B2B企業がツイッターを使うメリットは低い、がカスタマーサポート目的ならグッド

Posted by IHayato
Nov 20 2009

企業のツイッター利用に調査しつつ、また試験的に企業アカウントを運用してみて、ようやく辿り着いた形のある結論。B2B企業がツイッターを使うメリットはあんまりないです。

端的にそのことを表しているデータがこれ。Online Adさんで紹介されていたものです。

「あなたが企業アカウントをフォローする一番の目的は?」という問いに対して、
消費者の43.5%が「セール情報」を目的とし、23.5%が「今使っている、持っているから」、22.7%が「コンテンツに関心があるから」としています。

FEED20093

Source:Razorfish / FEED 2009 (pdf)

そしてこれらの目的は、概ね、B2B企業には当てはめることができません。セールもできない、使ってる(ことを認知している)人も少ない、コンテンツに関心を持つ人も少ない。例えば産業ガスを生産している企業がツイッターをやったところで、見てくれる人はそうそういないわけです。

B2B企業で積極的にツイッターを使っている例としては、半導体業界だと株式会社ユビキタス(@UbiquitousCorp)さんなんかが挙げられます。

取組み自体は実に素晴らしいと思います。無料で利用できるツイッターで、少しでも露出を稼ぐことができれば、メリットこそあれデメリットは無いでしょう。特にツイッターのSEO効果は無視できないのではないでしょうか。同じB2B企業として、ユビキタスさんの先見の明と努力に尊敬の念を抱きます。

が、そんなユビキタスさんも、残念ながら多くのフォロワーを獲得しているとは言いがたい状況です。そしてうちの会社での試験運用も、概ね似たような状況です。

なぜ多くのフォロワーが獲得できないか、というクリティカルな問いに対しては、先ほどのグラフからも分かるように「そもそもニーズがないから」という、これまたクリティカルな答えが適しているでしょう。

繰り返して言えば、B2B企業が発する140文字のリリース情報やイベント情報は、そもそも需要が無いのです。マーケット全体からみたら大変ニッチなツイッターユーザーの、さらにニッチなところを狙っているのですから。

ではどうするか。

僕の現段階の持論は、「B2B企業はツイッターをカスタマーサービスに利用するなら、大いに意義がある」というものです。

ソーシャルメディアマーケティングの本質はユーザーとの「対話」です。
一方的な情報発信からは「対話」は生まれません。そこから得られる果実は、幾ばくかのSEO効果と、数少ないフォロワーへのメッセージ伝達くらいです。やらないよりマシですが、効果も同じく「やらないよりマシ」程度です。PR担当者の貴重なリソースを割くくらいでしたら、ツイッターには手を出さず業界紙の取材を獲得する努力をするべきです。

B2B企業はカスタマーサービスにこそ、ツイッターを利用する価値がある。その好例として、同じく半導体業界のB2B企業、テキサス・インスツルメンツ(TI)のツイッターアカウントをご紹介します。

@TXInstruments

パッと見てアットマーク付きのリプライが多いことが印象的。キーワードをモニタリングをして、TIについてツイートしたユーザーに感謝のメッセージを送っているようです。
また、困っている顧客に対してTIからアプローチすることもあるようです。個人的にはB2B企業のツイッター利用で得られる最大の果実が、こうしたやり取りだと思います・ツイッター以外では決して実現できないコミュニケーションです。
TIのカスタマーセンターに電話したけどつながらなかった、というつぶやきを発見したTIスタッフとそのユーザーのやり取り。

http://bettween.com/sthulin/TXInstruments

(sthulin)「まったく、TIのサービスで嫌な思いをしたよ。電話はろくに繋がらないし、繋がったと思ったら営業時間が終わってたよ」
(TI) 「こんにちはシーンさん、何についてお困りか、もう少し教えていただけますか?」
(sthulin)「大学の研究室で○○というTI製品を使いたいんですが、入手方法が分かりません」
(TI) 「その製品についてお調べいたしますね。分かり次第お伝えします!」
(TI) 「遅れてすみません、30日まで在庫が入らないようです。代替製品も品切れです、申し訳ありません。」
(sthulin)「そうですか、古いボードなもので…。もし状況が変わったら教えてください」
(TI) 「分かりました。もっと助けになれれば良かったのですが…有難うございました!」

対応を受けた顧客はサービスに満足するでしょうし、また、こうしたやり取りを目撃したフォロワーは、TIの人間味に触れ好感を抱くでしょう。

顧客が企業アカウントに求めているものはこうした「対話」です。TIがただ一方的に情報発信をするだけのアカウントだったなら、3600人以上のフォロワーを獲得することは無かったはずです。

少々語弊がありますが、B2B企業ほど顧客はツイッターで対話したがっている、ということも指摘できそうです。コーラが手に入らないことをコカコーラの公式アカウントに語りかける人はいなくても、仕事で使いたい製品が手に入るかどうかを公式アカウントに聞きに来る人は多いでしょう。

と言うわけで、B2B企業がツイッターを利用するべき最大の理由は、カスタマーサポートです。リリースやイベント情報の発信はあくまで付属的なもので、それがメインでは決して成功することはないでしょう。薄々分かっていたことですが、改めて断定します。

グランズウェルより金言を拝借。

B2B企業には「ビジネスパーソンも人間である」とアドバイスしたい。これは単純だが重要な事実だ。「企業のためのソーシャルネットワーク」はないし、「ブログにコメントする企業」など聞いたことが無い。企業は交流しない。交流するのは人間だ。

うちの会社のアカウントも、カスタマーサポート部隊の協力が得られるまでは、ひとまず試験利用に留めておこうと思います。人的リソースはありますから、幾ばくかのフォロワーのために、リリース・イベント情報の配信は続けていきますが、効果はそれほど期待していません。いずれはTIレベルのサポート体制を築き上げて行きたいところです。

Trackback URL for this entry