ブランドコンテンツ「イケハヤが訊く!」の企画として「アオイゼミ」を展開する株式会社葵にお邪魔しました。本気で日本の教育を変えようとする熱き魂に触れることができる記事となっています。ぜひご一読あれ。


スマホを使って無料で塾の講義に参加できる

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イケダ:本日はお時間いただきありがとうございます。アオイゼミさんって、あんまりメディアにカバーされていない印象があるので、これは貴重な機会になりそうです。

石井:いやー、スタートアップ界隈でまったく知名度ないんですよね。うちは会社名も漢字じゃないですか。『元々学習塾をやっている会社がオンライン配信を始めた』っていう印象を与えてしまってるのかな、というのもありますね。

イケダ:「アオイゼミ」は完全にオンライン専業の塾ということですよね。

石井:えぇ。ライブ配信のインタラクティブな授業を、中学生向けに展開しています。月から金で授業をリアルタイムに配信していて、アプリで視聴・参加できる仕組みになっています。閲覧は無料です。すでに2,000本以上の動画コンテンツがあるので、その点も強みですね。

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(アオイゼミのライブ配信画面)

イケダ:おぉ、これって無料で見れてしまうんですか。

石井:リアルタイムの授業は無料で、録画コンテンツやテキストの利用、学習履歴などの機能を利用する場合は課金プランを用意しています。

イケダ:リアルは無料で録画は有料というのは、「スクー(schoo)」と似ていますね。

石井:そうですね。やはりライブというのは強みがあって、受講生はニコ生のようにリアルタイムでコメントを送ることができます。授業を視聴している生徒から「先生、そこわからない」なんてメッセージが来ると、授業を行っている講師や他のスタッフがそのコメントに対し解説をします。生徒たちの反応がすぐに解るので、解らないという声をすぐに解決できます。あとは、こちらからたまに生徒を指名して問題を解かせたりもします。

イケダ:すごい、スマホ越しですがかなりインタラクティブなんですね。

石井:リアルな学習塾よりも、生徒たちの本音が聞けるので、そういった意味でもインタラクティブです。

あと見えてきて面白いのは、中3の生徒が中1、中2の授業を見ていたりすることもあります。復習をしているんでしょうね。既存の学習塾ってそういうニーズは汲み取れてないですね。集団授業になると、どうしても「中2は中2の授業」となってしまいます。ここもオンライン授業の強みでしょう。

少数ですが、在日外国人の方なんかも利用していますね。たとえば朝鮮学校、中華学校、インターナショナルスクールなどは、文科省のカリキュラムを学ぶわけじゃないので、必要に応じて「アオイゼミ」を使って勉強していたり。

イケダ:オンライン学習によって見えなかったニーズが見えてきた、というのは非常に面白い話です。成績への影響も見えてきているんですよね。

石井:2012年度は第一志望の合格率が83.6%となっています。余談ですが、一般的にはこの「合格率」って「第一志望と第二志望の合格率」なんですよ。うちがそれやると100%になってしまい逆に怪しいので、「第一志望」に限定した数字にしています(笑)

UIにもこだわっていて、中学生ってある意味で、究極の「情弱」なんです。インターネットへのリテラシーも低いですから、とにかく彼ら目線でUIを設計しなければなりません。何かあったらアプリのレビューでも「使い方がわかりません、星一つ!」みたいになるので、かなり気をつけてますね。セキュリティ面でも同様で、投稿内容は随時チェックしています。中学生が安心・安全に使えるようなサービスじゃないといけませんね。

(イケダ後日談:App Storeのレビューもかなりいいですね。以下、レビューのコメントより)

塾も家庭教師もなかなかしっくりこない(合わない)娘にはアオイゼミがあっていたようです。

分からなかったところを見直して現時点の内容に戻ってくると分かるみたい。学校の授業の様にノート取りながらやってます。完璧に出来てるお子様なら塾は先に進むし良いと思いますが、出遅れたり分からなくてついていけなくなったお子様ならこれはとてもいいツールだと思います。

スマホ見放題でも900円で塾や家庭教師よりはるかに安いです。今1年生ですが、塾や家庭教師は3年くらいからでいいかなと思ってしまいました。コストもだいぶ助かっています。


ベンチャーキャピタルって何?という段階からの起業

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イケダ:石井さんは塾講師の経験があったわけではない、と伺っています。そもそもなぜ、アオイゼミをつくったのでしょうか。

石井:キャリア的にいうと、新卒でリクルートに入って、そのあとソニー生命で営業をしていました。ソニー生命は良い会社でして、単純に生命保険を販売しているだけではなく、その人の生活ベースで保証を残さないといけない、という話をしっかりしていました。お客様のためにある種の家計コンサルティングを行っていたわけです。

仕事のなかで色々な方の家計を見ていると、やはり教育費が高いんですよね。ぼくは北海道に配属されて、そこで営業していたんですけど、地方の家計においては学習塾の負担がめちゃくちゃ高いんです。

ほかのものは効率化されて値段が下がっているのに、学習塾はそうじゃない。でも今なら動画とかもあるし、ライブストリーミングで授業やれば安くできるんじゃないか、と思い立って上京し、起業しました。

…ただ、起業を思い立ったはいいけれど、プログラミングもわからないし、ベンチャーキャピタルってそもそも何だろう、という状況でした。

イケダ:それはすごい!

石井:東京に来るのも初めてで、アオイゼミが中野に拠点を構えているのも、大学の友達が新中野に引っ越したというので、とりあえず近くに住んでみることにしたんです(笑)。で、東京に来て色々と話を聞くと、スタートアップ?というのは渋谷がやっぱり中心らしいぞ、と気付きました(笑)。

イケダ:向こう見ずですねぇ(笑) すばらしい!

石井:ほんと、何も知らなかったんですよ。システムも最初は外注だったんですが、やっぱりそれじゃいまいちうまく行かず、周りの人に「プログラミングできる人いない?」と声をかけて人づてでエンジニアを集めて…2012年3月に会社を創って、同年6月になんとかサービスをリリースしました。スマホアプリのリリースが2013年の8月ですね。

(イケダ後日談:紹介し忘れていましたが「アオイゼミ」はKDDIのインキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo」にも採択されています。ベンチャーキャピタルが何かわからなかったけれど、昨年末には総額4,000万円の調達も実施しています)

イケダ:思い切りが良い気がしますが、その秘訣はなんなんでしょう?

石井:この間でKDDIの「∞ Labo(ムゲンラボ)」のDemoDayで「起業家を増やすにはどうすればいいか」みたいなみたいな話があったんですが、結局は覚悟を決めて生きる、ってことしかないんじゃないかと思うんですよ。最悪の状況を考えて、それを許容できるかどうかとか、死んでもやりたい何かがあるとか。

個人的には、最低限の生活というのはホリエモンみたいに最悪刑務所でもいいな、と思っていたんですよ。刑務所ライフいいじゃん、と。ご飯も食べれて、本とか読めるし。入りたくはないですけど(笑)

でも自分の生活レベルの最低限度をそこに置けば、起業のリスクとか怖くないんですよね。会社をつくったのが27歳とかだったので、まぁどうせ乗るかそるかは1〜2年でわかるだろうと。最悪会社が全然だめだったとしても、また営業の仕事をすればいいし、そしたら月給20万で働けるわけじゃないですか。それで十分生活できる。だったらチャレンジしないと損だ、ということで起業しました。

イケダ:で、渋谷ではなく中野に来てしまった、と(笑)

石井:はい(笑)でも中野っていいんですよ、ここオフィスの下に西友ありますし、あとでご案内しますが、「中野ブロードウェイ」は超楽しいですよ。

(イケダ後日談:中野ブロードウェイ、ヤバかったです。大興奮。秋葉原とはまた違う、レトロで濃密なオタク空間が広がっていました。また別途写真レポートを掲載予定です。)

イケダ:というか、今はこのオフィスで生活しているんですね。

石井:シェアハウス兼オフィスです。寝室には二段ベッドがあって、役員の男三人で生活してます。自分ともう1人の役員が高校時代に寮生活だったこともあって、もともと幸せの基準が低いのかもしれません(笑)

イケダ:幸せのラインを下げるのは、超重要です。

石井:それですよね。最低ラインとかリスクとかを突き詰めたら、会社つくるのは怖くなくなります。

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(中野ブロードウェイの古本屋。古本ってレベルじゃない!)

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(セル画とか売ってます。マニア垂涎かと。)

最近のIT教育系ベンチャーはつまらない

イケダ:最近のいわゆる「EdTech(ITを活用した教育)」の流れについて、何を感じていますか?

石井:最近、つまらないですね。結局今って、EdTech業界は大手主導なんですよね。ベネッセさんとかリクルートさん、ジャストシステムズさんとかが強くて、それはわれわれも反省すべきところなんですけど…アオイゼミに関しては、来年は大手さんとも対等に戦えるようになりたいと思っています。

EdTechのスタートアップは、正直つまらないです。もっと勢いがあっても良いんじゃないかと。2012年に盛り上がりはじめたときはもっと世界が広がりそうな感じがあったのに、今はなんか小さくまとまりつつある気がして。ガチンコで塾業界とぶつかっているのはうちくらいじゃないですか。まだまだ全然弱小ですけど。

イケダ:EdTechと呼ばれるもの全般についてはどのような考えをお持ちでしょうか?どのようにして世界を変えるのでしょう。

石井:「受験サプリ」のようなスタティックなアプローチって、e-learningと呼ばれつづけてきたものなので、そこにはブレークスルーはないと思います。ブレークスルーのポイントは「インタラクティブ性」に尽きると思いますね。

結局、インターネットの大きな特徴として「大衆化」というのがあると思うんです。大衆がコンテンツを盛り上げていくという動きです。まさに教育にも、そうした「大衆化」が必要だと思っているんですよ。

とにかくコンテンツを安くして、誰でも触れられるようにする。あとはソーシャルを絡ませてバズらせたり、コミュニケーションを取ってもらったり。

うちの受講生を見ていると、ライブ授業の最中や直後で教え合ったりとか、競ったりしているんです。ニックネームやアイコンを見て「また北海道の石井が来てるぞ、こんにちわー!」みたいなコミュニケーションも生まれています。あとはツイッターで会話をして盛り上がっていたり。

イケダ:そういう意味でのソーシャル性は、まさにブレークスルーがありそうですね。結局リアルな塾なり学校の価値のひとつは、そういったつながりだと思いますし。ぼくも受験生時代に2chで仲間を作って勉強していたので、非常に共感できます。

石井:なので、現在は自社SNSの開発に取り組んでいます。すでにゆるやかにコミュニティができているので、これをたとえば志望校別に一緒に勉強できるようにします。ライブ授業に関しても、オンライン模試で偏差値をランキング化して楽しく競えるようにする工夫も考えています。

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イケダ:アオイゼミが描く未来について、妄想レベルのものも含めて教えてください。

石井:アオイゼミの授業を10〜30万人が受講するようになったらメディアになると思っていて、学校の教育でできないことを、われわれができるようになると思うんですよ。

最近もKDDIさんと合同で「ケータイ教室」を実施して、ネット利用リテラシーに関するコンテンツを特別配信したんですよ。ほかにも高校1年生なのに会社をやっているGNEXの方とかも来て講義をしていただいたり。通常の授業以外のこともできるかなぁ、と思っています。

学校の教育でできないことを、われわれが主導してやるのが面白いと思うんですよ。

イケダ:メディアとして見たとき、そういう接点を持っているというのは強烈な競争優位性になるでしょうね。

石井:つまるところは、受講生の視野を広げたいんですよね。彼らがやりたいことを見つければ勉強もモチベーションも高まります。長期的にこうなりたいなぁ、という刺激を得られるコンテンツを特別授業でやっていきます。


MOOCsの限界:ネットで勉強できる人は少数派?

イケダ:少し話を変えて、人はネットだけで勉強できるものなのでしょうか?MOOCsなどについては「結局はモチベーションが高いエリートしか使わないから、格差が広がるだけだ」という批判も見聞きします。

石井:ネットのみというのは、やはりきついですよ。うちのサービス思想は、「基本的に人間は勉強なんて嫌いである」という発想です。勉強嫌いの人に、いかに勉強を続けていただくか、ということを意識してサービスを作っています。

そもそも、意識の高い人は勝手に勉強します。それはMOOCsだから、という話ではないですよね。参考書を開けない層、すぐ机を離れる人たちを取り入れてブレークスルーを起こすことができなかったから、e-learningはB2Bにいったわけです。

MOOCsは無料で一流の講義が見れるという点はすばらしいですが、YouTubeとかニコ動にディスカバリーチャンネルとかあるけど、みんな見てないじゃん、という話です。もっと別にブレークスルーを起こす必要があるでしょう。

イケダ:たしかに(笑)TEDとかもたくさんありますが、やっぱり能動的に観ようとはなかなか思えないですもんね。ブレークスルーのポイントというのは、アオイゼミ的にいえばやはり「コミュニティ」なのでしょうか。

石井:そうです。たとえば、ライブ授業中に講師が質問を取り上げてくれるという体験は、ラジオ番組でハガキを読んでもらえるみたいな感覚で楽しいみたいです。


覚悟をもって働く

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イケダ:最後にワークスタイルについても聞かせてください。きっと仲間になってみたい!という方もお読みでしょうから。

石井:基本的にうちは出勤時間が遅いですね。エンジニアを満員電車に乗せて出勤させるとか嫌ですよね。だいたい11時くらいから動き始めてますかね。

でも役員に限っては1月末の「KDDI ∞ Labo」DemoDay直前は生活リズムがむちゃくちゃで、5時就寝、消灯。起きるのが朝10時という感じでした。これは良くないですよ(笑)。

イケダ:ザ・ベンチャーという感じですね(笑)。

石井:ワークスタイル的にはフレキシブルで、要はちゃんとやることやってくれれば良いんじゃない?という感じですね。口うるさく管理ってのはしたくないんですよね。エンジニアに関してはうちの宝なのでやりたいようにやらせる感じです。当然ながら従業員は幸せにしたいなぁ、と思っています。

うちで働いているWEBデザイナーとか、ウチで働き始めた1年前くらいに「ふだん何食べてるの?」と聞いたら、「豆食ってます、国産の大豆を煎って食べてます」と答えて、お前はそんなに貧しいのかと(笑)

イケダ:そこで「豆」という食材にいくのが、なんというか生活感があっていいですね。米じゃなくて豆。

石井:そんな彼ですが、最近はスーパーでお惣菜買って米を食べるようになりました(笑)。ウチの出勤回数も増やせたので、食生活も豊かになったようです。こういうのが一番嬉しかったりします。

アオイゼミも、正直ここまではそんなにトントン拍子というわけではなかったので…。

今の段階から一緒に頑張ってくれる人に対しては一緒に幸せになりたい。もともと自分のワガママで会社を初めて、「それに付き合わせちゃってる」みたいな罪悪感みたいなものもありますから。

なんとしてでも、そこは実現しないとですね。会社やってる人間としては、それくらいの覚悟がないとやっていけないと思っています。

イケダ:こうしてお話していると、まさに「覚悟」を感じます。

石井:知り合いの方に「アオイゼミは覚悟がハンパない」とよく言われますね。EdTech業界に足りないのはそこだと思うんです。教育やっている人ってみんな育ちがいんですよね。ノブレス・オブリージュの発想でやってる人が多いというか…。

僕は地方の生まれなので、地方の底辺を見ています。でも日本の教育産業というマーケットの多くは、地方の底辺層で構成されていて、決して首都圏だけではないですよね。その意味で、EdTechで日本を変えられるのは自分しかいないとも思っています。

年収150万円で一生懸命子どもを育てている母子家庭の状況とか、その子ども達がどんな成長をしているのか、どんな課題があるのかを知っていて、それを解決するための仕組みづくりを出来るのは自分だけだと思っています。

そういった人たちをいかに動かすかということこそ、本来EdTech業界が考えることだと思います。

「既存の教育を変えてやるぜ」という視点抜きでやっていくというのは、本当にユーザーにとって、あるいは日本の教育産業にとって、その事業って意味あることなんだっけ、と考えてしまいます。

僕は中途半端なことをするために上京して会社を作ったわけじゃないので、完全に乗るか反るかですよ。日本の教育産業をガラリと変えられるような企業になるのか、あるいは途中で死んじゃうかのどちらかですよね。「死ぬ気で世の中変えようぜ!!」と本気で思っています。

アオイゼミは本当に「これから」です。まずはユーザーに「成績を上げる」という価値を提供していかないといけない。その先には、文科省ができないことを民間でやろうぜ、という組織にしていきたいですね。

イケダ:すばらしい意気込みをありがとうございました!


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(中野ブロードウェイにて)


アオイゼミは目下拡大中のスタートアップ。現在スタッフを募集中です。熱い空気を持った会社なので、日本の教育を本気で変えたい方はぜひコミットしてみては。


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