2014年の作品、「新世代努力論」にも書いた話をブログでも。


「才能」とは「認知特性」である

「才能」という言葉は面白いですよね。
「努力が99%、才能が1%」「あいつは才能があるから勝てない」などなど、日常的によく使われる割に、それがなんであるかがクリアになっていない気がします。
みなさん、才能って何だと思います?

ぼくは、「才能」をもう一歩深く言語化すると、「生まれた時点で持っている能力・素質」なんてところになると考えています。
さらにそれを噛み砕いていくと、それは、発達や教育の分野で語られる「認知特性」そのものなんです。


風鈴を思い浮かべてください。

認知特性とは何か?それを知るために、ぼくが独自でテストを作りました。

……いいですか、「風鈴」を思い浮かべてください。


風鈴ですよ?あの風鈴。


はい、どうぞ。

目をつぶっていただけると、集中できると思います。



…………できましたかね。


さて。

みなさんは、「風鈴の映像」を思い浮かべましたか?

それとも、「風鈴の音」を思い浮かべましたか?

または、その両方でしょうか?

これで、あなたの才能、つまり認知特性の傾向がつかめます。


音が再生される場合は「聴覚優位」

認知特性というのは、脳が生まれ持って獲得している、物事を認知する「傾向」のようなものです。
生まれた時点の脳の話なので、基本的には変えることはできないと思ってよいでしょう。
 

さて、風鈴の話ですが、先ほど「風鈴の音」を思い浮かべた人は、おそらく「聴覚優位」と言われる認知特性を持っている人です。
聴覚優位はその名の通り、耳からのインプットが強いタイプです。聴覚優位者は一般に「言語(文字)」に強い傾向もあるので、たとえばツイッターを使うときも「話すように文字をツイートできる」と思われます。
もちろん、ブロガーであるぼくも聴覚優位で、耳から入った音をその場ですぐに書き落とす「口述筆記」が得意です。


映像が再生される場合は「視覚優位」

一方で、音よりも風鈴の「映像」の方が強く想起されるようなら「視覚優位」にカテゴライズされます。

こちらもその名の通り、耳ではなく、視覚、つまり目からのインプットが強いタイプです。
このタイプは「全体を把握しないと、なかなか理解できない」という特質が強いと言われます。何かを勉強するときも、まずは目次や概略を理解して、そこから個別の論を学んでいく……というスタイルが向いています。 
また、言語・文字に対する認識が特殊で、なかには「ディスレクシア」「学習障害」と呼ばれるほど、文字を操るのが 苦手な方もいらっしゃいます。「ちょっとした誤字に気がつかない」という人は、視覚優位である可能性が高い気がしますね。


風鈴のイメージが描けない。

さて、ぼくは聴覚がかなり強いタイプなので、かなりリアルに「風鈴の音」を想像することができます。風鈴だけでなく、風の音、蝉の鳴き声なんかも再生されます。

でも、映像はまったく出てきませんし、想像しようとすると、変なイラストみたいなものが出てきます。これは風鈴なのだろうか……?しかも、部分的にしかイメージできません。風鈴の全体像を思い浮かべることができないんですね。
 

視覚優位の傾向が強い人は、多分、ぼくのこの感覚に驚くと思います。
「イケダはなんで風鈴の映像を想像できないんだ」「そんなのどっかで見たことがあるじゃないか」「私はすぐに絵に描くこともできるぞ」と。

でも、ぼくは本当にできないんです。風鈴のイメージを、脳内で描くことができないんです。
これは重要ですが、「頑張ればできる」とかそういうレベルの話ではありません。できないものはできないんです。


音はクリアに描ける。

逆に、ぼくは聴覚が強いので、好きな曲をかなりリアルに再生することができます
頭の中にオーディオ機器があるようなもので、スイッチを入れれば音楽が流れます。音楽は何かをしていても中断されることなく、BGMのように頭に鳴り続けます(多少、「聴く」意識は必要ですが)。
和音も音色も再現されますし、クラシックの場合は奏者の息遣いなんかも聞こえてきます。ぼくはグレン・グールドの「ゴールドベルク変奏曲」の「アリア」が大好きなんですが、今この瞬間も、かなりの精度で頭のなかで再生することができます。
 

で、これは多分、視覚優位の人には難しいと思うんですよ。何を言っているかわからないと思います。
うちの妻は視覚が強いんですが、やっぱりぼくのような「音の再生」はできないらしいんですよ。
「ピアノ音楽を頭のなかで再生しよう」とすると、ピアノの音ではなく、音が「自分の声」になってしまったり、和音が再生できなかったり、そもそもすごく疲れてしまったり。
ぼくのように「頭のなかのオーディオをオンにするような感じ」で、自然に再生することができないんですね。


人の顔を覚える妻。 

またまた一方で、うちの妻は視覚優位の傾向が強いので、人の顔を覚えるのがめちゃくちゃうまいです。
とにかくもう、一瞬で覚えるんですよ……。街で一度すれ違ったレベルでも記憶できるあたり、まるで頭のなかにカメラが入っているようです


そう、ぼくはこれ、ぜんぜんダメなんです。人の顔を覚えることがマジでできません。頑張ってるんですけど、できないんですよ。よほど特徴があれば別なんですけどね……。
なので、人を覚えるときは、顔ではなく「所属」「そのとき話した話」「その人の印象」とかを使うようにしています。だから、街中ですれ違ってもぼくはたぶんあなたを認識できません。認識できるとしたら、あなたが相当特徴的であるということです(笑)


長々と書きましたが、これが「才能」の実相だと思うのですよ。ぼくは頑張っても妻のようにはなれませんし、その逆に、妻はどれだけ頑張ってもぼくのようにはなれません。
今後脳科学が発展していけば部分的な補強は可能になるのかもしれませんが、抜本的に認知傾向を変えるのは難しいと言えるでしょう。


認知特性に合った仕事をしよう。

認知特性というのは、もんのすごく重要なんですよ。

その人の仕事の向き不向きは、ほとんど認知特性で決まります。


ぼくは聴覚優位、とりわけ言語に強いので、ひたすら文章を書き続ける「ブロガー」が向いています。
一方で、人の顔を覚えることが苦手なので、営業や接客は向いていないでしょう。大学時代、接客のバイトをやりましたが死ぬほどできませんでした。
 

医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン」という本があります。
この本で詳しいテストを受けることができるのですが、ぼくは聴覚優位のなかでも、やはり言語運用に優れたタイプだそうです。

うちの妻は視覚優位なので、やっぱりビジュアル的なセンスが優れています。イラストを描かせても、詩を書かせても、惚れ惚れするくらいグラフィカルな表現をしてくれます。
また、「見た目」に関して、ぼくより明らかにこだわりがあります。食器とかインテリアとか、うちの妻はよく勉強しているんですよ。


勘の良い方はお気づきのとおり、これは「教育の方法」とも関係してきます。
たとえば、ぼくは視覚の認知が弱いので、イラストや図で把握するのが苦手だったりします。
一方で聴覚認知が強いので、たとえば「歌にして覚える」とかは強烈に得意です。

大学受験時代、世界史の偏差値が80くらい行ったんですが、それはやっぱり「歌にして覚える」というのが得意だったからだと思います。色々歌を作りましたよ、ぼく。もう忘れたけど。


ほとんどの人が、認知特性に気がつかないまま、根性論で弱みを克服しようとしちゃっている気がします。そのやり方は成果が出にくいだけじゃなく、うつ病になるのでやめたほうがいいですね……。

これからは「弱みを克服する」のではなく、認知特性や性格を踏まえて、自分の強みをひたすらに磨いていく時代です。まだ自分の強みを把握できていない方は、以下のリンクからテストを受けてみてくださいませ。

関連記事:弱みを克服したい?そんな非効率なことやってるから、あなたはダメなんですよ。


この本を読んで、さらに理解を深めよう。

認知特性の話はほんっとに面白くて、それこそ専門書で一冊まるまる語られるレベルです。ここで書いたのはぼくの持論なので、さらに詳しくは以下の本をどうぞ。

まずはこちらの一冊。名著です。著者自身も強烈な視覚優位(映像思考)を持っているという、リアルな立場から書かれたエキサイティングな作品です。
 

そして、実際にテストしたければこちらの新書を。納得感のある結果が返ってくると思います。超面白いですよ!


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