いやー、すばらしい!自分の本を書くのに忙しいはずなのですが、読書メモを残しておきます。


「Chikirinの日記」運営哲学

私の日記歴は「紙の日記帳に書いていた期間」が25年以上と、現時点で9年近く書いているブログより、さらにまだ3倍近く長い期間にわたってます。時々、「ちきりんさんは、ブログネタをどうやって見つけているのですか?」と問われるのですが、私の場合は「日記を書くためのネタを探す」という発想はありません。

・おそらく最初の1年くらいは、毎日50PVくらい、月に1500PV程度だったろうと思います。

・最近、バイト先での悪ふざけをネット上に流して問題になる若者がいますが、私は彼らを非難したり、笑ったりする気にはなれません。すでに削除してしまいましたが、当時は私も学生時代の品行不良な経験や、、個人の資産運用の結果、昔のバイト先の様子など、ネット上に開示すべきではないことをあれこれと書いていました。また、テレビでしか見ることのない有名人についても、好き勝手にコメントしていました。

・合計すれば、手のかかっているエントリは1時間半くらいかけて書いています。

「Chikirinの日記」には、「ひとつのエントリでは、ひとつのメッセージだけを伝える」というポリシーがあります。(中略)ブログを書くときも、「何を書くか」ではなく、「何を伝えようか」ではなくが最初に決まります。

・イメージしているのは、「飲み会で、友だちに伝えたいことを一生懸命に話している私の声を書き起こした文章」なので、口語文の文章化であり、教科書的な「正しい日本語」で書くことには、こだわりさえもっていません。

・もうひとつ気にしているのは、すべらかに発音(発声)できる文章を書くことです。書籍もブログも、最後にはかならず音読し、スラスラ読めるよう"てにをは"や語彙を整えます。

・私を含めリアルな社会に軸足のある人は、ネットの外で話していることを無防備に、そのままネット上に書き込みます。すると、なぜ叩かれるのかわからないような内容でも、批判が押し寄せるのです。

・大人には「見るべきではないと思ったものは、敢えて見ない」という知恵があります。(中略)自分への罵倒コメントも同じで、落ち込む人の多くは、わざわざそれを見に行って、そして落ち込むわけです。でも、そんなバカげたことをする必要はないとわかっているのも、大人の知恵でしょう。

私が目指していたのは「ブログで有名になり、本を出すこと」ではありません。むしろその逆に「本を出せば、ブログの読者を増やせるだろう」と考えていました。

・2012年半ばに、もう新企画は受け付けないと宣言したため今ではかなり減りましたが、それでも過去数年の間に50社近い出版社から書籍発売の企画提案を頂きました。

・その上で設定したゴールは「Chikirinの日記」というサイトを、価値あるメディアに育てたい、ということでした。ここでの(私にとっての)価値あるメディアとは、読者ができるだけ似通っているメディア、なんらかの共通点をもって、読者が絞り込まれているメディア、という意味です。

・今のところ紙の本は、ブログと補完的という意味で、そういった人たち(*まだちきりんを知らない人)にアクセスするためのパワフルなツールなのです。

ほとんどの本は出版後1年もたてば、書店では探すのも難しくなります。そんな著作を何冊ももっていることより、毎日何万人もが訪れてくれるサイトをもっているほうが、圧倒的に発信力は高いのです。

・私は今まで、「ネット上にコンテンツを散逸させない」「すべての価値あるコンテンツは、自分のブログに集める」というルールを、かなり厳密に守ってきました。具体的にいえば、他サイトからの執筆や転載の依頼はできるかぎり受けない、ということです。

・今、多くの人は"ちきりん"は「Chikirinの日記」を書いている人だ、と認識しています。これは、書き手より場所のほうが主役であることを示しています。(中略)これも早くから「Chikirinの日記」という場所を育てるという目的が明確で、そのために様々な工夫をしてきたからこそ起こっていることです。もし私がブログではなく"個人"を売りたいと考えていたなら、その結果は、今とはまったく違ったものになっていたことでしょう。

「Chikirinの日記」では、"オワコン"とか"disる""炎上マーケ"や"ステマ"といった、日常生活では誰も使わないネット用語を、注釈なしに使用することはありません。

・私が常に気にしているのは、こういったサイレントマジョリティの動向です。彼らの意見は、反応を送ってくる人の意見と同じではありません。むしろ正反対のことさえあるはずです。

私はよく、「ものすごく盛り上がったこのエントリがなかったら、今月のPVはどれくらいだったのか」ということを計算していました。それが、「とりたてて反応はしないけれど、継続的にブログを訪れ、ずっと読んでくれているリピーター読者」の数であり、ブログの影響力を支える基礎体力とでも言うべき数字だからです。

・まともな人は、「うるせえんだよ、ババア」などとつぶやいている人に、ネット外で会いたいとは思いません。

・もらったツイートに返事をする際、もしくは、リツイートしようと思った際には、その前に必ずその人の過去の呟きを確認します。それを見て、こういう人とはかかわり合いになりたくないと判断したら、返事もリツイートもしません。「現実社会なら話をしたくない」と思う人は、遠慮なくブロックします。

・ネット上で活動する人には誰でも、180度異なるふたつの選択肢が与えられているのです。それは、「有名人をネタにして自分の人気を上げる。その代わり、その人とリアルな関係を持つことは諦める」という道と、「肯定的な思いを積極的に伝えることで、リアルに関わりを持てるチャンスを高める」という道です。ここでは想像しやすいように"有名人"と書きましたが、実際には相手が有名だろうと無名だろうと関わらず、同じことが起こります。

私の場合は、初期の頃のいくつかの失敗から学び、「本人が目の前にいたら、言わないだろうこと」は書かない、呟かないと決め、「その人がもしも目の前にいたら、きっとこういう良い方をするだろう」と思える方法で表現することにしてきました。

・インタビューを受ける側になることもあるのですが、こちらはまったく面白くありません。なぜなら、そういう場合に先方から聞かれることは「既に考え終えたこと」ばかりだからです。

・本好きではあったけれど、ニーチェもカントも2ページと読み進めず、「もっとわかりやすく書いてほしいよ」と、心から恨めしく思っていました。自身が難解な文章を理解できないため、私の書く文章は極めて平易です。

・週刊文春でのインタビューが何年も続いている阿川佐和子さんや、海外の大スターまで出演したがる黒柳徹子さんの「徹子の部屋」というテレビ番組のように、「Chikirinの日記」も、「ぜひ自分もいつかは出てみたい!」と思ってもらえる場所になったらいいなとは思います。でもそのために、必死で努力して…とも思いません。

同意する部分もあれば、スタンス的に真逆な部分もあります。これはメディア運営者はホントに必読。991円とKindle本にしては高めですが、その価値ありです。

下世話ですが、ちきりんさんのパワーだと4,000冊くらいは軽いでしょうね…。一冊あたりの収益は700円程度と想定すると、280万円くらいは売上立ちそう。書中で「メルマガはやらない」と断言しているのですが、ちきりんさんの場合は年に一本電子書籍を出すだけで、十分売上は担保できそう。うーん、すごい…。