最近、コンテンツの「パクリ」についての記事が増えてますね。


「パクる」のはなぜいけないの?

たとえばこんな意見。

コンテンツの盗用は明確な著作権法違反なのだが、ネットの中では「キュレーション」だったり「バイラルメディア」等と、それらしい名前を付けて人の褌で相撲をとる行為がはびこっている。

こういうものを日々見ていたら海外の記事を断りなく翻訳して、自社サイトに掲載することの何がイケナイコトなのかよくわからなくなっても仕方ない気もする。

(中略)ネットは便利である反面、著作物の違法コピーはどうしても流通してしまう素地がある。

だからといってパクリが許されるわけではない。

せめてパクる時くらいは罪の意識をビンビンに感じながら、人目を気にしてこっそりひっそりやれよと思う。

パクることに対する罪の意識の希薄さが気になる話 - ネットの海の渚にて

こういった意見を書く人は多いですが、みなさん「なぜパクリがいけないのか」を書かないんですよね。「麻薬=絶対ダメ」という感じのノリで「パクリ=絶対ダメ」と思い込んでいる感じさえあります。こういう思い込み、思考停止は怖いです。


さて、コンテンツのパクリって、何でいけないんですか?これ、真面目に答えられる人、どのくらいいるんでしょう?「盗むのはいけないことだからいけない」「法律違反だからいけない」みたいな幼稚な意見はダメですよ。


著作権者の利益になるパクリもある

参考までにぼくのスタンスを書いておきましょう。
何をもって「パクリ」とするかは曖昧ですが、ぼく自身は、自分のコンテンツがコピーされていくことに対してはかなり肯定的です。実際に、BLOGOSやSpotlight、現代ビジネスといったメディアに対しては、うちの記事を堂々とパクって(転載して)いただいています。いつもありがとうございます。

著作権者としての気分としては、ぼくの書籍をP2Pソフトでばらまいていただいても、まったく構わないどころか嬉しいです。ありがとうございます、ばらまいてくださって。これほんと。…とはいえそれをやると、出版社から訴えられるかもしれないので、おすすめはしませんけどね。

結局、パクリがNGかOKかというのは、ビジネスモデルの問題なんですよ。ぼくが作っているビジネスモデルですと、むしろコンテンツを勝手にばらまいていただいた方が、利益が出やすいんです。また、パクられてもOK!というスタンスの背景には、年間500万円くらい売上あれば十分だ、という目標の低さもあります。

というか、こういうのは抗いようがないんですよ。あなたがどれだけ「パクリは許されない!」と叫ぼうとも、ネット上ではコピーコンテンツが「当たり前」になっていきます。NAVERまとめがこれだけ人気を集めている意味を理解しましょう。世界でバイラルメディアが乱立し、各メディア間でコンテンツが「共有」されている意味を理解しましょう。著作権者は、抗えない変化に文句を言うのではなく、勝手なコピーに耐えるビジネスモデルを作り上げていかなければなりません。

コンテンツのパクリを「万引き」になぞらえる人は多いですが、根本的に違うのは、このビジネスモデルの話です。わかりやすくいえば、パクられればパクられほど、ぼくは儲かるし、利益が奪われるようなら、儲かるようにビジネスを作り替えていけばいいだけです。物理的に商品が奪われる「万引き」とはそこが違います。

…まぁ、そんなぼくでも、コンテンツを丸々っと転載する際は事前に連絡はいただきたいとは思います。転載を始める場合は、ぜひメールとかツイッターで一報いただけると。でも、編集に哲学のないコピーサイトはダメです。なお、NAVERまとめとかTumblrでぼくの記事を利用する分には事前・事後連絡は不要です。


外部の人間がどうこう言う話ではない

毎度書いてますが、パクリ云々は、他人がどうこう言う話ではないんです。そのパクリがNGかどうかは、著作権者しか判断できませんから。バイラルメディアはパクリだらけだ!著作権違反だ!と怒る人は、一体何者なんでしょうね。

どうしてもパクリが許せないのなら、「あなたの著作物がパクられていますよ」と著作権者に教えるのが最良の解になると思います。それ以上はやるべきではありません。NGかどうかは、あなたが判断することではないのですから。


というわけで、それでも、どうしてもパクリが許せない方は、ぜひその理由を教えてください。特に、「あなたが著作権者ではない」場合の怒りについて、教えていただけると幸いです。なぜ部外者の人間が、パクリについて怒りだす必要があるのでしょうか?
 

みなさんのご意見

さてさて、ツイッターなどで意見をいただいたのでまとめておきます。

まずは万引きのようなもの、という語り方。コピーコンテンツは①盗まれた側の利益にもなりうる(デジタルデータは複製可能)、②著作権違反は親告罪である、という点で窃盗とは明確な相違があるというのは事実として抑えておきたいところです。

こちらはよく整理されている意見だと思います。肝心なのは、「第三者がそのコピーの善悪を判断することが難しい」ことなんですよね。当事者なら自分で善し悪しを判断すればいいんですが、部外者はそうはできません。

けっこう真面目に面白いと思います。長い目で見ると、書籍も無断コピーの対象になっていくのかもしれません。


「第三者がなぜ関係のない他人のコピーに対して非難できるのか(そのコピーについては、著作権者しか法的な善悪は判断できないにも関わらず=親告罪にも関わらず)」という問いに対しては、こちらはもっともクリティカルなご意見。

ヨッピーさんも、

「別に自分がパクられてるわけじゃないから」ってスルーした時点で自分が被害者になった時に文句言えなくなるじゃん。だから被害を受ける前から声を挙げるんだっての。

イケダハヤト氏が全クリエイターに対して宣戦布告を開始 - ヨッピーがブチ切れまくるブログ

と書いてますね。

この立場はわからないでもないですが、一体どんな基準をもってして、「第三者として」そのコピーがOKであるかNGであるかを判断するのかを教えてほしいところです。

そもそもぼくの問題意識としてあるのが、関係のない個人が著作権者本人の意見を無視して(勝手に斟酌して)、一方的に正義を代弁するのは危険なことだ、というものです。ヨッピーさんはこのように画像転載にどうしようもない怒りを覚えているようですが、当の著作権者たちがどう考えているかはわからないわけです。これは彼の「暴走」である可能性を否定できません。そういう鈍感にご本人は気付いているのでしょうか。

ぼくにはヨッピーさんが「このやり方だと『俺が』やられたら嫌だから、関係のない他人だろうが、許せないんだ」と、たいへん「主観的」に、正義を「代弁」しているようにしか見えないんですよね。ここら辺は価値観ですが、ぼくはそういう鈍感さに基づく怒りは危険だと思うのですよ。

自分が当事者ではない以上(法律的にも親告罪である以上)、そこは善悪の判断を差し挟まないのが大人かと。だからこそ、ぼくは「第三者として関わる場合は、著作権者にコピーされていることを教える以上のことはしない」ということを推奨しているわけです。

なお、ヨッピーさんに関してはコピーコンテンツについて何かアクションを取っているようなので、それを楽しみにしてます。

あと彼のブログのなかで「結局、こういう事態に対して「怒らない」っていうのはそれだけ自分の「作品」に対する思い入れが無いからじゃないの。」という一言がありますが、それはむしろぼくにとっては逆ですね。思い入れがあるコンテンツであるからこそ、バイラルすることを歓迎しているわけです。せっかく創作活動しているんですから、多くの人に触れてもらいたいじゃないですか。ここは作家の価値観、商業性によって分かれるポイントでしょうね。


この意見も色々集約されていて興味深いです。結局「俺はこいつが気に入らない」というあたりがネット上のバッシングでは絡んできてしまってるんでしょうね。部外者として批判するのなら、ぼくは客観的な基準が求められると思います。


こちらもとてもいいご意見。「(窃盗と同様)経済的な損失を客観的に判断できるか」という観点は、著作権違反を非親告罪化する際の論点になるのでしょうね。この方のご意見をもう少し。

この意見を読んでわかったんですが、ぼくは第三者的な立場から発せられる正義(本来、善悪判断は当事者しかできないのに)が、延伸していき、法制度や法解釈に影響を与えることを懸念しているようです。市民が他者を叩くための、また新たな口実を得てしまうわけですから。そういう制裁意識から入る社会参加は不健全だと直感的に思ってしまうんですよねぇ。

同じ方からもうひとつ。ありがとうございます。

事前に具体的なNG事例を出している場合については、たしかに第三者的な判断を下せると思います。著作権違反が非親告罪化されたとして、その対象になるのは「事前NGを明らかに破っているケース」になるのかもしれませんね。となると、著作権者はこの時代に応じて、「利用規約」を掲載・アップデートしつづけるという自衛策を考えられます(たとえば「画像の転載を禁止します」「2chまとめサイトへの転載を禁止します」など)。


そうそう、いい整理をありがとうございます。ぼくはクリエイターたちに後者の道をおすすめします。


こちらも整理されています。が、いずれも「そうとは限らない」と言えると思われます。①②③⑤に関しては、一時期(今もですが)、YouTubeに音楽コンテンツが違法アップされていたことは、参考になる事例だと思います。③の「無駄なコンテンツが増える」という論点はよく語られますが、これはテクノロジーと市場原理で解決できる話ですよね(キュレーションアプリ、検索エンジン)。


モチベーションが下がるとしたら、それは基本的にビジネスモデルが悪いからです。そこは柔軟性の問題で、まずはクリエイター側が対応すべきだと思うんですよね。


ポイントとしては、著作権違反の損害を、第三者は正確に把握できないということかと(ビジネスモデルによってはプラスの価値を与えてくれます)。殺人や窃盗のような罪と一緒にするのは違うかな、と。


こちらも同じ論理で、強姦と著作権違反を一緒にするのは違うかと。(追記:「利用には事前の許諾が必要です」という規約、宣言が存在し、それを無視して転載している場合は、第三者がその違反について指摘することもできると考えます。)


いい整理をありがとうございます。「(と思っている)」というのがポイントですね。


これは直感的なものなのでどこまで言語化できるかわかりませんが(別途記事にしてみます)、自分の身の丈を超えた正義についてコミットするのは、歴史的に見ても危険だと思うんですよね。戦争とか虐殺は、身の丈を超えた正義を実践しようとするから起こると考えます。自分が当事者ではない場合に正義を振り回す際には、慎重になる必要があるかと。自己弁護でいえば、ぼくは一応そういう論理的なワンクッション(慎重さと身の丈感)を置いているので、まぁこれはいいのかな、と。こういうぼくの態度が倫理的にダメだ、という意見もよくわかりますけどね。


こちらはとある方からメールでいただいたご意見。一部編集して引用させていただきます。

人格権重視の人に財産権のメリットを説いても、理解してもらえても納得してもらえません。こういう時は対策を述べていくのがいいんだと思います。

対策のひとつとしてパクられても良いコンテンツを~ って書いてありますが、ケースに当てはまらない人が噛み付きます。なので、事件の起こるケース(パクツイ、記事パクリ等)を網羅して財産権と人格権の両方の観点から述べるのがいいんだと思います。そしたら噛み付いてくる人たちは重箱の隅を突くことしかできません。

著作物をID化(Androidのapp_id形式)して二次利用状況を管理できるDRMがあるといいねとか、

文化庁が著作権のQ&Aを作っているから、パクリ現場を目撃したらURLを教えてあげようとか、そういったアクションを提示できると生産的かもしれません。

いやー、すばらしいご意見をありがとうございました!具体的なアクションを提示するというのはまさに、ですね。


こちらは法律に関わる仕事をなさっている方から匿名でいただいたメール。編集して引用します。

まず、親告罪についての基本的な知識ですが、権利者からの申し立てがなくても警察で捜査することは可能です。

つまり、警察の初期捜査では、権利の侵害状況を証拠化するだけで、そこに権利者がどう思っているかは、ほとんどの場合介在していません。

商業的著作物があって、それを違法に撒いている者を見つけたら、独自の判断で着手することができます。

権利者への確認は、事件化するかどうかの段階で行われます。

いくら捜査しても、告訴状が出されなければ、裁判所に起訴することができないからです。

そこで権利者が告訴状をだす気があると回答すれば、実際に被疑者を逮捕したり任同をかけたりと動き出すわけです。

また、もし仮に、ネット上でコンテンツをパクられた、処罰してくれ、という権利者が警察署に押し寄せたとしても、それら全てに対応することは不可能かと思われます。

親告罪ではあるのだけれど、告訴したところで全部を刑事事件化してたら治安が崩壊してしまうから、民事でお願いしますとなってしまうのではないでしょうか。

民事訴訟を起こすには、非常に時間と労力を要しますから、直接削除を依頼してだめだった場合、企業体などマンパワーを持つ場合を除き、権利者は泣き寝入りしかないかと。

さすがのご意見、ありがたいかぎりです。国家は頼れないことを薄々気付いているのか、今はネット上で「自警団」が登場しているような状況なんでしょうね。自警といえば聞こえはいいですが、それは結局「私刑」の言い換えです。自警団が主観的に裁きを下す状況は、とても危険な状況だと思います。

また、国の対応にボトルネックがあるということは、非親告罪化が進んだとしても、結局問題は解決されない可能性があるとも考えられますね。


引き続き汚い言葉ではないご意見を募集中です。口汚い人がホント多くて困りますねぇ。


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