税金を納めればアメリカにも移住できる)」を挙げた。アルバイト三昧だった自分はハンマーで頭を殴られたような衝撃を受けた。

・それをきっかけにアメリカへ留学。日本では金融ビッグバンが起こり、大量の中高生が失業者となると予想されていた。その話を聞いた友人が「このままだと若い世代の雇用問題が表面化する。そこには「無業の若者へのサポート」というマーケットができるぞ」と興奮気味に語った。

・もともと両親は学習塾を運営しており、その関係で、自宅には社会的な行き場のない人を住まわせていた。クラスメートに話したところ「早く日本に帰って起業すべきだ」と言われ、ワシントン大学への進学を中止し、起業することにした

・日本の若者に関する政策立案について調べたところ、当事者である「若者」のメンバーはいなかった。当事者として政策立案に関われるようになりたいと考えた。

大学も卒業していない、研究者でもない自分が、政策立案に関わる方法は「NPO法人の理事長」となること。2001年に活動を始め、2004年にNPO法人を設立。



本書ではかなりさらっと書かれていますが、すごい決断・選択。NPOというヴィークルを選んだ理由も実際的で良いですね。なるほど。

余談ですが、留学が人生の転機になった、という経営者は他にも多いです。うちも子どもができたら留学させてあげたいなぁ、と思いました。




本書の中には「NPOで働く」というテーマのもと、かなり具体的なエピソードがたくさん紹介されています。

NPOへの就職/起業を考えている方はもちろんのこと、現代社会を生きる上でも普通に知っておきたい内容だと思います。読みやすい文体・内容なので幅広くおすすめできる良著です。