「ネイティブ広告」ってわかりにくいキーワードで、何だかややこしいことになっていますよね。


ネイティブ広告って何?

人によって「ネイティブ広告」というキーワードで指している内容が違う気がするので、ちょっと整理をしてみようと思います。

Wikipediaの「Native advertising」の記述を邦訳すると、このような感じになります。

「ユーザーの行動に合わせて価値あるコンテンツを提供し、生活者の興味・関心を惹きつけようとするウェブ広告の形態の一つ。…広告主の意図としては、広告を押しつけがましくないように見せることで、クリック率を上げようとするものである」

「ネイティブ広告」は、本当に「ネイティブ」な「広告」であるべきなのだろうか? | CONTENT MARKETING LAB(コンテンツマーケティングラボ)

うん、まぁ、「自然な」広告ということなんでしょうけど、これだけだとよくわかりませんね。事例で考えてみましょう。


Gunosyに見る「インフィード広告」

ここ最近、「ネイティブ広告」というキーワードは、Gunosy的な広告配信をイメージしている場合が増えてきたような感じがあります。

以下の画像、複数のリンクが紹介されていますが、ひとつだけ広告なんですよ。わかりますか?

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よくみると「Sponsored」と書いてあるんですが、「寝不足注意!世界中が〜」というリンクが広告です。で、このリンクをタップすると「いきなり」App Storeに飛ばされます。突然App Storeが開くので、けっこう意表を突かれる感じです。

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これは「ネイティブ広告」のなかでも、「インフィード型」または「タイムライン型」と呼ばれるものです。フィードやタイムラインのなかに、自然に(ネイティブに)広告が配信されるという意味です。

最近この種の広告配信ニーズが高まっておりまして、たとえばadingoはいくつかのメディア、アプリにこの広告システムを提供し始めています(adingo、Zucks提供のインフィード型ネイティブ広告の配信を開始 (1/1):MarkeZine(マーケジン))。トリセツも使っているんですね。

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で、Gunosyも同様のサービス展開を始めるようです。

ニュースアプリ「Gunosy(グノシー)」を展開するグノシー(東京都港区)が、スマートフォン向けアプリのアドネットワーク事業を始めたことが本誌取材により明らかになった。自社アプリの利用者拡大によって獲得した広告主の広告を、自社アプリ以外の広告枠にも配信することで、新たな収益の柱をつくるのが狙いとみられる。既にミクシィが提供するSNS「mixi」のスマートフォン向けアプリには、グノシー経由の広告が掲載されている。

グノシーがネイティブ広告ネットワーク参入、事業モデルを転換か 日経デジタルマーケティング

古いところでは、ツイッターやフェイスブックの広告もインフィード型です。これは見慣れていますよね。

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なぜ今インフィード広告が盛り上がっているかについては、スマートフォンは画面のサイズが小さく、バナー広告の効果が低いので、広告出稿企業/メディアが「バナー広告の代替」を求めているからだと思われます。

しかしながら、今普及しはじめているインフィード広告は、ユーザー体験でいうと相当いまいちなことが多いので、その点は大きな課題です。みなさんも「記事だと思ってタップしたらApp Storeに飛ばされた…」的な経験があるかもしれません。ここら辺の懸念は徳力さんがまとめているので、関心がある方はこちらもぜひ。

[徳力]日本の「ネイティブ広告」は、もっと真剣にネイティブにならないと読者にステマ広告扱いされてしまうんではなかろうか


NYタイムスに見る「ブランドコンテンツ(記事広告)」

で、ややこしいのは「ネイティブ広告」は、いわゆる「ブランドコンテンツ」、もっと簡単にいうと「記事広告」を指すときにも使われるんですよね。

ぼくはコンテンツ制作者側なので、ネイティブ広告=記事広告という意味合いで使うことが多い(多かった)です。最近はややこしいので、「ブランドコンテンツ」と記載しています。


事例としてわかりやすいところだと、NYタイムスなんかは「DELLからお金をもらって、DELLが制作する記事を掲載」しています

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THE PAGESの解説記事は、文脈的にはいわゆる「記事広告」を指して「ネイティブ広告」と表現しています。

最近ネイティブ広告というキーワードを目にするようになってきました。ネイティブ広告とは、メディアにおいて通常の記事であるかのような形で提供される広告のことを指します。

米国の大手メディアは相次いでネイティブ広告を導入しているのですが、これについては賛否両論が出ています。

通常、紙であれネットであれ、広告は広告であることが一目で分かるような体裁になっています。しかしネイティブ広告は記事と同じフォーマットで提供されるので、読者は記事か広告かを一目で判別することができません。

賛否両論「ネイティブ広告」って何? それは記事か、広告か | THE PAGE(ザ・ページ)


記事広告、2つの制作パターン

やや本筋とは逸れますが、ブランドコンテンツには概ねふたつの作り方があり、東洋経済オンラインは「花王からお金を貰って、東洋経済オンラインの編集部が制作する記事を掲載」しています(見習いたい!紳士のスーツ選び )。

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前述のNYタイムスは「お金を出す企業(DELL)が記事を制作する(NYタイムスの寄稿用アカウントを付与する)」という作り方ですが、東洋経済オンラインの場合は「記事を制作しているのは東洋経済オンライン編集部」なわけです。

BuzzfeedMashableなどの海外メディアはNYタイムス方式(企業が記事を制作)、日本のメディアは概ね東洋経済オンライン方式(編集部が記事を制作)が多い感じですね。うちのブログも東洋経済オンライン方式でブランドコンテンツを制作しています。

背景にあるのは、日本企業のコンテンツ制作力の低さだと思われます。企業がブランドコンテンツを作りたくても、まだまだプロの編集者の手を借りないと、閲覧に耐えるコンテンツを制作できないという事情があると見てよいでしょう。

この点に関しては、あと1年も経てば、コンテンツを外部メディアに提供できる企業も増えていくと思われます。サイボウズ式とか良い記事作っているので、どっかのメディア(アプリ)にインフィード枠もらって配信するといいんじゃないかなぁ。NewsPicksとか相性良さそう。


理想のネイティブ広告とは?

うまく整理できたかはわかりませんが、「ネイティブ広告」と言ったときに、今(2014年7月)だと「インフィード広告」か「ブランドコンテンツ(記事広告)」のどちらか、またその両方を指すことが多いと思われます。

もっとも、ネイティブ広告という概念はかなり広いので、それ以外の広告を指すこともあります。当座のところ、直近でネット界隈で話題になるのは、この2種類の広告だと理解して問題ないでしょう。異論があれば補足をお願いします。


さて、ここからはぼくの理想論ですが、「インフィード広告」と「ブランドコンテンツ(記事広告)」は、本来は両輪で成長していかないといけないと思うんですよね。

なぜなら、「インフィード広告をクリックして、いきなりApp Storeに飛ぶ」と、やっぱり広告としての印象が悪いわけです。「騙された感」が拭えません。その意味で、今のGunosyのユーザー体験は決して十分とはいえません。

でも、「いきなりApp Store」ではなく「インフィード広告をタップして、そのリンク先が、滞在しているメディア(アプリ)のユーザー体験に沿ったブランドコンテンツ(記事広告)」だったら、まだ納得感があると思うのです。


言葉で説明するとわかりにくので、図も付けておきましょう。

これがダメなパターン。リンク先は分かりやすいのでApp Storeにしていますが、ユーザー体験上の違和感を抱かせるリンク先はすべてNGです。

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現時点で理想的なのはこのパターン。いきなりApp Storeに飛ぶのではなく、ワンクッション、ユーザー体験を害しない、自然な(ネイティブな)記事広告を挟むわけです。で、その記事広告をインフィード広告で配信する、という流れです。

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言わずもがな、この場合は記事広告をつくるための編集能力が求められます。たとえば「クラッシュ・オブ・クラン」のDLページを最終的な着地点にしたいのなら、「全世界で話題のゲーム、クラッシュ・オブ・クランの開発秘話」「クラッシュ・オブ・クラン開発者が語るグローバルマーケティング」なんて感じの記事広告をクッションページとして制作する流れになります。


二つ目の図の方法が優れているのは「ユーザー体験として自然である」ことだけではなく、「記事広告自体が拡散する可能性がある」点にもあります。

App Storeに直で飛ばしてしまうのは、KPIは管理しやすい分、バナー広告と同じで「出稿をやめたら広告効果がゼロ」になってしまいます。

一方で記事広告を制作する場合は、インフィード広告の出稿を停止したとしても、制作した記事が検索やソーシャルで継続的に読まれる可能性があります(当然、リンク先のApp Storeにも継続的にアクセスが流れます)。商材や編集者のレベルによりますが、基本的には二つ目の図の流れの方が、いろんな意味でパフォーマンスは高くなると思われます。


ネイティブ広告の近未来と課題

しかしですね、残念ながら、市場的に先に広がっていくのは「インフィード広告」だと思われます。ゆえに、しばらくは現在のGunosy的な「普通のリンクだと思ってタップしたら、いきなりApp Storeに飛ばされた」的な体験が「ネイティブ広告」の主流になると思われます。

そうした動きのなかで、オンライン広告に関わる人々の編集能力が高まっていき、良質な「ブランドコンテンツ」を制作できるようになれば、「タップしたらいきなりApp Store」という導線設計は少なくなっていくでしょう。それまではインフィード広告の印象は劣悪なものとなる可能性があると思われます(ユーザーが慣れていくとは思えないんですよねー)。


勝手に注目プレーヤー

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さて、ブランドコンテンツの普及に貢献するプレーヤーとして、個人的に注目しているのは「サムライト」です。ここはまさにインフィードとブランドコンテンツの双方をサポートできる会社です。次世代のアドコンテンツ/アドテクノロジー企業として成長していく可能性大です。

メディアでいえば、先日1億円を調達した「CuRAZY」が注目株です。LIGあたりがインフィード枠を買って、CuRAZY上で面白コンテンツを配信したら、かなりパフォーマンスは高まりそうです。ジャンル的には暇な女子大生とか絡めても面白いだろうなぁ。暇女さんも、企業から提案があったときは、自分のブログではなくCuRAZYに配信する方が単価も上がってよさそうです。

佐々木編集長が移籍したNewsPicksにも注目です。ここは企業がブランドコンテンツをインフィードで配信する、パワフルなプラットフォームになりえます。なんせ佐々木編集長がいらっしゃるので、記事制作に関しては無双状態と思ってよいでしょう。NewsPicksフィード上に、すぐにでも配信を始めるのではないかと思われます。

Gunosy競合のSmartNewsも、何らかのかたちでインフィード広告は取り入れていくのでしょう。Gunosyの広告商品との差別化という点では、ブランドコンテンツのサポートは打ち出してきてもおかしくなさそう。プラットフォームがブランドコンテンツの企画・制作を行うというのは、スケーラビリティ的にどうなのか、迷うところではありますが…。

livedoor News、BLOGOS、LINEニュースなどを展開するLINE勢にも注目です。田端さんはここら辺関心あるのかな?特に、BLOGOSはあんまり儲かってないらしいですから、ブランドコンテンツ+インフィードはぜひとも積極的にやるべきだと思います。LINEニュースとかと連動したら、アクセスもグワーンと稼げるでしょうし。

最後にAMNにも注目したいところですが、徳力さんの関心的にはこっちはやらないのかも?ブロガーたちの編集力を活かした広告制作・配信について、何か動いていたら素敵です。


ネイティブ広告は、アドテク的なインフラがいくら発達しても、そこに乗るブランドコンテンツが発達していかないかぎり、十分なパフォーマンスは発揮されないと予想します。まぁこれは、ぼくがコンテンツ制作者側であるがゆえのポジショントークでもあるんですが…。

ネイティブ広告は間違いなく盛り上がっていく市場なので、どんなかたちで進展していくか楽しみでなりません。ここで言及していないかたちのネイティブ広告の種類も、まだまだ増えていくように思われます。みなさんのご意見をNewsPicksなどに書いていただければ幸いです。


ちなみに、うちのブログもブランドコンテンツを提供しておりまして、5万円+PV報酬でインタビュー3万円+PV報酬でアプリ・ウェブサービスのレビューをやっています。業界的には激安だと思いますので、気になる方はぜひリンク先をチェックしてみてください。1ヶ月2クライアントで制限しているので、お早めにぜひ。



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