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取材を受けるのでまとめておきます!


ブロックチェーンはNPO業界をどう変える?

仮想通貨とブロックチェーンは、非営利セクターにも大きな影響を与えるとみられます。

実はNPOに詳しいイケハヤが、具体的にどんな影響があるかを事例付きで考察していきます。

この話は雑誌「ビッグイシュー日本」にも掲載される予定です。

すばらしい雑誌ですので、路上でぜひ購入してみてください。販売エリア外の方向けには、定期購読も用意されています。p>スクリーンショット 2018 03 12 9 14 02

1. 資金調達

まず考えられるのは、資金調達への影響。

端的にいって「NPOがICOする」というケースが想定されます。

NPOは株式を発行することができません。

ゆえに、特に事業立ち上げフェーズにおいて、大きめの資金を集めることが難しいんですよね。クラファンで寄付を募るくらいでしょうか。

「融資」もありえる選択肢ですが、現状、NPOだと銀行もなかなかカネ貸してくれないようですし……。

ここで生きるのがICO。

社会的な事業を立ち上げる際に、それに紐付いたトークンを発行すれば、初期の事業資金を集めることができる可能性があります。


寄付との大きな違いは、投資家がリターンを得られる可能性があること。

社会的にインパクトのある事業なら、トークンにも価値が付く可能性があります。

これまでのケースをみるに、具体的な用途がなかったとしても、ブランド価値で値上がりしていくことが想像できます。

トークン購入は、ユーザーから見ると「寄付みたいなもんだけど、キャピタルゲインというワンチャンも期待できる」という選択肢になります。

寄付は寄付で残り続けるでしょうけれど、基本的にはトークンを使った調達の方がパワフルで、調達額も大きくなると思われます。


加えて、トークンを発行することで、NPOのバランスシート上にも相応の価値が発生することになります。これは株式と一緒ですね。

発行したトークンを自社で50%保有していれば、時価総額の50%の価値を社内に生み出すことができるわけです。ここらへんの税制・税務はまだ議論すら始まっていないと思いますが……w


これは賛否ありそうですが、事業型NPOの場合は、配当型トークンを発行することもありえるでしょう。

株式会社との境目がなくなっていきますが、配当のデザインを工夫することもできるわけで、いろいろ可能性はありますね。


2. 寄付市場の透明化。

これはわかりやすい話ですね。ブロックチェーンを使って寄付金の流れを透明化する動きがあります。

WFPは中東ヨルダンの難民キャンプに暮らす1万人以上のシリア難民に、ブロックチェーンを使って支援金を提供した。WFPが開発したシステムでは、難民は従来の食料引換券ではなく、ブロックチェーン上の電子財布に振り込まれる電子マネーを使って食料を購入する。

国連、ブロックチェーンを活用 難民支援や人身売買防止  :日本経済新聞

取引の流れがオープンになることで、寄付金がどのように使われているかがクリアになるわけですね。

いずれは、「リアルタイムの帳簿を作成して、誰もがそれを監査・是正できる」なんて未来も待っているかも。

NEM財団がやっているように、「資金使途をトークン保有者が投票で決める」というユースケースも出てきそうですね。「寄付+投票権」というイメージです。

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3. 社会的インパクトの可視化。

ブロックチェーンは、「非営利的な活動が社会にどのような影響を与えているか」を可視化する役割も担うでしょう。

事例だとこんなイメージ。

1月22日のブログで、国連はClimate Chain Coalitionという新たなグループの立ち上げを行ったことを発表した。Climate Chain Coalitionは、気候変動関連事象の対策に関して分散型台帳技術(DLT)の利用事例を調査していくという。

国連は、気候変動に影響を与え得る要素を無制限に測定し、かつデータ検証とレポート作成の精度を高める目的で、分散型台帳技術による技術向上の支援を行う予定である

これまでにも国連は、二酸化炭素排出量の監視やクリーンエネルギー取引、資金配分などに応用することを視野に入れたブロックチェーンによる効率的かつ透明性の高いシステムの作成方法を調査してきた。

国連が気候変動への取り組みにブロックチェーン技術を応用【フィスコ・ビットコインニュース】 | マネーボイス

ブロックチェーンによって世界規模でオープンデータ層が整えられ、それらがインパクトの算出に使われる……という感じでしょうかね。

NPO活動には「で、それをやることで、社会はどのように変わったの?」という難問がつきまとうのですが、ブロックチェーンはこの課題を解決する一助になると思われます。


4. ブロックチェーンを活用した新規事業。

ブロックチェーンとトークンを活用して、新たな非営利事業を立ち上げる人々も登場するでしょう。

そうですねぇ。。パッと思いつくのは、たとえば「健康的なアクション(運動、検診受診)を取ると、トークンがもらえるアプリ」とか。

運動をして体重が減るとトークンゲット。

得られたトークンは、アプリから健康食品を買うときに割引チケットになる。

ユーザーはトークンをBurn(焼却)してもOK。

たくさん焼却すると、特別な会員権トークンがゲットできて、多くの特典が得られる。

事業で得られた利益は、より非営利度の高い事業(ex.アルコール依存症患者のケア事業)に100%還元。


……みたいな設計は面白いかもですね。

トークンを絡めることで事業化できる範囲が広がるので、「カネにならないから解決が難しい」と思われていた種々の課題が解決に近づく可能性があります。


ここらへんは無限に事例が考えられるので、技術的な視座に立って事業デザインできる人がいると面白いですね。

最近だと「漫画村」に見られるような海賊版コンテンツの問題なんかも、ブロックチェーンとトークンの仕組みで解決できるんじゃないか、という議論がありましたね。

関連記事:仮想通貨は「報酬とペナルティによる社会革命」を遂行する。


5. コミュニティのデザイン。

最後に、NPO自体がひとつの完成された経済圏を作る……という壮大なストーリー。


たとえば「ビッグイシュー」が「ビッグイシュートークン(BIT)」をリリースしたとします。

BITの時価総額は10億円。小規模な銘柄です。

BITトークンは様々な商品の購入にも使えます。

で、BITトークンはスマートコントラクトによって「使うたびに、自動的に利用額の1%がBIT財団に寄付される」という仕組みになっていうます。

財団のウォレットは公開されており、資金の流れはリアルタイムに可視化されています。

資金使途はトークンホルダーによって民主的に決められます。

財団は原則的にプロジェクトに対して「融資」を行います。

条件によってはマイナス金利の融資(100万円借りて80万円返す)が適用されることもあります。

財団の支援を受けたプロジェクトは、コミュニティ上で活動報告を行うこと、ビッグイシュートークンを積極的に利用することが求められます。


取引高が年間10億円なら、1,000万円の資金が財団に自動的に寄付され、民主的に使われることになります。

……たとえばこんなイメージです。もしこんなトークンが設計され、それなりに使われれば、小さな経済圏ができあがりますよね。


まだまだこれから。

という感じの未来は見えてきてはいますが、実際に社会に影響を与えるのはもう少し先。

非営利セクターの活用がもっと広がってくると、ブロックチェーン業界も面白くなるでしょうねぇ。

ここはブルーオーシャンなので、NPOに関心がある方は身銭切っていろいろ試してみると面白いですよ。ぼくも何か仕掛けるかもしれません。