積ん読だったのですが、もっと早く読んでおけばよかった…。


プロマンガ家になるための壁。

漫画家支援団体。漫画家志望者に向け都内にシェアハウスを提供。これ迄200名ほどを支援、デビューした漫画家は18名。「漫画家のなり方」の研究し書籍発刊、2012年からはプロ向け支援「漫画家向け確定申告講座」など、活動範囲を広げている。

日本が誇る異色のNPO「NEWVERY」。彼らの取り組みのひとつに「マンガ家支援」があります。

彼らは「マンガ家志望の若手」向けに、低家賃の住居とネットワークを提供する事業を展開しています。すばらしいですねぇ。

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んで、この本はそんなマンガ家支援プロジェクトの現場から生まれた一冊。プロの作家のインタビューが多数収録された本で、もんのすごい名言だらけです。ヤバい。

登場するのは、樹崎聖、鍋島雅治、田中圭一、緒方てい、大崎充、おおひなたごう、江本晴、野間美由紀、深谷陽、川田潮、稀見理都、うめ/小沢高広、すがやみつるの13組。

自分を奮い立たせるためにも、名言をピックアップして保存しておきます。


創作にまつわる名言。

樹崎 いろんなものを描けるのがプロ漫画家だと考えている。そういう人が多いんじゃないでしょうか。でもそれは間違いですね。自分のこれというのが見つかったら、そこで勝負するべきなんですよ。一生それだけを描くくらいでいいと思います。なので、自分のこれというのが見つかったらそれを繰り返し繰り返しやればいいんですよ

樹崎 漫画家になるには急がば回れみたいなことが絶対必要なのですが、みんな焦っちゃうんですよね。長期的なスタンスがある程度必要ですよね。僕も最初のデビューした読み切りは1年間分のネタをためていたんですよ。ピアノの漫画を描こうと思って、いろんな本を読んだり、映像をみたりして。

(略)自分は一生、漫画家を続けていくつもりだったので、ちゃんと勉強しないと、と思っていました。新人の頃、契約金はもらってるけど作品はほとんど描いていない時期もあったのですが、その間に映画を年に500本ほども見たりもして。

樹崎 一球入魂になると良い作品にならないんですよね。いろんなものを詰め込もうとするので。それだと良い作品にはならないです。良い作品というのは、一つのことしか言っていないので。二つ以上のことを読者に伝えようと思うと情報がバラけてしまうので、ほとんど印象に残らないんです。

鍋島 「この作品は、うちの雑誌に合わないよ」「こんな設定、誰も見たことないよ」と言ってくる編集者はあまり良くないです。週刊少年ジャンプに『Dr.スランプ』が載るとは当時、誰も思っていませんでしたから。『ジョジョの奇妙な冒険』だってそうです。そういう今までになかったような作品がヒットしているんです。 「今までに見たこと聞いたことがないし、これだとクレームを受ける」と言って、そこで企画を止めてしまう編集者は下の下です。

鍋島 漫画家に必要なのは才能と努力と運です。その中でどれか一つ欠けている人はまずいません。どんなに才能がなくても努力がそれを凌駕することはあります。運だけで一気に駆け上がる人もいます。例えば僕自身で言えば、才能:努力:運=1:2:7くらいだと思っています。

田中 僕が周りを見て漫画家で大きく間違っていると思うのは、一生涯食っていくための仕事として商売を始めたいというふうに考えている人が少なすぎるということです。毎日思いのままにペンを走らせていくとご飯が食べられる仕組みであると思っている人が多いのですが、それはないです。漫画というジャンルにおいて非常に危険だなと思うのは、ペンを走らせてご飯を食べていければいいやと思っている人があまりにも多すぎることですね。

田中 漫画家志望者の半分くらい本当は何もしたくない人なのではと思っています。楽して稼ぎたいがために漫画家志望やミュージシャン志望をしているのではないかと。

(略)漫画家志望の残り半分くらいは、子供の頃から漫画を描いている人たちです。その人たちと勝負するのにフリーターを散々やった後に思い立って漫画家になり、食っていける人なんて本当に稀な存在ですよ

田中 原稿を描くことはまさに筋トレと同じですからね。描けば描くほど楽になってきますから。サボればサボるほど筋肉は衰えますので。筋トレというのはやってみると分かりますが、1日目はつらいけれども、3日目は少し楽になり、1週間やると割と楽しくなってくるんです。1カ月続けるとやめたくなくなるんです。それと同じで漫画も、描き続けているとどこかで描くのが楽しくなってくるポイントがあるはずです。

緒方 これは受け売りで品のない話ですが、漫画家というのは自分の尻の穴を見せるような職業です。なので僕は知り合いの漫画家志望者の子がすごく悩んでいるときに「感情を全部込めて描け」と言いました。

腹が立つことがあれば腹が立つことを描けばいいし、家で嫌なことがあれば嫌な事を描けばいい。ものすごく落ち込んだ状態だったので、その落ち込んだものを漫画にしろと。実際にその通りにして描いたら鬼気迫った作品に仕上がり、出版社に持ち込んだらそれでその子はデビューしました。

名もない新人がベテランに勝つには青臭い感情! これしかありません(笑

緒方 「やる気だけあります」という人は、やる気はあるけど今はやっていませんという意味で、「引っ張ってくれ」「教えてくれ」ということの裏返しです。

大崎 タイミングというのは大きく関係していると思います。それをつかむためには半年に1作品を完成させるというペースではとてもそのタイミングをつかみ切れるとは思いません。下手な鉄砲でも何回も打っていると、タイミングをつかむということは大いにあり得ますから

おおひなた 僕は最初埼玉に住んでいたのですが、もっと近場がいいだろうということで東京の中野坂上に引っ越しました。そこから仕事も増えましたね。近い方が漫画家の飲み会にも行きやすかったり、編集者も来やすかったりするので……。その辺を結構気を使いました。僕は作品以外で勝負しているところもありますね(笑)

おおひなた 最近思っているのが、アイディアを考えるときは寝るのが一番ですね。眠いとやる気がまったく湧いてこないんですよ。なので、ネームをやる前の日は早めに寝て、8時間は寝ます。そうするとすっきりして頭も回転しますよ。

おおひなた 僕は悩んだときにイチローと矢沢永吉を想像しています。あの2人でも悩んでいるんだと考えたら少し楽になるので(笑)

あの2人も日々の努力があってあの位置にいるのだから、自分も頑張らなければならないと思うようになりますよ。

おおひなた 私の持論ですが、一番最初に思い付いたネタはたいてい皆が思い付くネタだから三つ目ぐらいに思い付いたネタを描くようにしています。一つ目、二つ目は捨ててそれをひとひねり、ふたひねりしたネタを使うんですよ。一つ目をネタを描いてしまうと、どこかで見たとか、予想がついちゃうつまらない話になってしまう可能性が高いかな、と。

深谷 自分で読んで本当に面白いものを描くのです

プロになる意識として読者に受けるものを描くことはある意味では大事ですが、そんなに計算して万人受けする作品を描ける人はいないので、まずは自分の読みたい、人に読ませたくなるような作品を描くことに集中しましょう。

深谷 未完の名作を何百ページ作るよりも16ページの駄作を何本も描いていけば、だんだん上達してきて16ページのクオリティは上がっていきます。

(略)同じ1000ページ描くのでも1000ページの1作品を描くよりは100ページの作品を10本、それよりも50ページの作品を20本描く方が確実に伸びると思いますね

川田 ボクサーとか格闘技のチャンピオンみたいに中学校くらいから自分が強いなと思うわけです。高校も無敗で、社会人になっても無敗というタイプが漫画家でも一番多いと思います。

同級生で自分よりうまいヤツがいた、というのはちょっとどうなんだろうって。そいつに負けている時点で、漫画家を目指すべきではないかもしれません。

すがや 音楽家の子が、音楽家になってしまうのは、DNAのせいではなくて、小さいときから音楽に浸っているからだという考え方なんです。つまり、才能とかセンスとかいうのは、それまでに経験してきた時間の差でしかない。

パン屋さんになるにも、最低限必要な時間があって、うまく行かない人は、ただかけた時間が足りないだけ、というわけです。もし時間をかけているのに、うまく行っていないというのなら、それは、だらだらと時間をかけているからだ、ということになります。


続編もすばらしいので、こっちも名言メモ。

プロはなにゆえプロなのか?12名のプロによる新人漫画家必読の金言が満載!プロの核心に迫る『プロがプロたる所以』対談集!

本作には続編もありまして、こちらもまたすばらしいので、いくつかピックアップします。もうちょっと彫り込んだ話が多いです。

新條 漫画家さんって、そういう人が多いですよね。意味無くこれを買うとか。でも、知り合いには、逆にお金を使おうとしない先生もいます。

この間、その先生とみんなで一緒にブランドのお店に行ったんです。そこで、その先生にすごくピッタリのバッグがあったんだけど、でも、その先生は買わないんですよ。欲しいと思っているんですけど、「いや、でも今ちょうど貧乏の話を描いてるから、これを買っちゃうと、なんか違う。感覚的に、もう描けなくなるかもしれない」って言って。

だから、自分は安い服を着ていないといけないからって、お母さんにマフラーを編んでもらって、お母さんありがとうって言って、それを身につけているみたい。そうやって、その先生は普段の感覚を自分の作品に合わせてるんですよ

甲斐谷 なるよね。だから、暗黒時代って大事だよね。みんなもあると思うけど、尾田栄一郎先生も、3年くらい何も載っていない時期があったよ。そのとき、彼から悲壮感満点の年賀状が一回来てさ、「今、僕がマンガを発表できてないのは、力を貯めているからです。怠けてるからではありません、力を貯めてるんです!」って文面で。

甲斐谷 違うのよ。あれはね、速く描かないとスケジュール管理ができないから、速く描けるように、最初にキャラ設定をするんだよ。この感じの絵だったら速く描けるっていうものに、キャラのほうを合わせるわけ。要するに、得意なものや、できることに、すべてを合わせているわけ。本当は、もっとネームが速ければ、何かいろいろとやってみたいんだけどね。

甲斐谷 スキルが足りてないっていうのは、1年、2年とやってて、2年前の自分の作品を見ると、痛感するよね。僕なんか、もうそれを20年くらい繰り返してる。いまだに、去年の作品が恥ずかしいもんね。

栗原 プロとアマチュアの違いって、〆切があるか、無いかじゃないですか。短い〆切がある中で、どう速く描くかっていうのは大事だと思うんです。だから、遅い人にはとにかく速く描けるようにしろと言っていますね。逆に、速く描ける人の給料はどんどん上げていったりしてます

甲斐谷 なんか、努力しない人って、ビビらないよね。

僕は自分が努力家とは思ってないけど、ただ、努力しない人と自分がちょっと違うなと思うのは、その部分だよね。僕は、常に何か恐怖を感じているわけよ。干されるかも、もう仕事が無くなるかもって、そういう恐怖心に煽られて、やらずにはいられなくなるんだよね。だから、若い人はもっと怖がったほうがいいよね

上條 マンガを描くときに大事なことは、3つしかないと思ってるんです。「自分」とは何か? っていうことがまずひとつで、次に自分を含めた、「人間」ってなんだろう? っていうこと。そして最後に、人間が集まった「社会」って何? っていうこと。

上條 松本大洋くんや浅野いにおさんが出てきて、彼らにそっくりな新人の漫画家がたくさん出て来るとか、ムーブメントとしてはわかるんだけど、明らかにそれは損だろって思います。あれだけ完成度の高いものがあるのに、なんでそこに寄るの? っていうのがあるんですよ。新人の漫画家は同じような位置を目指さないほうがいいと思いますよ。


いやー、ほんとすばらしい。

有料マガジンでも「マンガを読まないビジネスパーソンは損をしている。」という記事を書いたんですが、マンガの世界からは学ぶことが多すぎますね。競争が苛烈すぎる業界なので、生き残るための方法も非常に洗練されてます


「マンガで食えない人の壁」というタイトルですが、これは「ブログで食えない人の壁」「野球で食えない人の壁」「音楽で食えない人の壁」などなど、様々な領域に通用する話です。2冊合わせてどうぞ。


トキワ荘プロジェクト出身の作家さんだと、中川学さんが好きです。どちらも強烈w 今もウェブで連載してますね。面白い……うちのマガジンでも連載やってほしい……。


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