ちょっと辛辣なテイストですが、この分野は大変興味があるので書いておきます。


サイバーエージェントが有料ブログメディアをスタート

サイバーエージェントが意識高い感じの有料ブログメディア「B.L.G.」を開始:月額700円、ビジネスパーソン向け」の記事でも紹介した通り、サイバーエージェントが「ビジネスパーソン向けの有料ブログメディア」をスタートしています。その一方で、GREEが手がける有料ブログメディア「Magalry」が終了していたりもします。

ぼく自身、こうしてコンテンツを作っている側ですが、「このまま」だとB.L.D.も終了の憂き目に遭うと予想します。その理由を解説しましょう。


コンテンツ提供者のメリット不足

これはThe StartupのUmekiさんが「Umeki Salon」のなかでまず指摘しているポイントなのですが、ぼくらコンテンツクリエイターが、あえてB.L.G.に記事を提供するメリットはそう強くないように思われます

ぼくらが外部に記事を提供する際のメリットは大きく分けて2つ、「『わたし、あの媒体にも書いてますドヤッ』的なブランディング効果の期待」と「原稿料」です。

B.L.G.はサイバーエージェントが始めたとはいえ、今の時点では、ブランド的な価値はほとんどありません。「B.L.G.で書いてます」と言ったところで、「?」と反応されるのがオチでしょう。読者数も少ないと思われるので、知名度向上にも寄与しません。

原稿料に関しては情報がないのですが、cakesやYahoo!ニュース個人、有料メルマガなどの前例から考えるに、よほど記事がバズらないかぎりは儲けにならない仕組みになっていると思われます。数年は赤字覚悟でライターに報酬をしっかり支払う、というポリシーがあったりすれば別ですが…。

コンテンツ提供者がメリットを感じなければ、当然良質なコンテンツは集まりません。サイバーエージェントの資産を活用し、いかにメリットを提供していくかが鍵になるでしょう。すでにやっているかもしれませんが、個人的には「サイバーエージェントのオフィスでいつでも無料でセミナーができる権利」とかがあると、それだけでコンテンツ提供したくなります。


編集者の力量不足

こういった媒体の鍵になるのは「編集者」。たいへん辛辣なんですが、B.L.G.のアウトプットを見るに、現状、抜きん出た能力を持っている編集者を擁立することができていないように見えます。なんというか、「普通のビジネスメディア」になってしまっており、編集的な意味では特に画期的ではありません。

ライターの人選レベルの編集という点でも、特に際立ったものを感じません。そのため、記事レベルで見ても、強いフックがあるようにも感じません。

ここはサイバーエージェントの人脈と資金を使って、通常のビジネスメディアではできない離れ業をやってほしいところ。たとえばマーク・ザッカーバーグに記事を書いてもらうとか。ザッカーバーグが難しければ、今ならSnapchatのエヴァン・スピーゲルとか。それなら余裕で課金しますね。

厳しい意見ではありますが、編集センスという観点で「普通のメディア」の枠を出ていないのが、かなり根本的な課題であるように見えます。が、裏を返せば良い才能が入ればガラッと変わる可能性があるということなので、今後に期待です。サイバーエージェントだし、良い人材いるんじゃないかなぁ。


パッケージングと課金ハードルの問題

そもそも「ブログメディアに課金をする」というスタイル自体に疑問があります。みなさん、ブログに課金したことありますか?ないですよね、多分。これって、すごく特殊な課金形態だと思うのです。

ブログメディアに課金をさせるくらいなら、まずは有料メルマガで始めた方がよっぽど「売れる」と思います。有料メルマガも一般的とはいえませんが、まだ前例があります。

もっと期待できそうなのは、アプリを使ったメディア運営。あんまり前例はないんですが、アプリ内課金を使ってコンテンツ配信できれば、課金ハードルも下がりますし、デザイン・機能的な追究も色々できます。B.L.G.、アプリ化は考えているでしょうね。

あとは、コンシューマ向けではなく、いっそB2Bで売っていく方が成功しやすいとも思います。ここら辺、本の要約サイト「flier」だったり、金融プロ向けの情報ツール「SPEEDA」なんかがパッケージングがうまいです。見せ方と売り方をB2Bに寄せれば、可能性はかなりあるのではないでしょうか。サイバーエージェントは営業も強力でしょうし。

いくら「新書一冊分の価格」という点を推しても、現状のパッケージングと課金ハードルでは、スケールしていくのは難しいと思われます。


というわけで、今後B.L.G.が成功していくためには、下記の施策がポイントになると思われます。

・他誌との差別化を進めるたまの、優秀な編集者の起用と権限委譲
・コンテンツ提供者へのメリット提供
・「課金ブログ」以外の方向性の模索

このなかでもっともハードルが高いのは「編集者の起用」でしょうね。そもそもそういった人材は希少であり、サイバーエージェントはそれなりに大企業なので、冒険をするのも難しそうです。今後の展開に期待ですね。


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