しばしば「ジャーナリストを目指しているので、新聞社への就職を考えています」みたいな学生と出会います。「そのたびに何を言っているんだ、お前は」という話をしています。


そもそも、針の穴を通るようなもの

大前提として、確率的に、新卒として新聞社に就職すること自体が困難です。たとえば大手の朝日新聞で、記者部門の新卒は48人だそうです。

2013年4月入社の採用人数は、4月前の早期入社も含めて66人でした。部門別の内訳は、記者部門48人、ビジネス部門16人、技術部門2人です。

まじめから粘着質まで多様な人材求む 地方の学生も挑戦を | 就活ニュースペーパーby朝日新聞 - 就職サイト 朝日学情ナビ

2chランキングなので嘘かまことかという感じですが、エントリーシート提出からの倍率は「141倍」だそうで。エントリーシート提出者1万人とすると、この程度の数字になりますね。記者に限るともっと倍率高いのかも。

141倍という数字をどう捉えるかは人それぞれですが、基本的にこれは、針の穴を通るような倍率だと思った方がよいでしょう。いけると思うならダメもとで試してみてください、という感じ。運がよくないと受からないと思いますよ。


レガシーな人材になってどうするの?

「まずは新聞社で記者としての基礎を学びたいんです!」みたいな声も聞きますが「はぁ?何それ?」という感じ。基礎なんて自分で身につけなさいよ、と。

朝日新聞に入ると、こんな感じで「ジャーナリスト学校」があるらしいです。

◆記者部門

社内の「ジャーナリスト学校」が全面的に担っています。 取材源の秘匿、取材資料の目的外使用の禁止、絶対に守らなくてはならない記者倫理など、取材の最前線に少しでもスムーズに移行できるよう1カ月かけて基本を学び、配属先へ向かいます。

その後も半年、1年、2年、3年目研修と続くほか、中堅・デスクへの研修も行います。 また、入社年次に関係なく、「地方自治体財政」「調査報道」といった担当分野のテーマに応じた別研修も実施充実しています。

株式会社朝日新聞社の採用スケジュール、採用人数、給与など|【就活ならリクナビ2015】新卒・既卒の就職活動・採用情報サイト

…それって、わざわざ会社で教えてもらうものなんでしょうかね。調査報道やりたければ、自分でテーマ掲げてクラウドファンディングで資金集めてツイッターで仲間集めればOKなんじゃないかな。「絶対に守らなくてはならない記者倫理」といった基本的なことは、それこそ現役で働いている記者の方を何人かインタビューすればすぐに教えてもらえるでしょうし。

よく考えていただきたいのは、新聞社の中に敷かれているレールは、「衰退産業におけるレガシーな人材になるためのレール」であるということです。入社して多くのことを学んだ結果、時代遅れの人間になっていた…というのは笑えません。


人脈をつくる?取材しやすい?自分でなんとかしなさい

それでも「いや、会社に入ると会社の肩書きもあって、人脈もできるし取材もしやすいじゃないですか、もごもご」と口答えをする学生がいます。

甘い!何を言ってるんだ君は。人脈なんて自分で広げていくものです。オールド産業の新卒記者の名刺なんて見せられてもワクワクしませんがな。

「新聞社にいると取材しやすい」というのも、ほとんど場合、幻想です。ぼく自身、個人ブロガーですが取材したい人は普通に取材できています。今はクラウドファンディングもありますから、費用面の問題も解決できます。


自分でメディア立ち上げなさい

それでも新聞社に行きたいんだ!紙の新聞が好きなんだ!という学生もいるかもしれません。そこまでいうなら、どうぞ勝手にしてください。幸運を祈る!

どんな道を歩むにせよ、ひとつ絶対にやっておくべきこととして、「自分でメディアを立ち上げる」ようにしてください。それは個人ブログでも構いませんし、コンセプトのあるメディアを複数人で運営してもよいでしょう(ジャーナリスト志望なら、個人メディアが当座は良さそうですが)。

そして、そのメディアを用いて、自分の影響力を最大化する努力をしてください。フォロワー1万人くらい獲得してください。せめて月間20万PVくらい獲得してください。この程度のことができないとしたら、これからの時代、ジャーナリストとしてやっていけないと思われます。読者を獲得できる力がないというのは、お話になりません。

まだあります。そのメディアを用いて、お金を稼いでください。あなたのビジョンや、サイトのアクセスをお金に換えてください。大義を掲げ、取材費をクラウドファンディングで稼いでください。記事広告を受注して、クライアントを満足させつつ社会に影響を与えてください。そのくらいできないと、やっていけません。


具体例でいうと、ジャーナリスト志望の東大生・大熊将八さんこと「くまりん」は非常に良い記事を書いています。このくらい力があれば、新聞社に就職するまでもなく、フリージャーナリストになれると思われます。今後が楽しみな逸材ですね。

メディア・クエスター

「ジャーナリスト志望」と叫ぶのなら、くまりんさんくらいがスタンダードじゃないと、お話になりませんよホント。厳しい時代の、厳しい産業ですから。


ジャーナリスト志望のあなたに捧ぐ小論文テスト

最後におまけとして、ジャーナリスト志望の学生に捧ぐ小論文テストをお届けします。

  1. 「Quartz」の興味深い点について解説しなさい
  2. データジャーナリズムの展望について解説しなさい
  3. LINEがニュースメディアに与える影響について解説しなさい
  4. 企業のコンテンツマーケティングの一環として、ジャーナリズムを実践する際の注意点を述べよ
  5. バナー広告に変わるマネタイズ手法として、あなたが注目しているものは何か?
  6. PVに変わるKPIとして、あなたが有望だと考えているものは何か?

ここら辺の問いにすらすら答えられるようなら、古い業界を変えるイノベーターになれると思います。もはや新聞社に入る意味がわかりませんが、あえてぶっ込んで内部から破壊していく、というカッコいい生き方には賛同します。


課題図書

ついでに課題図書も。今の時代にジャーナリストを志望するなら、頼むからここら辺は読んでおいてください。課題ブログは「メディアの輪郭」。


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