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(書評)「つぶやき進化論」

書評 | Posted by IHayato
Jul 25 2010

献本を頂いたのでレビュー。原著のSocialnomicsは前から読みたいな、と思っていたので願ったり叶ったり。

読書メモとして面白いと思った点を箇条書きで。


・ソーシャルノミクス(みんなの経済)は「ふつうの人」が主役の経済

・不動産情報サイトのZillow.comは、不動産業者に加えてユーザーが情報の更新をすることができる。wikipedia的な要素を盛り込むことで、情報を最適化。

・ベーコンソルト(ベーコン味になる調味料)はMySpaceで生まれた。クチコミで広がり、18ヶ月で60万本を売り上げた。

・ソーシャルメディアを使えば、子どもの様子を「そっと」うかがうことができる。親と子を近づける効果もある。

・これまで多くの顧客はわざわざ企業にクレームを伝えたりしなかった。今は消費者がどこからでも不満を発信できるようになっている。

「今の若い人は、1対多のコミュニケーションを好みます。そんな彼らにとって電子メールは時代遅れなのです」

・ボストン大学では2013年以降は新入生に電子メールのアカウントを配布しないことにしている。

若い世代は慈善活動が好き。2008年最も人気の高かったアプリはチャリティアプリ「Causes」。


・1980年代に生まれたジェネレーションYは、自分勝手な行動が社会をどれだけだめにするかを目の当たりにしてきたので、できるだけその反対を目指そうとした。//ジェネレーションYは「世の中をもっと良くしたい」という意識が強い世代なのだ。

・この新しい世界では、まずメッセージ戦略を決め、市場からのフィードバックを参考にしながら、戦略が正しいかどうか見直したり修正したりしても構わないのだ。

・Amazonのレコメンドは、たまたま同じ購入パターンをもつ何千人と言う人の集まりでしかない。個人的なつながりは一切ない。

・「友達が読むかもしれないレビューは“辛口”になる」という法則がある。自分のことを知っている人が読むことを考えると、スペルミスも避けたいし、慎重に評価をするはずだ。

・動画サイトのHuluは、あらかじめコマーシャルの長さがどのくらいなのかを知らせてくれる。

・今採用担当者が注目するべきポイントは、その人の持つネットワークだ。新しい人材を大量に採用しようとしている場合、すばらしいネットワークをもった人を1人見つけるだけで、即戦力を手に入れることになる。

・「ソーシャルネットワークの技術は求人の現場に素晴らしい変化をもらたらしました。適切なキーワードを使ったプロフィールさえ書いてくれれば、こちらは簡単にその人を見つけることができるのですから。

・Facebookのステータスを「彼氏あり」から「婚約」に変えたとたん、結婚式場や写真館の広告を受け取るようになった。

・広告主にとってソーシャルメディアで広告を出すことの大きなメリットは、ユーザーの年齢や職業などの属性だけでなく、趣味や人間関係といった「行動様式」までわかることだ。


黒字でピックアップしていますが、LinkedInについて書かれた「ソーシャルネットワークの技術は求人の現場に素晴らしい変化をもらたらしました」という言葉は印象的。

日本では、まだこの変化は訪れていません。が、ツイッターを就活に使う学生なんかを見ていると、着々と機は熟しつつあると感じます。就活生向けのLinkedInは可能性があるでしょう(誰か一緒に考えませんか?)。

ウェブでの情報発信がビジネスにつながるようになれば、オンライン/オフラインで一貫したアイデンティティを持つ人が増えるので、日本のウェブはもっと面白くなると考えています。「会いたい!」と思った人に会うMeetupも、より頻繁に発生するようになるでしょう。


スターバックスやコムキャストといった大企業の施策や、Hulu、トリップアドバイザーといったスタートアップに触れている箇所も新たな発見が多かったです。

タイムマシン経営は難しくなっているとは言え、米国の方が進んでいるのは確かですから「これ日本にもあったら良いなぁ」という気付きは本書から十分得ることができました。


原著のSocialnomicsは82のレビュー投稿、星4.5の評価を得ているベストセラー本です。

こうした情報を日本にしっかりと届けてくれるのは意義深いことだと思います。翻訳を手がけた原田さん、竹村さん(@tokyopingu)に感謝です。


現在予約受付中です。ソーシャルメディア全般に興味のある方はぜひ。


(書評)池田紀行『キズナのマーケティング』

書評 | Posted by IHayato
Apr 06 2010

僕の所属しているトライバルいkうメディアハウスの代表取締役社長、池田紀行(@ikedanoriyuki)の著書がついに手元に。

ゲラのチェックを手伝ったこともあり、僕にとっても思い入れのある本です。ゆえに、ある程度バイアスが掛かってしまうので、いくらか割り引いてご覧になって頂ければ幸いです。



そもそも、僕が転職を決めたのは、社長の「健全にソーシャルメディアを浸透させていこうじゃないか」という一言でした。まさにそれは自分のミッションと合致するところでしたので、半ば即決で入社を決めた次第です。
そして、この本を読んで、改めてトライバルメディアハウスに入社して良かったと感じることができました。この本は「ソーシャルメディアは魔法だ」という誤解を解き、健全にソーシャルメディアが浸透していくための一助となるはずです



内容としては、ソーシャルメディアを企業として活用していくにあたって、抑えておくべき内容が網羅されている、と言えるものです。それもそのはず、この本なんと334Pもあります。お手元に新書があれば比較していただきたいのですが、通常の新書の1.5倍はあるボリュームです。

僕がこれまでブログに書いてきた内容は、ほとんどこの書籍に詰まっています。しかも、当然ながらより分かりやすい形で。なんだか月並みの表現になってしまいますが、ソーシャルメディアを企業として活用したいのなら、読む価値は大いにある本でしょう。



こういう本が出てくると、なおのこと頑張らなきゃ、と奮起させられます。トライバルメディアハウスのアナリストの一人として、最先端のソリューションを研究・提案していきたいと思います。




と…これだけじゃ何なので、読書メモとしてセンテンスをいくつかご紹介します。

・皆さん、そろそろ目を覚ましましょう。ソーシャルメディアマーケティングは「魔法の杖」ではない。何でもかんでもソーシャルメディアマーケティングで解決するわけはないし、広告やPRを代替するものでもない。

・ソーシャルメディアは流行ではない。電話の普及が僕たちのコミュニケーションや生活を変えたように、ソーシャルメディアも僕たちのコミュニケーションと生活を大きく変えているのだ。

・ソーシャルメディアはクチコミ同様、消費者同士が利害関係無く、自由にコミュニケーションをしている公園なのだ。その公園であなたはマーケティングを「させていただく」のである。それがソーシャルメディアマーケティングなのだ。

・いいですか、皆さん。お願いですから、いますぐにブログを解説して、今日からブログを書き始めてみてください。ツイッターを始めてみてください。ミクシィのコミュニティで会話をしてみてください。…(中略)…。大げさかもしれないけれど、ソーシャルメディアへの参加は、確実にあなたの感覚を変えるだろう。

・すべては「熱意を持った一人」の社内啓蒙から始まる。

・消費者とのキズナを深めることで、毎度シェアや顧客生涯価値を向上させ、結果として競合他社との差別的競争優位性を確保する。1980年頃から叫ばれ始めた「消費者志向のマーケティング」に、結果として原点回帰しているのです。



なんてフレーズにピンと来たら是非。

*Amazonアフィリで得られた収入は、JustGiving Japanを用いて寄付に回します。現在1,000円寄付

(書評)「ツイッターノミクス」

書評 | Posted by IHayato
Mar 05 2010

@tsudaさんが解説している、タラ・ハント(@missrogue)著の「ツイッターノミクス(原題:The Whuffie Factor)」の献本を頂きました。
@yteppeiさん、@andvertさん、ご好意感謝です!)


原著読もうと思っていたので、大変助かりました。そして、予想通り、これはなかなか面白い本です。以下簡単にレビュー。


「ウッフィー(信頼・評判・評価・共感)」はWEB2.0の通貨。

ウッフィーは与えることで増えていく。

・ウッフィーを失うことは、経済的な損失に繋がる。DELLは炎上事件で目標売り上げを達成できず、株価を低下させた。

・DELLはブログとIdeastorm(掲示板サイト)を立ち上げ、ウッフィーを取り戻した。

・「贈り物は、人と人を結びつける。そして、ギブアンドテイクの精神を生む。一対一のやり取りが容易の行えるオンライン・コミュニティでは、贈り物を起点に一対一の関係が形作られていく。贈り物から始まる“つながり”が、オンライン・コミュニティの原動力だ。

・社会貢献そのものを事業の目的とすれば、事業は成功する。クレイグスリストの事例。

・真の顧客重視が求められている。

・「誰かが誰かを助けるのを助ける」と、ウッフィーの循環が生まれる。

ウッフィーの多寡は企業間競争における差別化の要因となる。

この本が面白いのは、ソーシャルメディア時代の貨幣を「ウッフィー(評判)」としている点でしょう。これは本当に同意します。僕もウッフィーを得るため、日々邁進しています。そして得てきたウッフィーは、確実に僕にメリットを与えてくれています(献本を頂いたのもウッフィーのお陰です)。

そしてウッフィーは経済的な利益を与えてくれる、とタラ・ハントは説いています。この点についても、やはり同意できます。個人レベルではそれは確実ですし、企業レベルでも「ウッフィー」の獲得は競争優位に立つための手段となり得るでしょう。ソーシャルメディアを有効活用して、「ウッフィーの獲得」を一つの目的にしていく。これはsmashmediaの河野さんの“最愛を目指せ”に通じる話だと思います。

この本は「ウッフィーの大切さ」「企業がどうウッフィーを得ていくか」について、具体的な事例を出しながら解説しています。いずれも首肯できる内容で、全く知らなかった事例も数多く、研究するには最適の資料です。

ソーシャルメディアのビジネス利用への入門書として有用でしょう。ある程度ソーシャルメディアに慣れ親しんでいる人にとっても、豊富な事例や「ウッフィー」という観点はやはり知るに値すると思います。

著者であるタラ・ハントと同様、僕もウッフィーを通貨とする「ギフト経済」からたくさんの恩恵を得ています。勝手ながら、かなり著者にはシンパシーを感じます。上のレビューには少しバイアスが掛かっていることもご了解ください。ですが、面白い本ですのでご興味があれば是非どうぞ。予約受付中です。



この流れで、本書中でもたびたび言及されているGary Veynerchukの著書「Crush It!」の邦訳も期待します。「ツイッターノミクス」は企業向け・ビジネス利用向けですが、「Crush It!個人がどうソーシャルメディアを活用し、人生を変革していくか、という熱い題材です。

現段階では、ソーシャルメディアをより上手に活用できるのは、組織ではなく「個人」だと考えています。「ツイッター、競合もやってるし企業として使わないと!」という風潮がありますが、個人レベルの活用についても、追求していくべきなのでしょう。「Crush It!」や「Me 2.0」など、海外では既に「個人のソーシャルメディア活用」についての良い本が出ています。日本語訳の登場に期待です。

書評「<聞き上手の法則> 人間関係を良くする15のコツ」

書評 | Posted by IHayato
Jan 18 2010

ソーシャルメディアと全く関係のない本ですが…ソーシャルメディアの本質は「会話」であり「関係構築」だと考えているので、「会話」それ自体に関する本も読むべきかなと思いまして。僕自身、ツイッターの会話なんてものすごく手こずったりします。

この本の著者、澤村直樹氏は「傾聴セミナー」も主催している臨床心理カウンセラー。経験豊富なカウンセラーだけあって、非常に平易で真理を付いた本です。

個人的に有用だった指摘をピックアップ。

・人は自分の得意なフィールドへ話を持って行きたがる。聞き手が自分の得意な話題に誘導しがちだ。話し手は「クラシック全般」について話したいのに、聞き手が「マーラーの交響曲」の話に誘導する、といったことは体験レベルでも良くある。これでは会話はぎくしゃくしてしまう。

・聞き手は自分に「承認欲求(自分の有能さを評価されたい欲求)」「防衛反応(劣等感を感じ、相手に対して攻撃的になる)」があることを十分に知らなければならない。

・話し手が使ったキーワードを共有する。違うキーワードを出さない。

・有能感を出さないために「無能になって聞く」ことを心がける。話し手は優越感を感じることで満足し、聞き手に話す機会を与えてくれる。

・「でも」を使わない。

・求められていないアドバイスはしない。「アドバイスをしたい」感情は「自分の承認欲求」や「相手に対する優越感」から生まれていることを知る。自分が満足をしたいがために、アドバイスをしない。

・相手が「評価して欲しい部分」を評価する。

・「聞き方のクセ」「心のクセ」を知る(本には自己分析用のエゴグラムが付いています)。

いやはや、この抜粋では伝わらないかもですが、読めば読むほど「あるある」と感じさせる本です。現実社会でのコミュニケーションはもちろんのこと、ツイッターのような文字数が限られたコミュニケーションを行なう上でも有用な指摘です。

ソーシャルメディアマーケティング(SMM)をやる上で、「傾聴術」は非常に重要だと思います。そもそもSMMのスタートは「聴くこと」から始まるものですし。

ソーシャルメディアに担当者レベルで携る上では、マーケティングや広告に対するリテラシーよりも、むしろ基礎的なコミュニケーション能力が重要になってくるでしょう(プランニングをやる場合は別ですか)。コミュニケーション能力のない担当者には、やっぱり顧客との「会話」任せることはできません。人によってはマーケティング本よりも、自己啓発本読んだ方が有用な場合もあるかも知れません。実際、カーネギーの「人を動かす」なんて本当に良いマーケティング本です(いずれSMMの観点から書評書こうと思います)。

と言うわけで、現在「influence: The Psychology of Persuasion (Collins Business Essentials)(説得の心理学)」という本を読んでいます。米国では今ベストセラー。邦訳が出て欲しい本の一つです。これもソーシャルメディアを直接扱った本ではありませんが、ソーシャルメディア上で「会話」をしていく上では、きっと役に立つでしょう。有用な指摘があったらいずれブログで書評を。読み進めます。

(書評)「次世代メディアマーケティング」

Uncategorized | Posted by IHayato
Jan 04 2010

現代のマーケティングの教科書、といって良い本。若いマーケターやデジタルマーケティングって何だ?といった方は、まず本書を読むと良いでしょう。言い換えれば、最新のモバイルウェブの動向に精通し、デジタルマーケティングの事例研究をしているような方には、ちょっともの足りないかもしれません。

特に興味深かったのは、Eメールマーケティングについての箇所。

現状のEDMは、まだ不特定多数の消費者にほぼ同じ情報を提供しているに過ぎない。しかしマーケティングに顧客関係管理(CRM)システムを取り入れる企業が増えていけば、そこから得られた顧客インサイトをもとに、一人ひとりに合ったEメールマーケティングを迅速に展開できるようになるだろう。

依然として、Eメールは非常に良く読まれるものです。僕もiPhoneに届くDMを、移動中などについ見てしまいます(デスクトップ環境では見ないですが)。DMの内容が最適化されれば、かなり効果的なマーケティング施策となり得ます。例えばソーシャルメディア内の情報をクロールして、より深い顧客情報を得ることができれば、Eメールマーケティングはもう一段上のレベルに達することができるでしょう。ソーシャルメディアの発達で「Eメールの死」がもたらされる、との意見もありますが、短期的に見ればそんなにすぐには死にません。ソーシャルメディアと掛け合わせた次世代のEメールマーケティング、研究の余地は大いにあります。

また、ゲームマーケティングについての章も面白かったです。MMORPGなどのゲームを使ったマーケティングはまだまだ一般的ではないですが、ユーザーの没入度は非常に高く、可能性はあるでしょう。



本の帯にも「21世紀のマーケター必読の教科書」という文句が書かれています。この本は、ソーシャルメディア時代のマーケティングの入門書として最適でしょう。