ちきりんさんの新刊が面白いですよシリーズの更新です。この書籍を取り上げるのは五回目。ブロガーの方は必読レベルの作品です。


ネット上で個人攻撃をする「機会損失」

ちきりんさんの作風が素敵なのは、個人攻撃を決して行わないことです。さらに、個人攻撃を行わない一方で、「個人賞賛」はバリバリ行うのもすばらしいです(ウメハラさんはその一人でしょう:「ちきりん」ブログがいつの間にかウメハラ日記になってる)。誰かを思いっきり誉めることって得てしてリスクが伴うのですが、ちきりんさんはガンガン誉めてしまいます。

書中では、そんな哲学についても紹介されています。

ネット上で活動する人には誰でも、180度異なるふたつの選択肢が与えられているのです
それは、「有名人をネタにして自分の人気を上げる。その代わり、その人とリアルな関係を持つことは諦める」という道と、「肯定的な思いを積極的に伝えることで、リアルに関わりを持てるチャンスを高める」という道です。
ここでは想像しやすいように"有名人"と書きましたが、実際には相手が有名だろうと無名だろうと関わらず、同じことが起こります。

その上で、ちきりんさん自身は、下記のような方針を貫いているとのこと。

私の場合は、初期の頃のいくつかの失敗から学び、「本人が目の前にいたら、言わないだろうこと」は書かない、呟かないと決め、「その人がもしも目の前にいたら、きっとこういう言い方をするだろう」と思える方法で表現することにしてきました。

これは貴重な示唆です。ネット上で特定の個人や組織を攻撃して喜んでいる人は、「その人とリアルな関係を持つ」可能性を自ら棄てていることに気付かねばなりません。

身近なところでいえば、ぼくは自分に対する言及をモニタリングしています。もしあなたがぼくのことを批判していた場合、多分、ぼくはあなたのことを見つけます。ぼくは自分に攻撃的な人とは仲良くなりたくないので、あなたとリアルにつながることは、まずもってあり得ないでしょう。

「ソーシャル陰口」はやめてください」でも書きましたが、「ぼくにバレてないと思って、ぼくの悪口をツイートする人」は意外と多いのです。あなた、友だちだと思っていたんですが…。ぼくは性格が悪いので、そういうことをする人とは、こっそりと金輪際縁を切るようにしています。さようなら、ぼくの見えないところで幸せになってくださいませ。


まともな人は、「うるせえんだよ、ババア」などとつぶやいている人に、ネット外で会いたいとは思いません。

また、特定個人・組織を攻撃する人は、その醜態を周囲に晒すことで、やはり「まともな善悪感覚を持つ人」との距離が離れていることにも留意すべきです。ちきりんさんが指摘するとおり、ぼくもネット上で誰かに対して攻撃的だったり、汚いことばを使う人とは距離を置くようにしています。そういう人に巻き込まれると、色々吸い取られますからね…。


というわけで、個人や組織を汚いことばで罵ることは、「その対象とリアルにつながる可能性」を自ら棄て、「まともな善悪感覚を持つ人を遠のかせる」作用があることを認識しておきましょう。よほど何か明確な目的がないかぎり、おすすめしない生き方です。

なお、「匿名でやればバレない」という話は関係ありません。匿名でもバレることはありますし、また、ネット上の振る舞いは必ずリアルな自分にも影響を与えます。ネット上で攻撃的な人は、匿名アカウントがバレようがバレまいが、リアルな世界で「そういう人」としか扱われないでしょう。ネット上の振る舞いというのは、その人の当座の本性ですから。