いやー、この本、衝撃を受けました。価値観をブンブン揺さぶってくれる名著。


データが教える「人間の限界」

人間の行動を支配する隠れた法則を、「方程式」に表す。ヒューマンビッグデータがそれを初めて可能にした!時間の使い方・組織運営・経済現象など、人間と社会に関する認識を根底からくつがえす科学的新事実。科学としての確立と現場での応用が同時進行し、世界を変えつつある新たなサイエンスの登場を、世界の第一人者が自ら綴る!

著者は「ヒューマンビッグデータ」の研究者。本書の第1章では、リストバンド型のウェアラブルセンサーを用いた興味深い実験結果が紹介されています。

私の左腕には、24時間、365日、左手の動きを記録するこのセンサが装着されている。1秒間に20回も計測した詳細な加速度データがコンピュータに蓄積されている。

このデータから、たとえば、過去8年に私が、いつ寝返りを打ち、いつ集中して作業していたか、ということが解析できる。短時間のデータが意味することは、単に左手の動きであり、ごく小さな意味しか持たない。

しかし、本書で紹介するように、1週間、1ヶ月、1年、2年、さらに複数人のデータへとまとまるにつれ、より大きな意味を持つことが次第に明らかになっていった。

このデータから一体なにが見えてきたのか。ぼくは文系なので色々すっ飛ばしますが、こんなグラフが出現したそうな。

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著者はこのグラフのかたちを「U分布」と呼んでいます。もんのすごく簡単にいうと「全体のなかで、緩やかな動きが発生する確率は高く、激しい動きが発生する確率は少ない」という図です。

上のグラフは、12人の腕の動きを2週間計測したとき、その腕の動きが綺麗にこのかたちになったことを表しています。2週間のうち、きれいに「ゆるやかな動きは多く」「それに比べて激しい動きは少ない」という分布になったわけです。

重要なのは、これはどの被験者においても同じで、おそらくぼくがやっても、あなたがやっても、腕の動きはこの分布に落ち着くと思われます。著者の説明も引用します。

簡単にいえば、計測期間を1日以上のように長くとると、50回/分以下のような動きが穏やかな時間が多く、激しい動きを示すことは少ないのが特徴だ。その少なくなり方が指数関数に従っている。

この傾向は大変規則的で、典型的には、1分あたり60回以上の運動をすることは1日の半分(1/2)程度だが、1分あたり120回以上の運動をすることは、その半分(1/4)程度に減る。

さらに1分あたり180回を超える運動をすることは、さらに半分(1/8)程度に減る。これをグラフにすると、片対数プロットでは右肩下がり直線のグラフになる。

U分布と同じ形の統計分布は、科学の歴史のなかでは、物質中での原子や分子の熱エネルギーの分布に発見されている。空気にせよ、水にせよ、世の中のあらゆる物質のなかでは、原子が熱エネルギーによって絶えず動いている。


人間の行動は「U分布」に従う

さて、ここからが本題!いいですかみなさん。非常に興味深いのが、この分布は、人間の社会行動に関して幅広く見られるというのです!

我々がセンサを使って人間の身体運動などを計測する研究を続けていると、横軸に取るのが原子の熱エネルギーだけでなく、社会現象に関わるさまざまな量であってもこの同じ形の分布になることがわかってきた。

たとえば「1分間の腕の動きの数」であり、「店舗における棚の前に顧客が滞在する時間」もそうだ。これが見つかったのは最近のことだ。

これは冷静に考えると恐ろしいことで、私たちの行動は、個人レベルでも社会レベルでも、「無意識的に」この分布に従ってしまうというのです!

つまり、私たちは自分の意思で行動しているつもりでも、実はこの分布の上で生きているわけです。えー!まじですか!

このことの意味を考えると、さらに驚くべきことがわかる。被験者は、自分の意思や思いで、自由に自分の行動を決めていると考えている。それとこの普遍的なU分布とは相容れないのだ。なぜなら、行動の種類によって、特徴的な動きがあるからだ。

たとえば、プレゼンテーションを行っているときには、150回/分、ウェブを見ているときは30回/分程度の動きをともなう。

このため、さまざまな行動を自分の意思で選択し、1日のなかで組み合わせたら、その選択の仕方により、動きの統計分布は異なるはずだ。その日のToDoの選択によって、分布は異なるはずである。毎日、統一的なU分布になるはずはない。

ましてや、違う仕事を持ち、性別も年齢も異なる人たちが、魔法にかけられたように、同じU分布に従って、24時間、行動しているのは驚きである。

もう一度、U分布の図を引用しましょう。にわかには信じがたいことですが、実験によれば、私たちはどんな仕事をしている人であれ、この図の通りに、腕を動かして生きているというのです。

「激しい動きだけをして過ごす」こともできなければ、「中程度の動きだけをして過ごす」こともできなければ、「静かな動きだけをして過ごす」こともできません。これが著者のいう「データの見えざる手」というわけです。

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ToDoはU分布にしたがって決めろ

著者によれば、私たちは今日やること(ToDo)を決める際には、このU分布に従おうとすることが大切だと語ります。ここは本書のハイライトです。

人間の運動がU分布に従うことを考えると、結局、1日の時間を有効に使うには、さまざまな帯域の活動予算を知って、バランスよくすべての帯域の活動予算を使うことが大切だと気づく。これを無視して、ToDoリストを作ったり、1日の予定を決めたりしても、結局はその通りにはならない。

単純素朴に立てた計画は、有害でさえあるかもしれない。なぜなら、この原則を知らないと、予定をこなせなかったのは自分の意志が弱かったためではないかと、自己嫌悪に陥るかもしれないからだ。

しかし、それは違う。ToDoを実行するのに必要な自分の帯域ごとの活動予算を単に使い果たしてしまったので、それ以上できなかったにすぎない。

(中略)活動予算を使い尽くすとなにが起きるのだろう。おそらく、それ以上その活動ができなくなる、あるいは、やりたくなくなると推測される。なんとなくそれ以上続けるのは気が進まなくなる、という経験は誰しもあるはずだ。

そのときは、実は、活動予算を使い果たしていたのかもしれない。

いやー!この本やばいです。しびれまくり。さて、ではどのように活動予算を知ることができるかといえば、それが「ウェアラブル」なわけです。

ウェアラブルセンサを使えば、自分のどの活動がどの帯域を使うのがわかるし、1日の活動予算も明確になる。

その日のなかで、ある活動のための予算があとどれくらい残っているかもセンサによりわかる

自動車のガソリンの残りをメーターで見ながら運転するのと同じで、メーターを見ない時より、確実に目的地にたどり着けるようになる。

実に未来的な話です。実は人それぞれに「活動予算と帯域」があり、ぼくらはそれをチェックしながら行動をするようになっていくのかもしれません。

うーん、面白すぎる。スポーツ科学の分野なんかでは、どんどん取り入れられていくのでしょうね。


上記はあくまで第1章の一部。つづいて「ハピネスを測る」「人間行動の方程式を求めて」「運とまじめに向き合う」などなど、たいへんエキサイティングな実験と考え方が披瀝されていきます。ぜひとも手に取ってみてください。


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