Lition Infrastructure 26 Apps

2018年、ブロックチェーン市場には膨大な数のイニシャル・コイン・オファリング(ICO)が登場しました。

このICOは、孵化したばかりの有望なスタートアップが、新しいブロックチェーンベースの製品やサービスを立ち上げる際に、支援の手を差し伸べてくれるターゲットオーディエンスとの結びつきをサポートするために設計されました。

説得力があり創造的なソリューションが多くのチームから生まれ、彼らを成功の軌道へと導いた極めて効果的なトークンセールを実施することができました。

一部では、将来のユーザーコミュニティに到達し納得させるための努力を怠ったり、ICO後の製品開発や配信プロセスなどで失敗するケースも見られました。

しかし、この業界を徹底的に研究し、当初計画していたより一層野心的な目標の追求にシフトしたチームもありました。


初期のイニシャル・コイン・オファリングでは、ほとんどのスタートアップが、特定の事業目的に合わせて、イーサリムブロックチェーン上に構築された基本的なソリューションを展開していました。

しかし、市場が成熟し、多かれ少なかれ同じような限界にアイデアを阻まれたプロジェクトが巷に溢れるようになると、ここに新しい傾向が見られるようになりました。

現段階のブロックチェーン技術から生まれる既存のソリューションには多くのギャップがあることが、市場参加者によって認識されるようになったのです。

このため、より広範なアプリケーション、つまりインフラストラクチャプロジェクトを対象としたより包括的なソリューションに、目が向けられるようになりました。


この進化については、Litionという会社を例にとってうまく説明することができます。

同社は、ある特定産業(エネルギー)をターゲットに設計されたイーサリムのP2Pアプリケーションとしてスタートしましたが、やがてこのギャップを認識するようになりました。

そして時機を見て当初の計画を修正し、大規模なブロックチェーン・インフラストラクチャ・プロジェクトへと変貌をとげました。


Litionは、ICOの実行を決定する前から、すでにドイツで実際の顧客と収益を持つ認可されたエネルギーサプライヤーでした。

2018年4月、クリーンで費用対効果の高いエネルギーをドイツの4100万人の家庭に提供するため、同社はブロックチェーンベースのP2Pエネルギー取引アプリを立ち上げました。

このようにしてLitionは、大規模市場で利用可能な世界初のブロックチェーンベースのP2Pエネルギー交換所になりました。

現在Litionは、ベルリン、ハンブルク、ミュンヘンを含む27都市に顧客を抱えています。

同社の最初のソリューションは、イーサリアムブロックチェーン上に構築されていました。


Litionチームは、市場占有率を拡大するためにICOを検討することで、2つの重要な認識に達しました:

1)イーサリム - そしてほとんどの既存のブロックチェーンは、多くの事業シナリオで継続的に使用するには、理想から程遠い深刻な限界があること。

「グリーン」(高い志をもつクリーンエネルギーサプライヤーが掲げる基本的な理念)とはかけ離れており、何百万人ものお客さまにとってスケーラブルではなく、さらに重要なこととして、個人データの安全な交換に関する各種EU法、およびEU GDPR規則で義務付けられているデータ削除に関する要件に準拠していないこと。


2)Litionがこれらの課題に直面しているならば、ブロックチェーン技術を使用して分散型環境でビジネスアプリケーションの起動・拡張を目指すすべての企業もこれらの課題に等しく直面しているだろうということ。

つまり、利用可能なすべてのインフラストラクチャソリューションは、大規模市場でのリアルビジネスには不十分だったということです。

このためLitionは、ビジネス用ブロックチェーンインフラストラクチャーの規準となるために、dApp開発を超えることにより、ブロックチェーンの適用範囲の拡張を決断しました。


ブロックチェーンソリューションを開発するために、Litionはドイツを拠点とする多国籍ソフトウェア企業の大手、SAPと共同イノベーション契約を締結しました。

SAPは、1万人を超えるソフトウェアエンジニアのチームでストレージやスマートコントラクトレイヤの開発を担当、Litionは、そのソリューションのためのオープンコンセンサスレイヤを提供します。

SAP SEの最高技術責任者兼最高経営責任者であるユルゲン・ミュラー博士も、Litionの技術アドバイザーとして参加しています。


当初のビジネスの方向性が洗練されたものであるとしても、大幅なスケールアップを目指すための機は熟していると、最終的に両パートナーは判断しました。

そしてこれこそが、SAPのサポートを受けて、Litionが乗り出したまったく新しいエキサイティングな冒険なのです。

つまりこれは、商業製品のための独自のスケーラブルなパブリック‐プライベート・ブロックチェーン・インフラストラクチャー、および削除可能なデータ機能を備え、直近のEUデータプライバシー保護法を含む適用法や規制に完全に準拠したシステムの開発を意味します。

同社独自のプロトコルは、比較的小さなニッチからブロックチェーンベースのアプリケーションを生み、それが主流の市場に参入するのを支援することを目的としています。

現時点で同社が開発しているスケーリングソリューションには、エネルギー、企業データ管理、金融、保険、物流、医薬品、ヘルスケア、メディア、旅行などがあり、幅広いビジネスや業界に迅速かつ堅牢で費用対効果の高いソリューションを提供しています。

つまり、範囲の限られた分散型アプリケーションのプロバイダとしてスタートを切ったLitionは、現在ブロックチェーン分野を超える大規模なインフラストラクチャプロジェクトとなることを目指しているのです。