オウンドメディアブームが来ているので、ひとこと言っておきますか。


nanapiっぽい「ハウツー記事」が多い

ロングテールでアクセスが稼げますし、マーケティング的な意味合いがあるのはわかりますが、ハウツー記事に頼るオウンドメディアが多い印象があります。

たとえば花王の「マイカジスタイル」。多分アクセス的にはかなり稼いでいるんでしょうけど、nanapiとかNAVERまとめでいいんじゃね?という記事ばかり。予算を割いてクラウドソーシング的に運用しているのでしょう。

マーケティング的にハウツー記事が最適解なのは、ぼく自身もよく理解しています。けれど、こうしたハウツー記事「だけ」やっていても、面白い媒体になりえないと思うんですよね。せっかく企業が運営するんですから、何か企業なりの哲学やビジョンを感じさせてほしいです。

ハウツー記事はあくまで流入を増やすためのコンテンツの一つであって、そこから先の「色付け」こそ勝負どころです。単にPVを伸ばすだけではなく、「どのようにしてブランドの哲学や、企業としての専門性を伝えていくか」まで、コンテンツで訴求できるよう工夫すべきです。


守りに入った「当たり障りのない」記事が多い

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名指しで批判するのもアレですが、コカ・コーラの公式ブログ「Coca-Cola Journey」も面白くないオウンドメディアです。本国サイトはまだ冒険している感じがしますが、日本のサイトは「当たり障りのないコンテンツ」の集積地と化してしまっています。

なんというか、大企業の論理を感じ取ってしまいます。せっかくすばらしいライター陣がいるのに、編集機能の弱さがたたって、有効活用できていない印象です。良い編集長が付けば化けると思うんですけどね…。ちなみに本国には「Chief Content Officer」がいるらしいです(The Rise Of The Chief Content Officer)。

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自分たち以外の企業が書ける記事を書くな

つまるところ、多くのオウンドメディアがつまらないのは、「その会社じゃなくても書ける記事」ばかりを提供しているからです。

これは構造的な課題もありまして、特に大手の企業なんかだと、広告代理店や制作会社に予算を丸投げしてしまっているため、コモディティっぽい記事ばかり生産されてしまうのでしょう。代理店丸投げでは、独創性のあるコンテンツを作ることは困難です。

根本にある課題は、「人材」と「体制」なのでしょう。オリジナルなコンテンツを世に出していくためには、優れた編集能力をもった人材を起用し、彼・彼女が独立してコンテンツを制作できる体制が必要です。

代理店に年間予算1,200万円丸投げしても、二番煎じのコンテンツしかできません。その種の「工場的」コンテンツ生産スタイルでは、nanapiやNAVERまとめに負けるでしょう。もっと職人芸が発揮できる、アーティストたちが活躍できる下地を作らなければなりません。

オウンドメディアをこれから立ち上げる企業に向けていつも偉そうに語っているのは「自分たち以外の企業が書ける記事を書くな」ということです。コンテンツの本数が少なくなっても、PVが伸びなくても、結局のところ「オリジナリティの高い記事」を出した方が、ブランドの価値は伝わります。自分たちが何者であるかをよく問い直し、哲学のあるコンテンツを作っていくべきです。

もっとも、そういった哲学抜きで、ひたすら合理的にコンテンツを生産していくことを否定しているわけではありません。マーケティングゴールを達成するためには、そのような道もありでしょう。が、それでは「面白くない」とぼくは思うのです。


イケダハヤトが選ぶ、本当に面白いオウンドメディア

と、ネガティブなことばかり書いていてもアレなので、良いメディアを主観的にまとめてみましょう。


弁護士ドットコムトピックス

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圧倒的なオリジナリティを爆発させている「弁護士ドットコムトピックス」。このコンテンツはまさに、弁護士ドットコムだから作れるものです。アクセスも圧倒的。すばらしいですね。

弁護士ドットコムトピックスの投入により、Yahoo!を起点に転載先も増えた。記事が時折Yahoo!トピックスにも転載されていることから、弁護士ドットコムトピックス単体で月間訪問者数は200万人、PVは300万を超えることもある。弁護士ドットコム全体では月間訪問者数440万人、PVは1,100万に上る月もある。

ヤフトピ砲がガンガン飛んでくる!最強オウンドメディア「弁護士ドットコム」に聞くトピックス運営方法とは? | somewrite (サムライト)


サイボウズ式

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ちょっと記事本数と制作コストに課題がありそうですが、コンテンツの質という意味では非常にすばらしい事例です。特に青野社長による対談記事は、サイボウズという会社の良さがビシビシ伝わってきて好印象。


LIG

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まぁ、説明不要でしょう。お笑いコンテンツが光り輝いています。記事広告の事例としても注目に値します。


関連書籍を紹介しようと思ったのですが、オウンドメディア関連の本って決定版的なものがないですね。このテーマのハウツー本は書いておきたいなぁ。