いくつか記事を残しておりますが、これめっちゃ良い本です。ちきりんさんの運営哲学と、ぼくが考えている運営哲学に、一点目立った相違があるので書き残してみます。


「雑誌」を作るか、「個人」を立てるか

ちきりんさんは、ちきりんという「個人」を立てるよりも、むしろ「Chikirinの日記」という「場」をつくりあげることに力を割いてきたそうです。

私は今まで、「ネット上にコンテンツを散逸させない」「すべての価値あるコンテンツは、自分のブログに集める」というルールを、かなり厳密に守ってきました。具体的にいえば、他サイトからの執筆や転載の依頼はできるかぎり受けない、ということです。

・今、多くの人は"ちきりん"は「Chikirinの日記」を書いている人だ、と認識しています。これは、書き手より場所のほうが主役であることを示しています。(中略)これも早くから「Chikirinの日記」という場所を育てるという目的が明確で、そのために様々な工夫をしてきたからこそ起こっていることです。もし私がブログではなく"個人"を売りたいと考えていたなら、その結果は、今とはまったく違ったものになっていたことでしょう。

・週刊文春でのインタビューが何年も続いている阿川佐和子さんや、海外の大スターまで出演したがる黒柳徹子さんの「徹子の部屋」というテレビ番組のように、「Chikirinの日記」も、「ぜひ自分もいつかは出てみたい!」と思ってもらえる場所になったらいいなとは思います。

この点って、ぼくは真逆なんですよね。ご存知のとおり、ぼくは自分のブログをBLOGOSやYahoo!ニュース個人に転載しています。ハフポの権限を貰えたら、そっちにも転載するはず。なぜそうするかは簡単で、そのほうがぼくの記事が読まれ、イケダハヤトという存在の知名度が高まるからです。

ぼくのブログは月間40〜70万PV規模ですが、転載先のPVも合わせると、多い月で150万PV程度にまで膨れ上がります。平均値で取ると、月間90万〜100万PV程度に落ち着きます(ブログ40万〜50万、BLOGOS10〜30万、Yahoo!30〜60万)。

ぼくがオンラインで執筆する文章は、全体で見れば、ちきりんさんのブログとそう変わらないアクセス数となります(現在は、月間150万PV程度とのこと)。PVがすべてというわけではありませんが、彼女自身の歴史、「Chikirinの日記」の歴史を考えると、27歳のぼくがここまで数字を稼げているのは、「転載を許容する」という戦略が関係していることは明白でしょう。


比喩的にいえば、ちきりんさんは「Chikirinの日記」という人気雑誌を作っているとなぞらえることができます。雑誌のコンテンツなので、基本的に他の媒体では読めません。

雑誌の比喩でいえば、ぼくは雑誌の中で取り上げられるコンテンツのひとつです。世の中にたくさんある雑誌に、ぼくの文章がばらまかれていけば、ぼくの知名度は高まり、生存確率が高まります。


「もし私がブログではなく"個人"を売りたいと考えていたなら、その結果は、今とはまったく違ったものになっていたことでしょう」とあるように、個人を売るか、場(雑誌)を作るかはトレードオフな部分があります。ぼくは転載戦略の結果、このブログの媒体価値を数字的にも、ブランド的にも失っていることは否めません。

ただ、順番として、個人を売り出した「後」に、「場」をつくることも可能です(持つもののない若者にとっては、そちらの方が早いでしょう)。1月から始める有料メルマガはそういう「場」にしていきたいと思っておりますし、野望?としてはラジオ・テレビのようなメディア空間に「場」を持つことも考えています。


まず個人を売るのか、または、個人というより場をつくることに注力するのか。

これは、著者の性格・扱うテーマ・メディア事業としてのゴール設定によって、戦略がわかれるところなのでしょう。The Startupのumekiさんなんかは、ぼくよりもちきりんさん寄りのポジションにあるような気もします。

総じていえば、持つもののない若い人に関しては、まずは自分を徹底的に売り出す方が、結果的に成功確率は高まる気がします。昨今のメディア環境も、どちらかというと「個人売り」を歓迎する流れがあるようにも思います。ブロガーの方は、自分がどのような戦略をとるのか、ぜひ考えておくとよいかと思います。


本書に関しては、他にも記事を残しています。こちらもあわせてぜひ。
 

「ちきりん」の限界 : ihayato.書店
「Chikirinの日記」の育て方:月間200万PVブログは、いかにして生まれたか? : ihayato.書店
ちきりんに学ぶ、PV至上主義に陥らないための考え方 : ihayato.書店